表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/28

0話 我はプロローグを語りたい

本編は二千文字前後で更新していく予定です。


世界観を掴むために長めに書かせて頂きました。


拙い表現、文体ですので誤字報告等助かります。


毎日更新できるように励むぞー( *`ω´)

 我はフランツ・フォン・プルソン!


 悪魔、人魔、天魔、魔族、などを従えた魔王[元]である。


 なぜ[元]なのかというと実際今も魔王とされて認知されているのか分からぬからである。


 我らは元は精神世界の住人、その後悪魔として現世での肉体を持ち合わせたというわけだ。


 そうだせっかくだからこの堂々たる肉体の話をしよう。


 まずなんといっても王たる我に相応き獅子の顔! 見るだけで人を恐怖させる事ができるぞ! ただ見ただけでよく逃げられてしまう。我は喋りたいだけなのに……。


 次に熊をも彷彿とさせる太い太い豪腕! 足も豪脚だ! 指の先まで、すね毛が剛毛通り越してもはや森だからな。最近は人目が気になって仕方がないのだ。


 で、まぁ、イグアナのような刺々しい尻尾! しなやか、万能! うん、便利


 そして何よりこの・肉・体・!

どんなに土木しようとも、

どんなに建築しようとも、

どんなに運搬しようとも、

どんなに採掘しようとも、

どんなに炭鉱に送られようとも、

どんなに……、

どんなに……、

どんな……。うぅぐすんっ……。


 そうどんなに過酷な労働を強いらても平然なこの素晴らしい肉体を持ちながら我は負けたのだ。


 敗北者、負け犬、脱落者、恥晒し、なんと呼ばれようとも負けた事実は変えられないし認める他ない。


 我は過去に幾度となく街を占領し数多の命を奪ったことがある。


 そうして領土を拡大していったし欲しいものもそうやって手に入れてきたからだ。


 勝った者にのみ奪う権利がある、そう考えてきた。


 そうして奪ってきた報いとして153年と142日、ある少女が科した懲役をひたすら続けて来たのである。


 長すぎるだと? 同然だろう。


 我は今まで総勢約1億人の命の存続にも関わるような事をしてきたのだ。


 倒された以上それの罰則を受け入れるのは当然である。


 ならなぜ死んでいないか。


 我としては辱めの他、何物でもないのだが死刑はさせるなとある少女がひたすら訴えた結果なのだ。


 少女の願いは聞き届けられ我は監視下の元ひたすら懲役することになった。


 これもその少女の願いである。


 既に少女が死んで90年は経つのだろうか……。

 我は良くも悪くも生かされたのである。


 我はずっと生かされた意味を探していた。


 懲役という名の過酷すぎる訳の分からない労働を誇りのためだけに一生懸命熟してきた我だったがふと我に帰った時「我輩は誰のためにしているのだ」そう思わずにはいられなかった。


 だからこそ生かされた意味を探していた。


 奪った命を償う為の労働なのはわかっておる! わかっておるが今やっていることは我が奪った人のためにはならない。


 例え掘った物も建てた物も運んだ物も決して死した人に寄与されるわけではない。


 我が奪った人がそれらの職についていたことも運搬や建築はともかく他は当たらないであろう。


 それらを全て懲役してきた我は何のために生かされたのか疑問だった。


 我ら悪魔の寿命はただただ長い、精神的に死なない限り肉体が朽ち果てても死にはしないのだから。


 肉体が朽ちれば精神世界へ戻るだけ、だが我の身体はそれを良しとはしないほど頑強な肉体である。


 どんなに過酷な懲役でさえも平然と乗り越えたのだ。


 そう汗一つかかず平然とである。


 こんな程度の肉体労働では精神がすり減っても肉体はすり減らないのだ。


 ん? 精神が擦り減るということはある意味寿命が削られたのかもしれないな


 まさか!? そのために!?


 まぁそんな訳はない。と思いたい。


 不穏分子である我を現世から精神世界へ送り返さずに死ぬかも分からぬためだけに精神的に擦り減らす意味などないのだ。


 むしろさっさと殺して次の復活までの長きにわたる平和な時間を謳歌すべきである。


 精神世界でも我々は生きており寿命も減るのだ。


 まぁそれを人間が知ってるかどうかは別問題なのだけれども。



 ともかくひたすら自分は何のために生かされたのかひたすらに自問自答をし続け探ってきた。


 果たして見つかりこそしなかったのだが1つ確かな事がある。


 それは我輩は敗北からの懲役により屈辱という名の苦汁を舐めさせられた上に我が償うべきものへ償われたかもわからない労働によって文明が飛躍的に発展した人間共が呑気に暮らしておる。



 許せない訳ではないが一部既得権益者の傲岸不遜はどうしても許容できないものがある


 農家生まれのどうしようもないマヌケなあやつも流石にこれは望んでいなかったはずだ!


