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3.(2)

「とにかく、未だかつて見たことも聞いたこともない、前代未聞のバケモノを考えてくれ」


 何か同じようなことを繰り返したみたいだが、それは置いておいて。


「部長、ラスボスのキャラは、見た目――デザインだけを考えればいいのかしら?」


「いいや。特徴と必殺技、必要に応じて武器も考えてもらいたい」


 丸投げかよ!


「ま、いきなり決定するのは難しいだろ。今日は、皆でアイデアを捻り出せればいいかと思う」


「ブレーンストーミングですか」


「そんなところだ」


 そこまで話すと、一先ず役割は果たしたとばかりに、木村は椅子にドカリと身を沈めた。……やれやれ。


「んじゃ、とりあえず基本に立ち返って、思いつくバケモノ像を挙げていくか」


 どうせ、今日はアイデアを出すだけ出して、詰めていくのは次回なんだ。

 早く終わらせたい俺は、率先して音頭を取った。この中じゃ、一番年上だしな。


「バケモノって言えば――先ずは人外だよな」


 八雲が当たり障りのない一言を放つ。


「峯湖、書記頼む」


 立ち上がった彼女は、木村と対照的な美しい文字で「人外」とホワイトボードに記す。


「人外ったって広いだろ? 和洋中、地域によっても時代によっても一杯いるぜ」


 食いしん坊の熊田。和洋中、ってバイキングか。

 ブレーンストーミングは、発言を否定しない。とにかく、思い付いたことを吐き出すのみだ。


「古典的な物だと、妖怪ってのもバケモノですよね?」


 発言した小林が、チラチラ探るように、こちらを窺っている。全く、いきなりかよ。


「ああ、妖怪。天狗とか河童とか化け猫とか――物の怪、付喪神もそうだよなぁ」


 おいおい、何だよ、熊田まで。何か気分悪いぞ。峯湖の瞳も細くなってんじゃねぇか。

 俺は、別のアイデアを引き出す。


「バケモノ、モンスターって言うなら、巨大な生き物だってそうだろ。バケモノゴリラとか、バケモノワニとか」


 熊田と八雲がピクッと動いた。だーかーらー、ちゃんと避けてやってんだろーが。


「巨大って言うなら、恐竜とか……怪獣も、バケモノだわね?」


 峯湖は笑まない瞳で口角を上げ、冷静にイメージを拡張する。すみません、彼女の方が大人です……。


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