対策と作戦
魔獣が攻めてきてからというもの、負傷者の治療や学園の修繕などで学園内は慌ただしくなっている。ある程度、治療と修繕が終わると魔獣襲撃の話になった。
会議室のような所に俺とリルとミリアがリンディール学長に呼ばれた。どうやら先生方も集まっている。学長が話を始めた…
「魔獣襲撃に大きく貢献した三人にも集まってもらいました。今回集まってもらったのは他でもありません、魔獣襲撃に関してのことです。この襲撃、アルナ、リル、ミリアがいなければ大惨事になっていたことでしょう。そう、学園内の力が足りないということです。そこで学内の力をもっと強化しなければなりません。そして、強化した暁には奴らの根城暗黒平野フィアヘイビルへこちらから攻めようと考えています。」
「!?……」
「ぇ……」
周りの先生達はビックリして声がでないらしい。一人の先生が声を上げた。
「……学長!仮に、仮にです、我が学園の力を上げたとしましょう。しかしフィアヘイビルにはどうやって行くのですか?あそこは場所が特定されないよう魔法がかけてあり、容易に見つけ出すことは困難です!」
「…えぇ、そうですね。普通に見つけ出そうとすれば、それは極めて困難でしょう。しかし、これは誰にも言っていなかったことですが、先代学長が命と引き換えに暗黒平野フィアヘイビルへの直通魔方陣というものを作って下さりました。それを使えば攻め込むことが可能です。」
「!…」
またも先生方は絶句している。
「言葉を失うのも無理ないでしょう。しかし、話を続けさせてもらいます。攻め込むための準備は整っています、後は力をつけなければなりません。全体的に力を付けさせなければなりませんが、SクラスとAクラスの子達以外は学園の方を守ってもらい、SクラスとAクラスの生徒と私を含め実力のある先生で攻め込みます。城にいるであろう暗黒王を討つ事ができれば、私達の勝利です。」
この後も話は続き、学長と実力のある先生方がSクラスとAクラスを重点的に鍛え、さらに俺も教えることになった。授業とは別に、俺はリルとミリアも鍛えていた。
襲撃から2ヶ月ほどたった。あの襲撃以来、魔物が数匹や魔獣が一匹のみなど攻めてきた。それがちょうどいい刺激になり、2ヶ月たった今では、Aクラスの生徒たちでも数人いれば簡単に魔獣を倒せるぐらいに強化された。Sクラスの生徒ならば一人で魔獣を倒せる、覚魔化した魔獣となると話は別だが、リルとミリアなら大丈夫だろう。そう思えるぐらいに二人とも強化したつもりだ。
こちらから攻め込む作戦はもう決まっている。作戦としてはこうだ、まず教師陣とSクラスとAクラスで転送魔方陣を使って暗黒平野フィアヘイビルへ向かう。道中のモンスターやら魔獣はAクラスで対応し、城内にいるであろう7人の魔獣を生み出すものを先生方で対応し、暗黒王は俺とリルとミリアで対応をする。この流れで上手く行けばいいが、アクシデントは付き物だ、気を引き締めなければならない。
明日には攻め込む予定で事が進んでいる、今日はゆっくりと休み明日に備えなければ……と思っているのにこの二人ときたら、俺の部屋でお喋りをしている。魔法に関する話や明日に関する話もしてはいるが、ほとんどは雑談といった感じだ。
「アルは卵焼きには醤油?塩?」
「俺は断然塩派だ!」
「わ~アル君私と同じだ」
…まあ、こんな調子なら明日も大丈夫かもしれないな
作戦決行の時は、刻一刻と迫っていた……。
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