4話 我、逃走道中百合を目撃する
ブックマーク感謝感激!!
まさか2日目から付くとは思わなんだ。(他のやつで1ヶ月以上かかった人ノ)
素人なんで生温かい目で見て下さい!
日が傾き出したジョギングタイムは喧騒へと包まれていた。
「我ら今なんかに追われてるけど手を出してはダメなのか!?」
我輩、絶賛逃走中である。
形は四方体の結晶に天使の羽と輪っかが付いたかのような風貌である。
掌サイズのそれらが列を作り追ってくる。
大きさはそれほど大きくはないが時折先回りのような動きを取るのと数が尋常ではなく、挟まれると確定でレーザーを放ってくる。
それらを伝えると目隠しのサキュバス姉妹の顔色が目に見えて青くなっていく。
「フラフォン様バカ言わないで下さい。
あれが放つ攻撃には魔封じ込められてますのでそのまま拘束されて殺処分ですわよ。」
どうやら皇国の警備用ビーコンとやらは目隠ししてでも説明したらすぐ思い当たるほどの代物らしい。
我輩としては警備用ビーコンとやらがとても気になる。
「壊してはいかんのか。」
我は知らずのうちに地雷を踏み抜いた。
「バッカじゃないの!? ハァハァ、壊せば器物損害で捕まってハァハァ、300年もの歴史ある皇国だと魔族らは死刑以外ありえないというのですのよ? ハァハァ、これ以上敵を増やさないで下さるかしら!」
受付嬢顔負けの説教であった。
「うぅなんかすまぬ。
我が悪かった。全力で逃げることにするから許して欲しい……。」
ということでジョギングタイム終了してランニングへと移行しようではないか。
「グリズーリよ。走るぞ。走るのなんざかれこれ150年ぶりだな。さぁ行くぞ!」
今まで車の速さだったのはあくまで一般道とやらを走る速さであるがランは高速道路とやらを走る速さに変わる。
時速にして50から80へと変動具合である。
「うぼばびばぶぼばべ」
姉妹の先頭側にいる姉が奇声を発した。
みるみるうちに顔色が再び青ざめていく。
「息がばびぼぶべぼ…………。」
ん?どうしたアリスよ。アリス?
「起きろ! アリーース!!」
はっ、とすぐさま起きてくれた。
相変わらずの音声認識具合である。
これを繰り返しつつ我らの逃避行は続くのであった。
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かれこれ丸一日かけて皇国領土を無理矢理突破して野宿こと一休みに入っていた。
「もうビーコンとやらも追っては来ぬな。
ここらで一休みしようぞ。
アリス、モネ生きてるか?」
返事がないただ寝ているようである。
「2人とも起きろ!」
モネがビクッと素晴らしき反応速度で目を覚ましてくれた。
アリスは顔を青くし今にも息絶えそうである。
「お姉さま!? お姉さましっかり!! 今助けますわ。」
そう言うと互いの目隠し、を解き荷物と共にグリズーリより降りてきた。
「助けるということは反転の魔術でも使えるのか?」
精霊由来の魔法と違い魔族の使う魔術では他者を回復させることはできない。
ただ記録しておいた状態へと戻す魔術が存在するためそれを使った擬似的回復なら魔術にも可能である。
魔力の消費量は察せ!
「私たちサキュバスは舌を介して生命力、魔力の吸い出しと吐き出しが可能なの……。
だから私たちには反転の秘術は必要ないのよ。
ハァ、お姉様の柔らかそうなク・チ・ビ・ル! いただきます。」
するといきなり接吻を始めるサキュバス。
(え!? は!? あ、あぁあれか!
これが噂の百合というやつか!)
過去に転生者から教えられた知識に目の前の行為が結びつき、驚きこそしたものの納得できてしまった。
目の前でアリスの青ざめていた顔色が目に見えてマシになっていく。
それに応じてモネの顔色は青くなり出していた。
「おいモネ、1度辞めておけ、お主が体調崩してどうするのだ。
サキュバスなのだ吸うことなら相手が誰であろうとできよう!
我の生命力をアリスにあげぬか!」
動きがピタッと止まった。
「……スケベ……。はむ……。」
一言、言い残し再び接吻を再開する。
だが先程のとは違いもう魔力も生命力も移動していないことは魔眼のお陰でわかっていた。
(モネめ、どちらがスケベなのかわからぬではないか。)
熱い熱い百合は日が昇るまで続くのであった。
それからというものも我輩、懲役と牢屋生活相まって今いる場所、方角、目指したい街、どれもわからぬのである。
目指す街の名はゾーゾーという街である。
どうやらドレスティー連邦、国内1の大きい冒険者ギルドがあるのだとか。
流石受付嬢、話と仕事が早いものだな。
「アリスかモネか、どちらでもいいが街はどっちかわかるか?」
返事がないので振り返るとイチャついていた。
「ハァ、ハァ、お姉様〜」
「モネ〜、好きよ」
全く使えぬ従者たちである。
(というか生き物の気配がしないな。
折角だ! 耳でも澄ましてみようではないか。)
技術:洗練感覚、知覚拡張、発動
洗練感覚にてより鮮明な音の聞き分けを知覚拡張にて広範囲までの五覚情報の取得を可能にした。
技術発動後、徐々に研ぎ澄まされていく心地良さがやってくる。
森に吹く風の音、木々のささめき、それに紛れ火の音と人のような声が聞こえてくるのであった。
「そこか!」
高鳴る鼓動、早まる気持ちに任せ冒険者一団と思しきキャンプ地へと姿を晒したまま突入してしまうのであった。
面白いと錯覚を起こされたり次話気になる症候群に陥った方は☆☆☆☆☆←これを適当にタップして下さいタップでいいので。
ゾーゾーの街→ゾーゾータウン→ZOZOの街、まぁそういう雑なネーミングです。