襲撃
すみません、一日遅れました
ここから、バトルが激しくなっていきます
昨日は魔体祭があったため、今日は振り返りで学校の方は休みになっている。リルとミリアに連れられて、今日は町に来ている。
「今日はどこに行こうかな~」
「まだ、決めてなかったから選び放題ね!」
そんなことを言いながら、町を歩く。しばらくして、やっと行くところが決まった
…………!?
町の外から嫌な気配がするのに気づいた、リルもミリアも気づいているようだ。その、嫌な気配はすぐに近づいてきて、アルナ達の上空を通りすぎていった。通りすぎた数は四匹だった。向かっている先は…学校のほうだ。
「アル君あれはやばいよ…」
「学校に帰るわよ!」
「…ああ、急ごう!」
急いで学校まで戻ってきたはずだが、学校の所々が壊れている。魔力で感知したところ、グラウンドに一体、校舎裏入り口の所に一体、屋上に二体いることが分かった。グラウンドの敵は実力のある生徒が数人と学長で戦っているので大丈夫だろう。問題は裏入り口の所だ、学生がすでに何人かやられている。屋上の二体は、どうやらエミーア先生が戦っているが二体はきついのだろうずいぶん弱っている、すぐに向かわなければ。
「リル!ミリア!裏入り口にいるヤツを倒しにいってくれ、俺は屋上の二体を倒す」
「そんな、アル君二体も相手なんて」
「ミリア、アルなんだからきっと大丈夫よ、私達は入り口のヤツを倒しにいきましょ!」
「……そうだねアル君だもんね、気をつけてね」
「ああ、二人も十分注意してくれ」
リルとミリアは入り口方向へ向かっていった。
「俺も早く向かおう」
そう言ってアルナも屋上へ急ぐ。
リルとミリアは裏入り口の所へ急いでやってきた、そこには羽の生えた体の赤いモンスターと、周りには生徒が何人か倒れている。
「っ!大変なことになってるじゃないの」
「やっぱり、あのモンスターの魔力量おかしいよ」
「ミリア!私が他の生徒を安全な場所に移す間あいつの相手を頼むわよ!」
「うん、なるべく早くお願
」そう言い、二人はそれぞれの行動に移る。
モンスターはミリアの方を向いている、ミリアに狙いを定めている、今はその方が好都合だ。ミリアはモンスターに手を向け氷硬弾を打ち込む。モンスターは氷の弾がすぐ飛んできたことに対応できなかったらしい、無詠唱が予想外だったのだろう、お腹辺りに当たり後ろへ吹き飛ぶ
…………!?
ミリアはモンスターが起き上がる時に見せた背中に驚く、先ほどまではずっと真正面しか見えていなかったから分からなかったが……
ピエロだ…
ニッコリと笑ったピエロのマークがついている、これがついているということは、そういうことだ……
魔獣だ…。
なぜ魔獣がこんな所に、しかしこれでこのおかしな魔力量も説明がつく。しかし、ミリアは強い強いと学校で教えられた魔獣が目の前にいるということで、少し気持ちに揺らぎが起こっていた。その瞬間を狙われた。
魔獣は目の前に迫り促進をかけた右手をミリアに振り下ろす瞬間だった。ミリアは体が強ばって動けない、ギュッと目をつむる……攻撃が来ない。目を開けるとそこには、攻撃を防いでくれているリルの姿があった。
「早かったでしょ?」
「ちょっとおそいよ」
リルは魔獣を弾き返す。
「背中にピエロのマークがあるわね…なに緊張してるのよ、私達なら魔獣でも負けないわよ」
「うん、そうだね!ありがとう」
リルのおかげでミリアも本調子に戻った。
ミリアとリルの二人体制で魔獣と対峙する。先に仕掛けてきたのは魔獣の方だった、またすばやくこちらに近づいてくる。狙いは……リルの方だ。迫ってくる魔獣の足元がすばやく凍る。ミリアの氷魔法によって足が動かなくなったことにより、魔獣は自らのスピードで地面へと倒れる。そこめがけてリルの上空からの一撃が背中に命中する。
グガッと言い、地面にめり込む、続けてリルは上に跳び、魔獣めがけて炎矢を打ち込む。魔獣の体に突き刺さりはしたが、魔獣の体が硬いのかいまいちなささりだ。魔獣は起き上がり、まだ上空にいるリルをちらりと見てから、手を地面にかざしてぶつぶつと何かを言う。
すると上空にいるリルの真下の地面から先の尖った土でできた触手のようなものが出てくる、その触手はリルにしっかりと狙いを定めて迫ってくる、「ズガッ」触手がリルの脇腹をえぐる。「ぐっ……」リルは痛みをこらえる、リルが上空で体を反らしたことにより、致命傷は逃れた。反らした勢いで、そのまま触手を蹴り飛ばすと触手は消えてしまった。脇腹をえぐられたリルは重力に引っ張られ、地面へと落ちた。倒れた先にはニッコリと笑ったピエロマークが見える……。