 文明は彼女の旦那から叩き込まれた知識にて彼女らの願いであったから発展の手助けこそしたものの。


 貧困格差が激しくなっても尚、傲慢で強欲で何もしてないくせに傲岸不遜な四家のあやつらは許せない!


 我が其奴らを正してやるとここ50年は思い続け働いてきた。


 そして今日(こんにち)ついに153年と143日目で懲役完遂である!


 ついに我は自由を手に入れる日を迎えたのだ。


 朝早く、役員がやってきたため我はその男たちに続き薄暗くところどころの雨漏れにより岩レンガの隙間からキノコが生えるほどのジメジメした地下収容所を出た。


 今日ここで自由となるのだ。


 まずは美味しいものを目一杯食べよう! 硬いパンは飽きた!


 次に寝床も確保したいところである。


 雨漏れの心配をしなければならない地下牢なんてまっぴらごめんだ!


 そして、そして! 我もあの少女・メイのように対等な仲間という者が欲しいところである!


我には等しい仲間などなく、部下しかおらなんだ。


 欲しい者が増えた我はウキウキしながら男についていった。


 だがそんなウキウキもすぐに途方もなく長い階段といつもの悪臭で幻滅した。


(ぐぬぬ。毎日毎日通っておったが臭いし何より長すぎる……。


どんなけ下に作りおったんや……。


地下といえばこれ並みに延々に掘らされたとこあったなぁ……。


それらとはもうおさらばだ!!


いやっほーい!! )


 我は浮かれたまま単なる好奇心で耳を立てた。


 獅子の丸い耳だが意識を集中させるとかなり遠くの音まで拾えるのである。


 なんとなくただなんとなく立てた耳、聞こえてきた内容は衝撃的だった。


(なんとその手筈だったか……。)


 約154年ぶり……。一段一段登るごとに高揚と緊張により、気を引き締めた。


 真っ直ぐに続く階段はやがて自由への光を次第に大きくしていった。


 最後の一歩手前で立ち止まる。


「どうしました? プルソン君、


多忙なご活躍を成し遂げた貴方の釈放を皆が待ち望んでいます。さぁ。」


「ガバルよ。お主は今回の作戦、どう思う。」


 男は下を向き唇を噛んだ。


 ずっと無言だった13年も付き合いのある彼からの言葉も思いも聞き出せたので最後の一歩を踏み出し外へと出た。


 ちょっとした祠のような出口より出た我輩を待っていたのはまるでトランペットのファンファーレのような盛大な歓声である。


 この歓声により一層、警戒心を引き上げた。


(ふむ、やはり異様だな、こんな熱狂など……。


常に我をこき使ってきた彼らにとって我は優秀な働き手のはず。


土木するにせよ運搬するにせよ鉱石を収集するにせよ人の何倍もの働力を失うのになぜ熱狂しておる。


ため息がでるわい……。)


 我は腹を括り更に踏み出す。


 広場の中央にある演説会場のようなお立ち台を目指して音を聞きながら一歩、更に一歩ゆっくりと踏み出す。


 だがそんな警戒など意味を持たなかった。


(ふん! こんなものでやろうとしていたのか……。我を舐めるのも大概にせい!)


 我はお立ち台の中の秘密に気がつき憤慨する。


 我は自身満々にお立ち台へと参上した!


 我、完全復活の記念日である!


「これより154年もの懲役を見事に熟した悪魔、フランツ・フォン・プルソンの解放式を執り行います。


それではプルソン君前へ


何か一言お願いします。」


 それに従い我も前にでる。


 この演説で忌々しい魔力封じのブレスレットを取り外すこととなる。


 さぁなんて言おうか。我! 復活!


 それとも!? 我! 参上! なんというかどれもつまらぬな。


 そもそも我輩にすべきか!?


 何も言わないと始まらなさそうなのでいい加減に始めることにした。


 後ろをしっかり警戒しながら演説を始める。


「我は魔王! フランツ・フォン・プルソンである


我の肉体は153年142日程度の懲役では物足りぬほど楽であったぞ。


だがその間にも色々考えさせられた。


何のために我はやっておるのか。


我は何の役に立てたのか。


その結果が今日である!


ここに魔王としての復活を宣言いたす!」


 その宣言と同時に熱狂が巻き起こる。


 それに紛れ込むようにお立ち台の下に隠された槍使いが飛び出してきた。


 すぐさま手を引き目的を果たす。


 技術(スキル): 知覚拡張、超集中、発動!


