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○○は消毒だ!!

ダンジョン協会の購買部で催涙スプレー、殺虫剤を2セット四本分購入する。

今日届いた試作品に取り付けるためだ。

「毎度、ありがとうございます。今日お使いですか?」

「はい。この後、ダンジョンで使います。それと、領収書をください。」


早速、催涙スプレーを取り出し試作品に取り付ける。

(む?これは・・・。)

レバーを引いて固定するようになっているが、レバー自体を固定できていないから何かの拍子にレバーが動くと固定が外れることになる。

(これは“要”改良だな。

取り敢えずレバーは動かない様にひもで縛っておくか。)




催涙スプレーは動物系や人型モンスターに効果があることは判っている。

ノズルを対象に向けて噴霧するのだが、接近されすぎて攻撃されることが多い。

効果的に噴霧する為には手元までモンスターを呼び込む必要がある。

素早いゴキブリに直接噴霧するのと同じ様に、こちらに襲ってくるモンスターに対して噴霧するのは難しいのだ。

手元まで呼び込みすぎたり、うまく噴霧できなくて怪我をするのだ。



と、言う訳で、こいつの出番になるわけだ。

銃型の試作品の途中にスプレーノズルを固定し、引き金を引くことで相手に噴霧することが出来る。


試しに引き金を引く。

ノズルまでの距離がある為か1,2回余分に引いて噴霧された。


(説明書の記載に1,2度引いて噴霧の確認の但し書きがいるな。)



軽く一階のモンスターを相手に試してみる。

槍を右わきに抱え、左手で噴霧銃を構える。

アタックドックが三頭、集団で襲い掛かってくる。


だが、こちらには噴霧銃がある。

銃口を相手に向け引き金を引く。


シューッ


先頭のアタックドックを中心に噴霧する。

オレンジ色の気体がアタックドックの目に当たる。


ギャン!!ギャン!!ギャン!!


うむ、やはり催涙スプレーはよく効くな。

だが、スプレーは一時的にモンスターを無効化する手段でしかない。

右手に持った槍で攻撃する。


うーん。弱体化してるとは言え三匹相手は片手では厳しいな。

噴霧銃に盾でもつけてみるか。

(付ける場合はオプションでいいか・・・。)


何とかアタックドックを倒した俺は次の敵に向かう。

その後はジャイアントアメーバーやスケルトンが相手だった為、噴霧銃の効果は今一わからない。

(これじゃ明日もテストだな。)


そう考えた時、おあつらえ向きにゴブリンと遭遇した。

相手は二匹、問題があっても何とかなる数である。


ゴブリン相手に噴霧銃の引き金を引く。

だがゴブリンは催涙スプレーに慣れているのか腕で目を隠しながら近づいて来る。

(あらら。直線タイプのノズルじゃだめだな。)

直線に出るノズルは射程距離が長い。

だが今回の様に目を隠しながら近づく敵には効果が薄い。

(拡散タイプに切り替え可能なノズルがいるな。シンクラ工業の加賀さんに聞いてみるか。)


手早く始末をつけて、帰りを急ぐ。

(こうしてみるとモンスターに市販品で対応できるな。

とすれば、五階のボスにも何かないか。全体をこう噴霧するような・・・。)



事務所に戻り今日の日報と、改造のための必要事項を書いて本社にFAXで送る。

「兵庫は探検者講習の日か・・・細井は・・・」

見ると世紀末拳法家の漫画を読んでいた。


(やれやれ、こいつは・・・毎度のことながら、感心するねぇ。)

今は休憩時間だから堂々と読んでいるのだ。


しかし、世紀末拳法家か、懐かしいな。

たしか長男が何とか部隊ってのを作って村々を・・・待てよ。

あの漫画に出てきたあの武器なら法律にかかる要因は無いな。

俺自身、甲種の取扱者免許があるしな。


俺は欲しい物を会社に連絡する。

噴霧銃を作ったからそれを改良するのは問題ないだろう。



1週間後、新たに作られた装備を持って五階ボス部屋前に来ていた。

(持ってと言うよりバックパックに入れてだが)


マスクをつけ、ボンベを三本背負う。

一本には空気、もう二本には燃料であるガソリンと噴射用の圧搾ガスが入っている。


俺はドアを開けボス部屋に入った。


扉にくさびを挟み閉まらない様にする。

そしてバックパックから取り出した練炭を辺り一面に転がす。

くさびを取ると扉はゆっくりと閉まり始めた。


ガコン


扉を閉めるとボスとその取り巻きがポップする。

ホブゴブリン二体にゴブリン四十体、事前の情報の通りだ。


そのゴブリンたちに向かって銃口を向ける。

(ここはやはりあのセリフか?)


「汚物は消毒だ~!!!」


ノズルの先から噴霧された火の付いたガソリンが直線状に伸びる。

火炎放射器の射程距離は20m以上ある。

炎がゴブリンを舐める。

それと同時に辺りにまいた練炭に着火してゆく。

火炎放射器は急激に酸素を消費する。

着火した練炭は酸素が無くなることで不完全燃焼を起こす。


途端にゴブリンはおろかホブゴブリンも含めてパタパタと倒れていった。

最後の一体が倒れてしばらくすると部屋の奥が光り扉が出現した。


(ゴブリンもおぼれると聞いていたかやはり酸素が無いと死ぬか。)

練炭に水を掛けつつゴブリンやホブゴブリンのドロップアイテムを回収する。

ドロップアイテムは短剣が二本、盾が1枚、スクロールが三本、鉄鉱石が9つ、銅鉱石が5、銀鉱石が1つ。

時間にして30分もかかっていない。

ボス部屋を周回できれば結構な稼ぎになるだろうが、ボスの再出現には一度ダンジョンから出る必要がある為、周回は出来ないし出来たとしても時間が掛かりすぎる。


奥の扉を開けると大量の空気が動くのが感じられた。

あのまま練炭を放置すれば再び点火したかもしれない。

(危ない危ない、回収して正解だな。)


扉の奥にある階段を使い小さな部屋に降りてきた。

部屋の真ん中には1m角ほどの台が置かれ、その上に水晶球が浮かんでいた。

これに触れることで、入口に移動できるのだ。


(流石に今日は帰った方が良いだろう。スクロールの鑑定もしたいし。)


こうして俺はちょっとした期待と共に帰路に就くのであった。


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