リルに魔法を使ったことにより、ミリアへの警戒が薄くなった。その瞬間の見逃さず、雷瞬玉を打ち込む。ビー玉サイズの雷の玉が出る。これは、小さいかわりにスピード特化だ、これを連続で打ち込む。一つ目のビー玉サイズが魔獣の体に入ると、体内から電撃が走る。それが何度も繰り返される。
雷瞬玉が入るたびにすごい音が魔獣の体内から発せられる。6こ目が入ろうとしたとき、魔獣が叫びをあげ、入ろうとしたものを打ち消す。まだこんな力があるとは、さすがだ。魔獣の目が血走っている、誰が見てもわかるだろう、明らかにキお怒りだ。
そして、魔獣の体が不気味なオーラで包まれ始める……瞬間魔獣の魔力量が徐々に、しかし確実に上昇していく。
「ミ…ミリアー!背中のマークが怒りに変わってる、これが…これが覚魔化よ、覚魔化する前に倒さないと、大変なことに」
脇腹がズキズキと痛むのを我慢しながら、ミリアに伝える。
こうしている間にも、魔獣の魔力は上がっている。ミリアは魔獣に狙いを定め、三氷柱を打ち込む、しかしこれだけでは倒しきれないかもしれない、三本の氷が出てくる瞬間の、その先端に促進、そして鋭尖の二つを一瞬でかける。次の瞬間には、魔獣の体を三本の氷が貫く…
「グッ………グ…グ………ガアァァァーー」
倒せるかと思ったところで、魔獣は踏ん張り覚魔化を続けてきた。
「まかせて!」
そこには、脇腹から血がでているリルが立っている。そして、紅蓮の空柱を魔獣に打ち込む。
燃え盛る中で魔獣が叫びを上げ続けている。やがて、叫びが消え、炎も消えた。そこには、黒い炭となってしまった魔獣が立っていた、触れると崩れ落ちてしまった……
ミリアはリルの方へ駆け寄る。
「リル!大丈夫?」
「なんとかね……」
ミリアがリルに回復をかけ終わる。
「ありがとう、もう大丈夫よ」
「どういたしまして」
危ない場面もあったが、覚魔化を阻止しリルとミリアは無事魔獣を倒すことができた。
そして、その頃屋上の方では……………
アルナも相手は魔獣だと分かっていた、額とおなか辺りにそれぞれピエロマークが付いていたからだ。エミーア先生は屋上の隅の方へ移動させた、安心したのかそのまま気を失ってしまった。アルナの圧倒的な力の前に魔獣二体はボロボロだ。
すると一体の魔獣がアルナにガッチリと抱きつき身動きを封じてきた。軽い攻撃では振りほどけない、防御を捨てて身動きを封じてきている。この隙を利用して、もう一体の魔獣の魔力が上がっていく、勝てないならと連携して片方のみを確実に覚魔化させようとしている。
「そうは行くか」
促進を両手にかけおもいっきり両手を広げる。瞬間的な威力で拘束が解ける、風をおこし魔獣を上に吹き飛ばす。目の前には覚魔化途中の魔獣が見える、氷をぶつけ魔獣が倒れる…そこへ先ほど吹き飛ばした魔獣が落ちてくる、風を操つり下へ落ちるスピードを上げる、さらに回転をかける…それはまるで槍のようになり……下へ落ちた。
魔獣が魔獣の上へ落ち、共にグギャと声をあげやがて動かなくなった。あっという間に魔獣二体を倒してしまった。
「入り口のヤツは少し前に、上手くリルとミリアが倒したみたいだな、ただ……グラウンドの方が嫌な魔力量を感じる……すぐに向かおう」
エミーア先生は一先ずここに置いておき、アルナはグラウンドの方へ急いで向かった。
リルとミリアは魔力量でグラウンドの戦いはまだ終わっていないことが分かっていたので、すぐにグラウンドの方へ向かった。グラウンドに着くと、そこには予想外の光景が広がっていた。実力のある生徒数人はすでに戦闘不能になっている、リンディール学長も相手の攻撃を防ぐのでやっと、といったところだ。
「学長!大丈夫ですか!?」
リルが学長の元へ駆け寄る、ミリアも向かう。学長の簡単な説明から分かったことは、最初は学長の圧倒的な力で倒せそうだったのだが、生徒の一人がやられてしまい、そこから生徒を守ることしかできなくなり、かばってかばって、学長もボロボロになってしまった。
「こうなってしまったのもヤツを見れば分かりますね?ヤツはどういうわけか一瞬で覚魔化しました、そこから力が大きくなりあっという間に………っ!!」
話の途中で学長がぶっ飛び、壁に当たって動かなくなる。死んではいないが気絶している。学長に対して魔法を放ったのは魔獣だ。あまりの速さに三人とも気づかなかった。改めて二人は魔獣に向き直る。黒い体に包まれ、まるで鎧のようになっている体、溢れる魔力量そして頬の辺りにある