 我は魔王としての数百年、捕まってからの153年ずっと修行期間のようなものである。


 技術(スキル)とは努力の末習得できる便利なものである。


 感覚だけがゆっくりになった世界で横目にて我の心臓を刺さんとする槍を確認する。


 武器のグレードとしてはエピックといったところだろう。


 国に数本あれば良い方の発掘系の武器である。


 対してこちらは汎用性に富んだ量産出来るレアもの、グレードとしてエピックより2段下である。


 ゆっくりと動く視界の中、槍をずらされてはいけないためギリギリまで待つ、そして……。


 バキンッ!


 右腕に巻かれていたブレスレットが砕け散り槍先が少し我の剛腕に刺さっていた。


 技術(スキル): 詠唱破棄、魔力増強、(マナ)ゾーン、発動!


 硬化魔術・金剛(ダイアモンド)不動紋様(ファブリック)!!


 解放された直後に魔王時代身につけていた技術(スキル)をフル活用し硬化魔法を瞬時に最大効率で発動させた。


 瞬く間に体全体へと硬化魔法特有の紋様が広がる。


 槍使いはこれ以上はダメージを与えられぬと判断したのか引き抜こうとしだした。


 だがそんなことは敵わぬ、依然として我の肉体にめり込んでいるのだ。


 我が力を加えたせいで簡単には引き抜けまいて……。


「さぁドレスティア帝国さんよ。


これは一体全体どういうことかな?


我を嵌めるつもりだったということでよろしいよなぁ?」


 問い詰めるかの如く凄みを増して煽った。


「や、奴を殺せー」


 司会進行していた司祭が憤りと焦りを滲ませそう呟いた。


(残念だ。非常に残念だ。


あやつはおそらく共存を望んでいたはず。


それがこのザマか……。我はこの肉体が死す刻まで追われる身のままなのだろうな……。


 捕まっている153年の間、我は彼らの道具にしかなり得なかったというわけだ。


 非常に残念だ。


 まぁ良い。それでも良い。)


 諦めをつけた我は高らかに叫ぶ。


「スネイプ! 我に呼応し顕現せよ! 」


 魔法陣が現れ瘴気を放ちつつ、コブラのような毒蛇の魔獣を呼び寄せた。


 我の相棒である。


 それらを見た人間はというと絶叫、動揺、混乱、錯乱、失心、痙攣、というまさしく阿鼻叫喚の喧騒に包まれている。


バキュン


 そんな喧騒を切り裂くように銃声が鳴り響いた。


 ドス、弾丸は硬化魔法にて防せがれた。


 だがそれはあくまで撃ち抜かれないためだが銃弾の回転まではどうにもならない。


「あっち!ったくさっさとずらかるぞ。

スネイプ! 煙幕! 後は任せた。撤退するぞ! じゃあな。我と共存を選ばぬ愚かな人間共よ。


潰してやろう。今更後悔しようと遅いぞ。」


 弾丸の回転による摩擦熱はとてつもなく思わず声に出してしまった。


 蛇には魔法で黒い煙幕を張らせた、風魔法で吹き飛ばさないといけないがそんな余裕など阿鼻叫喚で占領されたこの空間にはない。


「風魔法使えるものは風魔法で煙幕を消せ!おい!誰か!誰かさっさとやれーー!」


 司祭が喚いておるわ。とっても気味が良い。これがあれか。あの転生者が言っておったざまぁというやつか。(勘違い)


 その場を去りながら後ろを振り返る。


 そこには大きなお城が見て取れた。


 我が60年ほど前に10年かけて必死こいて1人で建てた城である。


 材料調達から運搬、建築まで全てだ。


 そんな思い出の詰まったところは我は必要とされなかった。


 むしろ我を殺そうとしたのだ。


 醜い、あまりにも醜い。


(元は皆優しく温かい国だったはず……。


この30年で国をここまで変えさせた輩を我は決して許さない。


我の第二の故郷であるここを追い出した家々を絶対に全て潰してやる!)


 この国を支える4の家、それらがこの国を腐らせた。


 我はそう確信した。


 そして復讐を誓う、我と共存を選ばないどころか嵌めようとした輩に対して……。


 今度は血を流さずとも潰してやろうと心に誓って。


(共存の道を選ばぬお主らに後悔させてやるわい。覚悟しておれ。


まずは飯を確保して仲間を集めよう。


人間だろうが悪魔だろうが例え天使や神だろうがなんだって構わない。


そして国を作って財政的に、貿易的に、国力的に、圧倒的力で4つの家家を潰してみせる!)


 我はそう決心し近くの街へと向かったのであった。

面白いと錯覚を起こされたり次話気になる症候群に陥った方は☆☆☆☆☆←これを適当にタップして下さいタップでいいので。


しれっと名を出したメイの話はいずれ出すかもしれません。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