マネージャーの詳細
俺のマネージャー生活が始まった。
マネージャーということで大学には行けない。自主退学になるんだろうが早く填に伝えなければいけない。
大竹さんに許可をもらいラストの大学生生活を迎えることにした。
「おお、填・・・おはよ・・・」
正直言って言いづらかった。そんなことを急に言っても困るのは填だ。
「ん?どうした宗司・・・なんか元気ないけどさ。なんかあったら俺に相談してくれても
いいんだぞ?」
填はいつも道理俺に心配してきた。俺よりも少しだけ小さい填は顔を上に上げて
こちらを見てきた。心配そうに「ん?」という感じで眉をひそめていた。
「あのさ・・・本当にいきなりで悪いのはわかってるんだ。でも決まったことだから
言わせてもらうと。俺は今日で大学を辞める。それだけだ・・・」
多分予想はできている。填の場合は理由を聞いて羨ましがるだろう。
俺的には応援をしてもらいたいものだがそういう事を言ってくれるような人間ではない。
「ごめんな、急にこんなことになって。しっかり理由は話す。だからこk・・・」
「なんで、なんで急にやめるんだよ?遂に勉強に嫌気がさしたのか?それとも
俺が嫌だとか?俺が嫌だったら殴ったってもいい。でもさ、なんでやめるんだ。
なんでなんだよ・・・」
『必死に彼、比嶋填は訴えてきた』
「え・・とな。まず俺は就職先が決まったんだ。お前も知っているRTS47のメンバーの
マネージャーっでさ。きっかけは俺の隣人なんだけどさ。五十嵐美咲っていうんだけどさ、
その人がRTS47の篠宮美咲だったわけ。そこから倉田菜々美とかに会って推薦されて
マネージャーになったってわけだ。本当にいきなりなのは申し訳ない。お前を
裏切った形になってしまったのも申し訳ない。だかr・・・」
「なんで謝んだよ。すごいじゃねぇか。あのRTS47のマネージャー?すげぇじゃんか。
それにお前の人生はお前のものだ。別に俺と共有してるわけでもない。俺のことは
別に気にしなくてもいいから仕事、がんばれよ」
俺が思っていた反応とは違っていた。填はこういうところはガヤガヤ言わずに素直に
受け止めてくれる。俺はその反応にうれしい反面少し悲しくなった、もちろんマネージャーに
なりたかったのでなれるのは嬉しいけどあまりこれからは填とも遊びに行くことはできない。
「もちろん俺に可愛いアイドルを紹介してくれよ?可愛い彼女がいるなんて最高だからな・・・
だから、お前は頑張っていけばいいし俺に紹介してくれよ?」
填は少し寂しいのかは分からないがいつも道理の填に戻っていた。
可愛いアイドルの彼女なんて俺も欲しいさ。でもアイドルには絶対できないことは俺には
分かっている。
「あのさ?填よ・・・アイドルは恋愛禁止って知ってるか?」
あまりこんな現実を突きつけたくはなかったができないものは出来ないんだ。
凄く罪悪感に飲まれたがそんなことは気にしてはいられない。
今日がラストの大学生活だ。楽しく思い出になるようにしないとな。
「それじゃぁ今から授業だし填、行くぞ?お前はただでさえ勉強できないんだからさ
しっかり受けろよ?」
「お前そこまで言わなくてもいいじゃんかよ。こんな俺でも傷つくんだぞ?」
そうして俺の、いや俺たちの大学生生活を終幕を迎えることになった。
今までアイドルのライブに行ってはグッズを買って、お金がなかったらお金を借りて
握手会にも行って、勉強するからとファミレスにも行って。大学生活は苦痛もあったが
嫌な思い出は少ない。
「ありがとうな填。今後も連絡取りづらいが俺の友達のままでいてくれよ?」
「ああ、もちろんだよ。それじゃ明日からマネージャー頑張ってな!」
――次の日の朝――
朝6時から起きるなんて滅多になかったが今日からは仕事なのでこの時間には起きなければならない。
事務所までは大竹さんが前まで送り迎えをしてくれたが今日からは電車での通勤となる。
その通勤時間を少し早めて朝の通勤ラッシュを避けようというわけだ。
「それじゃ、行ってきまーす」
新しい社会へ出る一歩として縁起よく出るために力を込めてしっかりと出た。
つもりだったがなんと目の前にいたのは篠宮美咲。俺が専属マネージャーになったアイドルだ。
彼女はゴミ出しに行くようで初めて会ったときと全く同じシチュエーションだった。
「おお、篠宮か。今日からよろしくな。一応大竹さんもついてお前のマネージャーやっていくから
そんなにヘマすることもないだろうし。とにかく頑張るからさ、よろしくな」
「あーそうね。そういえば宗司今日からか・・・よろしくね。しっかりとマネージャーしてよね?
