新装備?
改良型乾燥機、(別名:消火器)の作動報告を終え一息つく。
以前にあった問題点は解決しているが大きさだけはどうしようもないのだろうか?
「取り敢えず乾燥機は一息ついた。
が、次の製品のアイデアを必要とするが・・・。」
と言いつつ机に向かうが、ただ時間だけが過ぎてゆく。
「あまり思いつきませんね。」
兵庫の場合、ダンジョンに潜った事は無いので無理もないだろう。
「ダンジョンに行っても一人じゃ五階層の突破は難しいなぁ。」
俺はそう言うと別の方向を考える。
この際アイデアは置いておいて、六階層に行くために五階層を突破すべきではと。
「五階層のボス、ホブゴブリンズとその取り巻きだな。」
奴らは集団と言うより軍団である。
単独での戦闘では囲まれて終わりになる可能性が高い。
と言うより、普通そうなる。
ソロで撃破可能なのは高レベルかおかしな防御力かどちらかだけだろう。
(高レベルがおかしな防御力を持つというのもある。)
「遠距離で数は減らせないんですか?」
兵庫が疑問に思ったことを聞いてくる。
彼は当面関係ないので、ボス攻略のページ等は見ていない様だ。
かく言う俺も十階層のボスに関しては見ていない。
せいぜい六,七階層の敵や罠についてぐらいだ。
「ボス部屋は例によって扉が付いていて、閉めた時のみボスが出現するんだ。」
俺はボス部屋についてを解説し始める。
「じゃあ扉を閉めずにそのまま下へ?」
それは当初からいろいろ言われたことの一つである。
だが、
「ボスと倒さない限り下への階段へ続く扉が出現しない。」
「それじゃ毎回ボスを倒す必要があるんじゃ?」
「どうもボスを倒して六階層へ行くと転送部屋があるらしい。
その部屋へ到達したものは次からそこに転送できるようになるのだそうだ。」
実際、転送装置が無ければ移動だけで時間が掛かり攻略は難しい物になるだろう。
加えて下りて行くほど難易度が高くなるのだ。
「はぁー。厄介ですねぇ。」
その厄介なのが五階層ごとに存在するボス部屋なのだ。
部屋の大きさもボスの大きさ、規模によって変わるらしい。
結局、ボスを倒さない限り六層以降へ降りることは出来ないし、五層のボスは一人で倒すことは困難である。
「やっぱり、人員の補充が必要だなぁ。」
「それなら和泉さん。新たな刀剣や槍の製作とかは?」
「あのねえ、兵庫君。日本には銃刀法と言うのがあって許可なく武器の製作は出来ないのだよ。」
残念ながら、許可の無い町工場で刀剣類の製作は出来ない。
でも待てよ、刀剣類はダメでも弓は別だったな。
後、矢の改造もいいかもしれない。
そうだな、矢が当たれば何か噴き出す仕掛けの矢もいいかもしれないな。
いくつかの案を書いて工場へ送る。
(出来れば社長が見ませんように、見ても余計なことをしませんように・・・。)
だが得てしてそのような願いは聞き遂げられないものである。
三日後、先の方に乾電池ぐらいの物が付いた矢と箱とハンドルが付いたクロスボウを持ってきた社長がいた。
「和泉君。新たな物品だよ。
前回の乾燥機も思いのほか改良型が売れてね。今回も色々考えた自信作だよ。」
あの消火器(乾燥機)を買う奇特な人間がいるとは思わなかった。
「で、この矢はどんな効果の矢なのですか?」
乾電池を突き抜けた様な矢を見ながら社長に尋ねる。
「うむ、これは矢を狙った対象にいろいろ噴き出すものだよ。
種類も幾つか作ってみた。」
一応、リクエスト通りの物みたいだ。
しかし、社長の自信作と言うのが不安しか感じない。
「で、このクロスボウは?」
クロスボウの方は某漫画の狂戦士さんが使っていたものとそっくりである。
多分参考にしたのだろう。
「これは、この箱に入れて置いた矢をハンドルを回すことで次々と発射する装置だ。」
やはり狂戦士さんの武器でした。
(とりあえず製品のテストだ。)
嫌な予感を覚えつつダンジョンへ向かうのであった。