34/40
34
普段は自信に満ちた彼の表情が、今は不安げになっている。
思わずわたしの心も揺れる。
「俺はゆかり、お前のことを愛してる。だからずっと俺の側にいてほしい。これからプライベートでも、ビジネスでも、ずっと俺の側にいろ」
そう言ってわたしの顔を優しく手で包み込み…触れるだけの優しいキスをしてきた。
夕日に照らされる海岸で、キスをしている…。まるでドラマのようなシチュエーション。
心臓がうるさいくらいに高鳴り、顔が夕日に負けないぐらいに赤くなる。
「あっあの、わたし…」
離れた唇の隙を狙って声を出した。このままでは彼にのみ込まれそうだったから…。
「ん?」
「きっ気持ちはとても嬉しいんですけど、わたしの気持ちの方がちょっと追い付かなくて…」
「なら、状況に応じて付いてこれるな?」
「はっ?」
いきなりいつもの自信に満ちた声に驚いて、顔を上げた。




