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3.(4)

「人外に付いては、ちょっと一旦、離れようぜ」


 俺は、手を上げた。これ以上種類を増やしていったところで、あまり意味はあるまい。


「バケモノ――という表現、そのものに注目すれば、通常の大きさ、能力を超えた場合にも使うよな」


「ああ。すげぇ怪力の人間を『バケモノみたいな力持ち』とか言うな」


「そうそう」


 隣の熊田に同意する。


「つまり、人間そのものでも、バケモノには成り得るんですよね?」


「そうだ。『超人的』って意味でね」


 星澤に向かって頷く。


「でも――逆のケースもありますよね」


 奥の方から、城島がボソリと呟く


「大量殺人を起こした人間も、カイブツとかバケモノと揶揄されますよね?」


「そうだ。『常軌を逸した言動』にも使われるなぁ」


「売れない芸人が、ドカンと人気が出た時も『化ける』って言うよな。で、その芸人を指して『バケモノ』って」


 と、したり顔の八雲。


「ま、結局『変化』って意味だよな」


 何か……暗礁に乗り上げてきたぞ。


 キュッとマーカーの音を立てたので、峯湖とホワイトボードへ注目が集まる。他者の視線を誘導するテクニックは、流石である。


「ねぇ。一度、特徴から、まとめてみない?」


 彼女はしなやかな動きで、スッと脇に避ける。ズラリと書き出された項目を眺める。


「バケモノの見本市だなぁ」


 と、感嘆するのは熊田。


「こうして見ると――多くのバケモノは、元になる動物があるんじゃないか」


 バケモノワニ、狼男、化け猫、ミノタウロス――俺の感想に、八雲も賛同した。


「物――道具? が、元になっているケースもありますね」


 妖怪、付喪神の類か。


「人間がベースってのも多いな」


 ドラキュラ、幽霊、キョンシー、等々。


「後は――架空の訳わかんないヤツな。宇宙人、旧支配者とか」


 配慮に欠ける熊田の言葉に、また星澤の眉間にシワが寄る。その奥の城島も、静かに気分を害している。


「よし、今度のラスボスは、ここに挙がったどれにも似ていない形状と、特徴を頼むぞ! 一旦、各自持ち帰りにして、練り込んで来てくれ!」


 うわー、まだ何にも方向が決まらない内に宿題かよー。勘弁してくれぇー。


 ――という、我々全員のゲンナリした様子には、木村はバケモノ級の鈍感力を発揮する。


「次回は、3日後の17時だ。今日は解散! お疲れー!」


 あの意気揚々は、これから銀座だな。


「お疲れ様でしたー」


「お疲れっしたー」


 グッタリした我々を置き去りに、木村は颯爽と出て行った。

 ……うげぇ。3日なんて無理過ぎんだろ。


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