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第1話:ロボットゲームは好きですか?

ゴギャキキイイィーン!!

猛烈な金属音と共に全身をシェイクされ、闇の底から急速に意識を引きずり出される。


「なっ、なにが!」


口を開きかけた瞬間、目の前が真っ赤に染まり轟音と衝撃が再び俺の思考をかき乱す。

炎と煙の間からユラリと姿を現したのは、金属鎧を纏った巨大な騎士だった。


「騎士ロボ? 魔法? なんのゲームだ?」


こんなデザインのメカが出る作品はやったことがないはずだが…記憶を探るが現状がまったく理解できない。

座っているのはレトロな革シート、足の間には水晶球が怪しげに明滅し、よく見れば周囲は金魚鉢のようなガラスに覆われているようだ。


「体感ゲームなんかやってたっけ? 今日は休日か? というか、こんなリアルなCGのゲームなんてありえないだろ!」


動揺したまま振り回した腕が水晶に触れると、ブンッという低音と共に、手の平サイズの立体映像が出現した。


--魔導書ディスクをセットしてください

目の前に浮かぶ妖精のようなキャラがしゃべりだす。


「ディスク? そんなこと言ったってディスクなんて…」


--パイロットの記憶混濁を確認、マスターデータを元に記憶の再生を行います。


「そんな、勝手な…」


俺の苦情が終わる前に、脳髄をむき出しにして金槌でぶん殴られるような衝撃が走る。誰かの体験した五感情報が超高速で書き込まれ、無理やり記憶が更新されていくのだ。

二人分の記憶が脳内で混ざりあい、やっと理解が現状に追いつく。



まず、俺の名前は狩谷武(かりやたけし)。小さなWEB制作会社に勤めて10年の中堅会社員だ。クライアントに振り回されて、毎日深夜まで残業。机の下には寝袋完備で、泊まり込むことも珍しくない。

プログラムからデザイン、コーディング、ディレクションまで、あらゆる業務を押し付けられて、心の底まで渇き切った30代のおっさんだ。


唯一の趣味は子供の頃から憧れたメカモノの世界に浸ること。

リアル系からスーパー系のロボをベースに、宇宙戦争系のSF映画やサイバーパンクなダークヒーローまで、メカが活躍する作品ならどれもが好物だ。

もちろん、プラモやラジコン、サバゲやバイクなど、一通りのメカオタクが好きなことには手を出している。


中でも一番の趣味はゲームだろう。

思い通りにメカを操縦できる快感が忘れられず、あらゆるメカゲーを嗜んだものだ。


特にやり込んだのは、シェルと呼ばれる胴体パーツに好きな手足や武装を選んでオリジナルのマシンを作りあげる『アーマード・シェル』。

対戦も熱いが、装備縛りで同じミッションを何度も繰り返したり、ネタ武装の有効利用法を探したりと、仕事以外の時間はほとんどコントローラーを握っていた時期もあった。



…そんな平和な思い出とは、まったく噛み合わないこの状況だが、俺の脳内ではなんとなく理解ができた。いや、理解させられてしまったのだ。


あれだよ、あれ。

そう、異世界転生とかそういうジャンルのものだ。


もう1人の自分、脳みそにこびりついている記憶から読み取った人格からは、まったく別の情報が流れてくる。


今は皇暦261年。

俺はマース皇国の騎士として、ガダグルア朝との戦に召集された。


この世界での騎士とは魔力を使った鎧の巨人に乗って戦う操縦士のこと。


巨人は魔攻核シェルというガラスの球体型魔道具から生まれる。球に入った搭乗者が魔力を込めることで、10メートル程度の巨人となって動きだすのだ。

それなりに貴重なもので、地方の町なら数台あれば十分な備えと言われるほどだ。


そうそう、もうひとつの俺の名はゼッケ。小さな村をいくつかまとめる騎士のサグラ家の長男だ。


今回は地方都市を巡る小競り合いで楽な初陣を飾るはずだったのだが、あちらさんはやる気満々。早々に指揮系統を潰されたウチの隊は個別に撃破され、もう俺しか残っていないという有様だ。


こんな絶望感たっぷりの状態で目覚めるなんて漫画の主人公のようだが、実際に体験してみるとストレスで胃が痛くなる…



といったところで、まったく理不尽すぎて意味が分からないが、そろそろコクピットにヒビが入り、限界が近いところまでは理解できた。


--マスターの意識覚醒を確認。魔導書ディスクを起動してください。


いやいや、意識が戻ったって言葉の意味が分からんよ。ディスクって…


ん? ゼッケの記憶では魔法でゲームディスクみたいなの用意してるな。なになに、魔攻核シェルの姿はイメージで決まる? 武器、装甲、魔法なんかを決めて術式に落とし込む…絵本みたいなものを見てイメージを固めてるじゃないか。これなら俺にもできるのか?


