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悪意

ゴブリンと戦った後、修行を続け3日、4日とたった。身体能力や魔法の規模も上がり始めてきた。新しい魔法も考えてイメージすることで使えるようにもなるようで、水の魔法なども考えていた。


いつものように魔法の威力を試していると、背中につよい視線と寒気を感じ振り向くが、何もいない。しかし、今度は前から感じ、前の方へ向き直すと、真っ赤な体をし、頭に角が付いており、手には片手剣を持っている。


ゴブリン達とは違う類いのモンスターだということはすぐに分かった。そして、よく見ると、手の甲に……ピエロ?……のような絵が書いてある。ニッコリと笑ったピエロよ絵は薄気味悪さを覚えさせる。ゴブリン達にもあるのか確かめてみる必要がある。


しかし、今は目の前のコイツだ。強いということは直感で分かる。


ーー少し離れた同じ森ーー

…「さて、私の作った魔獣 ジャバガルの最初の犠牲者になってもらいましょう、少しは抵抗してくださいよ~、力を試しておきたいですからね。フッフッフ」……


ーーアルナとジャバガルーー

コイツは剣を持っているが、俺は持ってないぞ、やりにくいな。そう思ったとき、こちらが剣を持ってないと分かったのか、左手を前に出し、グッと力を込めると片手剣が手から出てきた。そして、それをこちらへ投げてきた。「ありがとよ」そう言って剣を受け取り、構えた。


こちらが準備できたのを確認すると、こちらに向かって斬りかかってきた。こちらも剣を振り、二人の剣が接触する。「ギィィィイーーーン」という音と共に二人がにらみ合う。先に動いたのは魔獣の方だった。体勢を左へ落とし、右斜め上へ斬り上げる。アルナは体をそらしそれを避ける。と同時に右手で剣を斬り上げた。だが、剣で受け止められてしまう。


「ギン ギーン」と斬り合いが続く。相手の剣をこちらの剣で受け止めたとき、魔獣が反対の手を前につきだし、「ウギ ギャグ」と何かを言うと、手から氷のつぶてが飛んできた。アルナは左にとんでそれを避ける。「危なかった」そう言ったが、つぶてのかすったほっぺたからは血が出てきた。「くっコイツ何も考えてないわけじゃない、剣だけでダメならと、他の手も使ってくる。長引かせるのは得策じゃないな」


こちらが攻めようとしたとき、魔獣はすでに次の魔法の準備が終わっていた。すると、少し上の方から雷が落ちてきた。一本だけだが威力は十分だ。アルナはそれをかわすが「ズドーン」という轟と共に、すさまじい衝撃がきた。


体勢が悪かったため吹き飛ぶ。すぐに相手を見るがさっきいたはずの場所にヤツはいない。「どこだ……」わずかな気配を感じ咄嗟に上を見る……



いた……。



魔獣は上からものすごいスピードで剣を突き刺しにかかっている。咄嗟に一歩下がり、がら空きになっている腹に蹴りをお見舞いした。「グガッ」と言い飛んでいく。しかし、すぐに体勢を整え始める。間髪いれずに考えていた水魔法を打ち込む。


魔獣は体勢が悪く水を避けることができず、バシャッと水がかかる。しかし、ダメージは全くない。瞬間、魔獣にかかった水がキンッと氷になり、魔獣の動きを封じた。ダメージのない水魔法を放ったのは、最初から氷にして動きを止めるつもりだったのだ。アルナの狙い通りに事が運んだ。


すると、魔獣が急に「グガー」と叫び体の周りが不気味なオーラに包まれ始める。よく見ると、手の甲にあった笑顔のピエロが怒った表情のピエロに変わった。


アルナは直感でこれはまずいと感じ、早急にトドメをさしにかかる。足元に素早さのブーストをかけスピードを上げ、剣を構えて、突き刺すために地面を蹴った。ものすごいスピードで魔獣に接近していく。だか、魔獣の方もおかしな変化が始まっていた。

角はより太くなり、お腹の中心辺りから黒い鋼の鎧のようなもので覆われ始めた。


このままでは突き刺さらないかもしれない、しかし、アルナと魔獣の距離はどんどん近づいていく。


アルナの剣先が赤く光る。


「グサッ!!」アルナの剣が魔獣の腹部を貫いた。「グガ グッガガァァ~……」魔獣の体は朽ちて崩れ、消えてしまった。


「勝った、良かった成功した」おそらくあのまま剣を突き刺していたら鎧のようなもので弾かれていただろう。そこで、咄嗟にこの前ゴブリンがやっていた強化する魔法を剣にかけていたのだ。よく分からないモンスターだったが、一体なんだったんだ。考えても分からないので、結局は修行の続きをしていくことになった。


ーー少し離れた同じ森ーー

「ん~、まさかジャバガルを倒してしまうとは、これは予想外でしたね。まあ、思っていたよりジャバガルは弱かったので失敗でしたね。あんな氷もすぐに壊せず、覚魔化も完璧ではなかったですね。まだまだ改善点がたくさんありますね。強い魔獣は作ってますし、今の戦いのデータからさらに改良を加えられそうですね。失敗作のジャバガルと同じくらいの強さなら、あの少年もすぐにくたばってしまうでしょう。それにしても、ちゃんと作ったつもりだったんですけどね~。まずあそこはあっちの方を取り入れましょう。魔法に関してもあれを…………」


アルナと関わってくるのはもう少し先の事……



異世界に来てから十日が過ぎた、その間もアルナは修行を続けていた。今日はあの試験をすると書かれた日である。アルナはついに森から出て、試験のある会場へと向かうのだった。


この時アルナは知らなかった、自分がこの世界での一般的な力をはるかに凌駕する力を身に付けてしまっていたことを。


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