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理論武装を新調だ!

作者: mizu100%

 明日父が帰ってくる、父は単身赴任海外で働いていて、実に数年ぶりの再会となる。

母はその伝言を聞くや否や家の大掃除を始めた。

新年は明けたばかりで、世間一般的には、今年の大掃除までまだ300と61日もあるというのに、果たして母の新年は明日開けるとでも言うだろうか。


かく言う僕もやるべきことがある、職探しだ。

一年前に高校卒業してから今の今まで、家でパソコンと向き合う日々を送っていた。去年の今頃にはもう僕以外は皆内定をもらい社会人へと姿を変えていっていた。

しかし僕はまだ学生気分でいまだ新年を迎えられていないのは僕の方なのかもしれない。


ということで、このままじゃ父からの罵倒の嵐に呑まれてしまう。

繰り返されるであろう働けコールと父の失望した顔、六十も差し掛かる父にこんなことさせる訳にはいかないのだ!とは言いつつもただ自尊心を保ちたいというのが盲であろう。


 そこで僕は、理論武装することとした、旨くやっていけるという有無を口車に乗せ証明

するのだ。

しかし、社会は2チャンネル、娯楽はアニメゲーム、生活は親の脛で、形成されている僕の装備は、薄く、脆かった。

それに加え日々強くなる現実という空気感に押し潰され、立っていることすら奇跡だと囁く者もいた。がしかし、そのすべてを払拭したのが。

脇から溢れ出る刺激的な近づくなオーラであり、それは僕のあらゆる交友関係を更地にし、僕に、強靭な精神力を与えた。こうして僕は、今主悪の根源と依存関係にある。まさに呪いの装備と言えよう。


 そうして、僕は錆付いた理論の装備を新調するべく

外に出て新たな世界を感じ、新たなる経験を得ることとした。

が、この年になると経験を得るには、何かとの等価交換が必要なる、しかし、インドアな僕には、すべてが経験値になり無償で得られるものばかりだった。

と言う訳で、無償で得れる経験を求め公共施設を巡ることとした。

(これで言う等価交換は親の税金である)


 まずは、市立図書館

(理由は言わずもがな一番ハードル低そうだからである)

僕みたいな人間は、論理的に物事を考えたりはしない、居心地の良い方へ、楽そうなほうへ、たとえその対価がずさんであっても、自分の自信が保てるところまで、レベル下げて選択する。

まさに情に生きている人間と言えようか。そんな人間が理論の鎧を纏うのだ。完全体へ着々と歩を進めていると言えよう。



 と考えている間に図書館に着く

(決してコレは比喩などではではない、家の目の前に図書館があるのだ)

数年ぶりのそこは全くの変化を見せていなかった。思わず涙腺が緩む、そう幼き頃図書館には、児童向けの本は少なく次第に通わなくなっていったのだ。

児童向けのコ-ナーは、相も変わらず更地で、僕のセンスもそこで止まっていた。

そう本当に何も変わっていなかったのだ。

このままではまた僕のような化け物が誕生してしまう。

それだけは防ぐ義務、いや定めがある。

僕は受付の人にここに置くべき本、とっておきの一冊を勧め予約するよう告げ図書を後にした。



 次に、僕は市民プールに向かった、室内プールで保育園の頃によく授業をやっていて僕の唯一の楽しみだった、まあプールの日に出るカレーライスが好きなだけだったのかもしれない、いや絶対にそうだ。

だって僕はカナズチで、泳がないし、そもそも出来ないものが楽しい訳ないからだ。


と考えてるうちに着いた(ちなみにこれは比喩である)

が、なんと市民プールは有料だったのだ。

大人賞金で500円、これじゃそこらの個人運営のとこと変わらないではないか!

なんのための税金だ!と受付に訴えようとした時ある秘策を思いつく


僕「あど、、ぶーーーるいれて、んああいいいんdsjnやいじぇrkpfこ」


そうここには身体障碍者並び知的障碍者は無料で入れるのだ


受け「手帳どうぞ」


なんと手帳を請求されてしまったではないか、もちろんそんなもん持ってはいない!