「っていうか、どうやったらディスクが出るんだよ!」

立体映像に向かって叫ぶとナビが始まる。


--ディスクのセットアップを開始しますか?

なんだか分からんがやってくれるなら頼む!イエス!YESだ!特急でよろしく!


こうしている間にも、敵の騎士ロボらしい機体が剣を構えてトドメをさすために近寄ってきている。反撃を恐れてか、用心しながらゆっくり進んできているのが救いだが、保ってあと10秒かそこらだろう。


--魔攻核シェルの姿をイメージしてください。

試しにゼッケの知識を思い出してみるが、なんだこりゃ。関節も機構もカカシみたいな構造で見た目だけじゃないか。こんなに適当で動くのなら、俺が知ってるメカならもっと…

そうだ、もうアーマード・シェルのディスクデータとか丸ごと入れられねーかな。


--ディスクイメージを確認、魔攻核シェルの再構築を開始します。

マジか、そんな適当なことでいけちゃうのか! そう思った瞬間に、全身からごっそりと力が吸われていく。


あぁ、起動には魔力が必要ってのは、こういうことなのか…


一瞬意識が飛んだあと、気がつけば俺は慣れ親しんだコクピットに座っていた。そう、アーマード・シェルの出撃シーンで飽きるほど見た操縦席がリアルに再現されているのだ。


「マジかよ…」


スティック型のレバー、足元にはフットペダル。服は中世騎士そのままで違和感があるが、操縦に必要なセンサー付きグローブやヘルメットがいつの間にか装備されている。よく見たらボーナスで買った専用カスタムコントローラーのレイアウトだな。


前方に視界を移せば、敵までの距離や速度などの詳細データ、そして敵味方識別コード付きのレーダーまで完備されていた。やばい、全周囲モニターとか完全に宇宙世紀のアレじゃないですか!!


武装枠には、実弾ライフル、単発ミサイル、レーザーブレードの3種が用意され、いつでも使用可能。

というか、弾や整備なんかどうするのか想像もできないが、使えるなら細かいことはいい。




俺がコクピットに興奮していると、モニターの向こうで警戒していた鎧ロボが、杖を構えて何やら魔法らしきものを発動しようとしているのが見える。


「ヤバい、操作なんて分からんぞ!」


警告が鳴り響き、ボシュっという音と共に鎧ロボの持つ杖から炎の玉が飛びだす。

反射的にゲームと同じようにペダルを踏み込めば、機体の背面ノズルから激流のような炎が吹き出し、俺の乗った魔攻核シェルは猛スピードで地面の上を滑り出した。


「これはブーストゲージ? マジで全部ゲームと同じか? これが火器管制、こっちが姿勢制御系か? ついでにこのトロい反応速度と、あっという間に無くなるゲージと言えば…こいつは正真正銘の初期機体だな」


自分の乗る機体さえ分かれば、あとはもういつもの作業だ。

飛んでくる炎弾を避け、目標をセンターに入れてロックオン。右手のスティックにあるトリガーを引けば、ロボットサイズのライフルがどデカい鉛の塊を音速で撃ち出してくれる。


ガガガガッン

イメージ通りに鎧ロボに命中した銃弾は杖を腕ごと吹き飛ばし、敵機を半壊させる。


「よっしゃ、とどめだ!」

機体を止めて近距離からライフルを連射すると、胸部装甲に大穴を開けた鎧ロボが光の渦に沈んでいく。


「完全にVRゲームじゃないかよ、これ…」

限界まで跳ね上がった心拍音をうるさく感じながら改めてコクピットを見渡していると、鋭い警告音が響く。


--前方より敵小隊接近中。騎士タイプ2、魔法タイプ1。


まだイベントは終わっていないらしい。とにかくこの場を乗り切らないと何も始まらない。今の俺とゼッケとしての俺、何がおきているのか。魔攻核シェルってのは何なのか…


まとまらない考えが濁流のように脳内を流れるが、身体は次の敵に向かって戦闘体制を整えていくのであった。


みなさん、ロボゲー好きですか?

最近、ACの新作出ないよな~って思ってませんか。

そうですよね、PS4でいいから新作出してほしいですよね。


オンライン対戦もいいけど、ミッションガリガリに詰め込んだの出してほしいです。

ホントに…

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