今まで何人か来てたけどそんなに良いやつはいなくて出来の悪いやつばっかりだったからね・・
宗司もあんな奴と一緒じゃないことを祈るわ」
美咲は俺のことなんてやっぱり気になんかしてなくて、しかも俺に心配をかけてきた。
もちろん俺はマネージャーという職業は全く持って勉強していない。だが大竹さんも
いることだから上手いこと技を盗んで気にいられたい。少し欲望が出てるかもしれないが
マネージャーたるものアイドルから嫌われていたら仕事なんてできたもんじゃない。
「俺は絶対にお前の思ってる奴らとは一緒にならないってここに使うぞ。
絶対に有能マネージャーになってお前に気にいられて仲良くなって、マネージャーらしくなる」
「へー。いいじゃんそのくらいの決心があるなら大丈夫なのかな?まぁ信じてみるから
これからはスケジュールとか恵に聞いて勉強頼んだわよ」
彼女は俺の決意表明を気に入ったのか頼んだわよと俺に期待を寄せてくれた。
これで少しは俺の好感度が上がっただろう。こんな些細な事でも俺は大切だと思っている。
その期待に裏切らないように言葉を選んでしっかりと向き合っていきたい。
「それで?もしかしてもう出勤なの?なんか普通の人よりかは早いと思うんだけど・・・」
「俺は少し早めに出るだけだよ。あ、出るだけです」
つい気が緩んでしまい敬語を忘れてしまった。初日から敬語なしなんて社会人としては
かなりやばいから気を付けなければならない。
「あー、別に敬語なんて使わなくてもいいよ?逆に私も気使っちゃうからどちらかというと
使ってほしくないかな・・・」
「え?敬語は使わなくてもいい感じですか・・・わかりました。美咲がそういうなら
構わずに敬語なしにするわ。違和感あったらよろしくね」
早速彼女に合わせるために敬語を外し距離が近いように話してみた。
だいぶこんな風な会話だったら普通の友達に見えてもおかしくはないだろう。
「あ美咲って呼び捨てなのね。別に行けどさ」
彼女は少し怒ったのだろうかほんの少しさっきよりも不機嫌になってしまった。
ここで長話をするのも仕事に遅れてしまうのでさっさと行かなければならない。
「それじゃ俺は行ってくるのでまた車で大竹さんと来ますから。また後で」
「はいはーい」
まさかの初日の朝からバッタリと会うとは思っていなかったが
しっかりと納得のいく感じで対応することができた。
彼女と別れた後はそのままバスに乗り電車に乗って事務所に着くことができた。
流石朝の時間なだけあって時間をずらしたつもりが結構な通勤サラリーマンたちがいた。
朝の電車がここまでしんどいとは思っていなかった。人の波に揺られながら
必死に降りてそこからはまたバスに乗ってなど過酷さを体験することができた。
「あ、大竹さん。おはようございます!」
大きな声を上げてしっかりと頭を下げて先輩にはしっかりとした対応というものだ。
「あら。宗司君もう来たの?結構早いほうだけど・・・もしかして初日だから張り切ってるとか?
それだったら別にこんな早くは来なくていいからゆっくり来なさい。そんなに張り切ってると
体が持たないわよ」
大竹さんは俺が張り切って来たのを見破りそして心配までしてくれた。
流石マネージャーというべきなんだろうか。しっかりと周りを見て相手のことをよく観察している。
ここまでズバリと当てられると、ぐうの音も出ない。
「はい。わかりました。これからは少し遅めにゆとりを持ってきます。それよりも
逆になんで大竹さんはそんなに来るのが早いんですか?もしかして早朝から仕事なんて
入ってたりするんでしょうか?」
「いや私は朝ごはんに食堂を利用するから早いのよ。ここの食堂は凄くてね、朝6時半から
やってるのよ?だから私はここの食堂で朝ごはんを食べに来てるから早いってわけだね」
だからそんなに早いのか。もし俺もここの食堂を使用するなんて事になったときに分からない
時は大竹さんに聞くべきだな。これは案外重要かもしれないぞ・・・
「えっとそれで僕たちは8時から車で迎えに行くんでしたっけ?」
「ええそうよ。今日の場合だったらライブとかはなくて番組に出演することになってるわね。
ここから車で美咲ちゃんの家まで2時間でそこから会場まで30分だからそんなに時間が
掛かるってわけじゃないわよ。案外今日のスケジュールは隙間があって楽なほうね」
ここまでは電車で1時間ほどでそこからもっかい戻るで車は2時間掛かるらしい。
これで楽なほうだったらライブの日なんて俺たちはどうなるんだろうか。
それもそれでマネージャーの忙しさがあってやりがいがありそうだ。
「それじゃ、今からこの車で行くわよ。あ、因みに宗司君って免許持ってたりする?
持ってるなら途中で変わったりして慣れてほしいし。結局は私も離れることになるから
車の免許はマネージャーとして持っておかないとだめなの」
「あ、もちろん持ってますよ。しっかりと遠くに遊びに行くってなった時のために
取ってるのでそれは大丈夫です」
「ならよかった。それじゃ出発するわよ」
こんにちは、ななだです。久しぶりの投稿になってしまい申し訳ございません。
ここ二週間はいろいろと忙しく投稿できる暇がありませんでした。
でも今日から復活するのでよろしくお願いします。
あ!あと『この俺がどうして恋なんか』も同時並行で上げていくので
ぜひ見てくださいm(__)m