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第4話:ミッション「味方陣地に合流せよ」

さて色々と確認できたところで、味方と合流しなければ。

「ハルさんや、味方の陣地に戻りたいんだけど、どうするのがおススメ?」

--偵察に出ていた小隊はゼッケ様を除いて全滅です。まずは拠点に帰還しましょう。


「了解、まずは戻って大隊長に報告だ。ホウレンソウは大事だからな」


レーダーの範囲を最大にして索敵しても、近くに機体の反応はない。

駐機状態となっていた機体に火を入れると、アクチュエータの音と共にゆっくりと立ち上がる。いや、ほんとにモーターが入っているのか分らんが、手足からはそれっぽい音がするんだよ。


「ハルさん、マップ表示はできる?」

--ディスプレイに基地までのルートを表示しました。


さすがのナビシステム。正直小隊がやられて逃げまくったせいで、どこにいるか方角すら怪しかったからな。ゲーム並みのARナビシステムは最高だ。


俺は操縦桿の反応で遊びながら、森を外れて丘をいくつか越える。

やっと向こうに見えてきたのが俺が今回派遣されたヒリナ砦だ。

魔攻核シェルを運用できる最低限の設備を備えた出城で、普段は中隊(10機)程度の騎士が常駐している。今は戦時モードで近隣から騎士を呼び集めているところだ。


丘を下ると、城壁の存在感が増す。敵の魔攻核シェルからの攻撃を受けてもある程度は耐えられるようにかなり分厚く頑丈なつくりなのだ。まぁ、味方であるうちはなんとも頼もしい我が家だね。


--警告。このまま近づくと攻撃を受ける可能性があります。

「いやいや、何言ってるのさ。味方だよ?」


--当機は再構築を行ったため、敵味方識別コードがリセットされています。遠話魔法も消えているため、所属不明機として扱われます。


その言葉と同時に城門が開き、3機の騎士が最大戦速で駆け出してくるのが見える。

もちろん手には剣や槍。そして城壁の上には魔法を発動している法撃機と完全に迎撃態勢だ。


「いやまて、俺だ! ゼッケだ! 偵察から戻った!」

慌てて外部拡声機で呼びかけるが誰も聞いちゃくれない。


そうだよね。偵察隊は未帰還。見知らぬ不明機。敵方面からの高速接近。ここまで重なったらまずは迎撃するよね。


オタオタしている間に機先を制され、城壁から飛び出した火炎魔法がモニターいっぱいに広がった。

「ヤバッ!!」

全力でスロットルレバーをぶっ叩き、真横にスライドして炎弾を避ける。そこにタイミングよく突っ込んでくる槍の従士機。砦の精鋭だけあって息もバッチリじゃないか。

だが褒めていても事態は好転しない。


「ハル! 遠話や識別をなんとかできないのか!」

--現状では不可能です。味方機を無力化してから対話しましょう。


くそ、あっさり言い切りやがって。

撃破じゃなくて無力化なんて大変なんだぞ。

だが、やらねばいつまでも家に帰れない迷子の子だ。


とりあえずは手前の従士機からだな。

一瞬ブーストを吹かして懐に飛び込みながら左腕を振るう。そう、手首に仕込まれたレーザーブレードの出番だ。超高温の光刃が、従士機の槍を腕ごとスパリと切り落とす。


衝撃で棒立ちとなった従士機を踏み台にして、後続の従士機に向かってブーストジャンプ。真上から強襲し両腕を破壊する。

そう、実は俺たち魔攻核シェル乗りは縦の動きに弱いのだ。普段の戦闘では、重量級の騎士たちが空を飛ぶことはない。魔獣を相手にするときでも、空中の敵は魔法で倒すのがセオリーなため、ブーストを使った動きに対応できないのだ。


最後に慌てて盾を向ける騎士機に向かって突撃! 剣を切り飛ばし、盾ごと左腕を破壊して戦闘は終了。騎士機を人質にとってから、砦に向けて声をかける。


「話を聞いてくれ! 俺はゼッケ・サグラ! 先週からこの砦に配置された騎士の一人だ。偵察任務中に僚機が討たれ一人で帰還した! この機体は不慮の事故で再構築されたものだ!!」

最大音量で語りかけながら、コクピットを開く。


「武装を解除するから、攻撃しないでくれ!」


それを見て、人質機のコクピットからも騎士が現れる。

「ホントにゼッケじゃねぇか! なんだその機体は。滅茶苦茶だな」

呆れた顔で見上げてくるのは、この砦に常駐している都市騎士のアルベールだった。


「おお、アルベールさん! 聞いてくださいよ、俺の分けわからん初陣を! なんかやられかけたと思ったら、いきなり魔攻核シェルが変わっちまって。ついでに記憶も…」

「落ち着け! 何言ってんだか全然分らん! いいから戻って隊長に報告しろ」


こうして、なんとか誤解を解き、無事に砦へと帰還ミッションは完了した。

しかし、隊長への説明をどうしたものやら…頭が痛いな。なにしろ、俺自身が何も理解できていないのだから。

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