作戦開始
俺の部屋で雑談をした後は、リルとミリアは部屋に帰りそれぞれ眠りについた。
翌日になり、俺達は魔方陣のある部屋に向かった。そこには、すでに作戦に参加するたくさんの人達が集まっていた。今後の運命を左右する戦いが起こる、ということもあってか皆、真剣な面持ちだ。人が集まり終え、学長が話始める。
「今日、今後を左右する戦いをこちらからしかけます。負ければ、終わりと考えてもいいでしょう、それほど大事な戦いです。一発勝負なので、ハプニングなども起こるでしょうが、今までの訓練や授業を生かし、臨機応変に対応してください。」
最後にこの世界で、大事な戦いの時に使う掛け声がかかった。
「世界の命運のために勝利」
「「勝利」」
学長が魔方陣に近づき手をかざすと、魔方陣がほのかに赤く輝きだす。その光はやがて強く発光し、その場に集まった者全員をやさしく包み込んだ…。
眩しさが消え、視界が戻ってくる……先ほどまでの場所とは異なった場所についていた。
空は青くなく、不気味な赤色、地面は荒れ果てている。そして、禍々しいオーラを放った城が先の方に立っている。そして、城の周りには遠巻きだが、魔獣や魔物が確認できる。
自分達の知らない場所に、いきなり到着したことにより先生方も含め、動きが止まってしまった………が、学長は自分のすべき事をしっかりと理解していた。
「先生方及びSクラスの生徒は城へ全力で向かって下さい。Aクラスの生徒達は城の周りにいる魔物及び魔獣の相手をして、道を作ってください」
それを聞いた者達は自分のすべき事を思いだし、すぐに行動に移した。
城までの距離は遠くなく、すぐに城は大きく見えてきた。城の近くまで来たところで、こちらに気づいた魔物と魔獣が襲いかかってきた…がそれはAクラスの生徒が対応してくれるので、気にせず城へと向かう。やはり、Aクラスの者もみんな強くなっているようで魔獣と渡り合えている。覚魔化をさせないよう、攻めることを止めない戦法も上手くいっているようだ。
「うわーっ」
横の方から叫び声が聞こえ、皆、城へ走る足を一度止めた。そちらの方を見ると一体の魔獣がいる。
「弱いな~」
!?しゃべっている、今までの魔獣にはいないタイプだ。Aクラスの生徒が思わず声をあげる。
「こ…言葉を使っている…」
「おいおい笑喋るだけで、驚くのかよ。じゃあ、これも驚くのか?」
魔獣が力を込めると、一瞬にして覚魔化してしまう。そして、よく周りを見てみると複数体、魔獣が同じように覚魔化してしまう。
それを見た学長はすぐに作戦変更を伝える。
「アルナ、リル、ミリアを除いた全Sクラスの生徒及び、私を除いた全教師はここで魔獣の相手をしてください!一体に対して、複数人で対応、戦闘終了後は即時、他を手伝いなさい。すべてが終わり次第、来れるものは、城へ!」
作戦を聞いた後の動きは皆早かった、すぐにその通りに動き、俺たちは城へと向かった。おそらく、厳しい戦いにはなるだろうが信じて進むしかない……
後ろを任せ、俺たちは城へとついた。重々しい扉を開け、中へと入る……予想とは外れ中には魔物や魔獣はいない…妙に静かだ…
気配感知をしてみても、引っ掛かるのは一体のみ。これがおそらく、暗黒王ということでいいのだろう。通路を抜け、一つの部屋の前に4人はついた。中へと入る…そこには一人の男が座って待っていた。
明らかに強いことは分かるのだが、何か違和感を感じる…
「わざわざお越しいただいて、ありがとうございます。どうも、初めまして、私は七大罪が一人 傲慢を授かりしルシファーです。と、まあ初めましてではない者も2名ほど伺えますが。」
「…ルシファー、久しぶりですね…」
「いつぶりですかねー、あの方はお元気ですか?」
「……あなたが殺したのでしょうが、先代学長を…」
「あー、そうでしたそうでした。悪ふざけはこのぐらいにして……そちらの男性も、以前森で見かけましたね。私の魔獣を倒した方で……名前は知らないです」
「アルナだ。あの時、近くにいたのか、じゃああの魔獣はお前が作り出しものだったんだな?」
「その通りですよ~」
そこに学長が質問をぶつける
「あなた達…魔獣を産み出すものは、なぜ自分達で攻め込まず魔獣を産み出して差し向けるのですか?何かメリットがあるのですか?」
「あなた達は後で訂正するとして、そうですね私が魔獣を産み出して襲わせるのにメリットなんかありませんよ?ただ、高みで見物をして殺しなどを見るのが好きなだけですよ笑」
「っ!下衆が…"あなた達"の訂正とは?」
「褒め言葉として受け取っておきますよ。そうですね、私の他に後6人と暗黒王がいるのは知っていますね?実はですね、他6人は私が隙をみて、吸収してしまいました。そして、暗黒王…あの方も随分弱ってしまったので、同じく吸収してしまいました。とっても強くなれましたよ?
なので、私さえ倒せればあなた達の"勝ち"ですね~」
とてつもなく強いということは、4人とも初めから感じていたが、違和感の訳にはこういった理由があったのか。
「でもですね、いきなり最終目標と戦うなんてずるいので、私からプレゼントです」
そう言ってルシファーは手を前に出す…空間が歪み雷が走る。その眩しさが消えた瞬間、そこにはいなかった、魔獣が現れた。
「その子はグリオンと名付けましてね、強いですよ~その子を倒してから私の元へ来て下さいね~」
ルシファーの姿は一瞬にして消えてしまった。魔力感知によると、この城の最上階で待機しているようだ。
目の前に現れた魔獣、姿はグリフォンとライオンが混ざったような姿をしている。これらの動物は傲慢に比肩する動物達だ、そして、こいつも強い。あの喋る魔獣よりも強いのが分かる…
「こんな所で時間を割いてはいけません、私が相手をするので三人はルシファーを、私では役に立ちそうにありませんから」
学長が一人で相手をしようとしているらしい。
「私の方が役に立ちません、学長がアルと行ってください!」「アル君と学長が行くべきです!」
「あなた達はアルナとしっかりと連携が取れます、私なんかよりよっぽど上手く戦えるでしょう。だからこそあなた達に行ってもらいたいのです。」
「リル!ミリア!行こう俺たちでルシファーを倒すんだ!」
「…うん!」「…分かった!」
学長がグリオンに拘束魔法をかける、一瞬で解けてしまったが、高速で扉まで行き、奥へと進んだ。ルシファーの所へ行かせないようにグリオンは俺たちを攻撃しようとしたが、攻撃は来なかった。学長が食い止めているのだろう…
俺に続きリル、ミリアが後ろから付いてくる。奥へと続く通路、階段と進んでいき、ついにルシファーの部屋へと入る。
「おやおや、やっぱりそういう感じで来ますよね~ちゃんと戦ってきてくださいよ~
………まぁ、いいでしょう。では、どうぞかかってきて下さい。あなた達に与えましょう……
…恐怖と…
…絶望……
……そして死を…………」
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