怒りのピエロマーク
これが覚魔化した魔獣……。
「ミリア……全力で行くわよ!」
「……もちろん」
二人は覚悟を決め魔獣との戦闘に入った………。
アルナは戦闘を終えて、すぐにグラウンドの方へ向かった。グラウンドに着いたアルナは魔獣が魔法を放とうとしているのを発見する。すぐに走りだし魔獣の前に立ちはだかり、魔法を無効化する。「バシュッ」魔獣の魔法は消え去り、放たれることはなかった。この魔法が誰に向けられていたかというと…………
「…アル!」
「…アル君!」
少し弱々しくなった声が後ろから聞こえてくる。満身創痍のリルとミリアだ。
「二人とも大丈夫か?」
「……覚魔化した魔獣が…あんなに強いなんて…」
「…私もリルも勝てなかった…」
「二人ともよく頑張った、後は俺に任せろ」
そう言い魔獣の前に一歩近づく。その言葉で安心したのか、二人の意識はそこで途切れた。
たしかに、先ほど戦った魔獣二体を合わせてもこいつの方がずっと強いだろう。それほどまでに覚魔化は絶大なパワーアップ方法らしい。思えば、昔倒した魔獣もパワーアップ前にトドメをさしたから、覚魔化状態の魔獣と戦うのは初めてだ、集中しないとな。
初めに動いたのは魔獣の方だ、凄まじいスピードでアルナの目の前に迫ってくる。そのまま近づかれても厄介なので板状のバリアを貼り一歩下がる。そのまま魔獣は突進してバリアに当たったが一瞬でヒビが入る。しかしその一瞬の足止めでアルナには十分だった。
バリアの近くに爆発する一歩手前の状態で留めた魔法を透明にしていくつか浮遊させていたのだ。それを…再起動させ爆発させる。凄まじい爆発と共に、砂煙が舞う……砂煙が晴れたそこには、片手が吹き飛んだ魔獣が立っていた。すべて吹き飛ばすはずだったが、あの一瞬で負傷を片手だけに留めたのは、さすがといったところか。
「グガー!」
怒りのこもった叫びが響き渡る。そしてすぐに先程とまったく同じようにアルナの目の前に迫ってくる。その姿に違和感を覚えたが、同じく真っ正面から来るなら同じ対処法でいいだろうと、バリアを貼るが魔獣の姿は煙となって消え去り、気配は後ろへ移動した、魔法で作った幻影だったのだ。
「!?しまっt」
渾身の拳をもらうギリギリの所で咄嗟に作った転送魔法を展開させ、そこへ拳が入る。転送魔法を閉じることで、行き場のなくなった魔獣の手首から先が、ちぎれ消え去る。
「ガーッ!」
またも叫びを上げ後ろへ下がる。これで魔獣の左手は完全になくなり、右手も手首から先がなくなった。拳が迫った時はヒヤリとしたが、結果上手くいった。
魔獣は両手がこんな状態では満足に戦えないと判断したのだろう。全魔力を使い、魔法を準備し始めた。凄まじい威力の魔法が作られていく、魔獣の頭上に黒く禍々しい丸い塊が形成されていく。おそらくこれが放たれたらこの辺り一帯が軽く吹き飛ぶ、アルナは魔法を魔獣本体に打ち込むが、魔法形成を止める気配がない、息の根を完全に止めないと無理らしい。
「まだ、創作段階で危険かもしれないが…やるしかないか…」
アルナは右手に促進をかける、右手がオーラに包まれる。集中して、さらに右手に促進をもう一度かける……右手からはオーラが揺らぎ、火花や稲妻が発生する。
「…っ…なんとか大丈夫そうだ」
本来、促進の二重掛けはその対象が力に耐えきれず、完全に機能が停止したりするため行われない、そこを持ち前のセンスと滑らかな魔法構築によりアルナは二重掛けを成功させた。右手からは凄まじい力が溢れてくる、アルナは魔獣の目の前へ一瞬で近づき、その右手で魔獣を殴った。風を切る音と魔獣に拳が当たった音が響き渡り、魔獣の体すべてが一瞬で消滅した。やがて、上空にあった禍々しい魔法もスッと消滅した。
目覚めたリルがゆっくりと寄ってくる
「さすがね、私達じゃあ手も足も出なかったのに…」
ミリアの方は、まだ気を失っているようだ。
とにもかくにも、被害は出たものの魔獣が襲撃してきたにも関わらず、それを撃退出来たことは大きかった。
後にリンディール学長が目覚めてから魔獣の話を聞いてみると、あの魔獣は覚魔化を一瞬で行い、止める間もなく変身してしまった、そこから戦況が変わり、あの状態になった、学長の予想では、覚魔化直前の状態にして襲撃に来たのだと予想しているみたいだ。それを魔獣自身が考えたのか、他の知恵者によるものなのかはわからない。
毎日投稿です