だがここで引き下がるわけにいかない男として、俺として!!!!!!!!!


 外は明るいというのにここはいつも暗い

頬が視界に出たり入ったりを繰り返す。

あの後、僕は結局500円を払い大人一名として入場した。

が、受付さんの粋な計らいで障碍者用のプールに案内され今に至る。

横目でプールサイドをのぞく

プール監視員よそ見することなく目を光らせている。

さすがは、障がい者専用!これだけしっかりしていれば税金も払い買いがあるものだ。

と、こうして僕は、今

右目を見開き、左目は歪ませ、ベロを突き出し障がい者の顔真似をしながら水に浮いている。

500円払い変顔縛り、まさに水の泡と言えようか

隣のプールから園児の歓声が聞こえた。



 そろそろ家に帰ろうか。とふと懐かしい道に誘われる、小学生の頃の通学路だ、気づけば小学校の門の前までついていた。

学生時代の記憶が蘇る。毎日学校が楽しみで、放課後は外で友と遊び、何も考えることはなかった、それ比べ今の僕はどうだろうか、学校も億劫になり不登校、続くようにしてに家からも出なくなり

今日に至る、ふとまたあの頃に戻りたいと思えてくる、

こんなので成長して来たと言えるのだろうか、、、、わからない、、、、

だが

 どうやら彼らも同じようだ、グランドには今も変わらず元気にサッカーをしている懐かしの友の姿があった。と、こちらに気づき、話しかけてきた、数年の再会にも関わらず、すぐに打ち解け思い出話にふける、次第に視界が頬に侵食されてゆく。

脇から出ていたかと思われた、近づくなオーラは、僕の顔から染み出ていたのかもしれない。

もしくは、すべて塩素の力なのかもしれない。

ボールが頭上を通りすぎ空を切る。

!!!!

汗を書きたくないという理由でスポーツに疎遠になっていた。

だから今日も僕は又、、、、

気づけば、またあの頃のようにボールを追いかけていた。

体から雨があふれ出す、それに比例しあたりは靄が晴れ青く青くくっきりと白く白くはっきりと透き通っていく。 

できないと、決めつけた先にたのしいことは待っている。と誰かの言葉を思い出した。

日も暮れ解散、熱気まとった僕は、久方ぶりに機能する携帯を握りしめ家へと掛けていった。



 家に着くとソファーに腰を、、、背を下し目を閉じる。

僕は今日長い一日を過ごし、いろいろな経験を得た。

そして思い出した。

経験とは何なのか、それは皆が普段過ごす何気ない日々の中にあって、そのすべてが経験であり対価なのであると言うことを。

それは、子供の頃に分かっていたはず、なのに、日を重ねるごとに擦れゆき今となって僕は、名ばかりの成長だったのかもしれない、がしかし同時に失われた経験も、僕にとってはどれも重要な経験だったのかもしれないとも思う。

だから、僕はこの経験を活かし 一冊の小説 を書き上げようと思う。

いずれ出版され皆に届けられるその日まで、、無謀?現実味がない?諦めろだって?


否、(できないと決めつけた先にたのしいことは待っている。)

なあそうなんだろお父さん 


 どっかで無くした経験値を拾い集め僕は武装した。


明日は最終決戦。


夢の武器が輝いていた


俺「おかえり」


父「だだいま」


俺「父さん、、、、俺」



 ああ、そうだ 最後に一つ 忘れていた。

最後の施設、、、


「じゃあいってくるね」

振り返ると、父と母

視界に瞼がちらつく

ああこの姿を見るのも何年振りだろうか


右目は見開き、左目は腫れ膨れ、歯をくい縛っている

ああこの姿を見るのも何年振りだろうか

歪んだ息子がぼやける

「いってらっしゃい」



ハローワークへ








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