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おっさんは今日もダンジョンへ行く。

取り敢えず一部完です。

兵庫達の救出から三ヵ月がたった。


その間にあったことと言えば、倒したモンスターの肉を持ち出し方が発表された。

ただ、自衛隊からではなくダンジョン協会からだった。

同時に、モンスター肉の優劣もガイドブックや各ホームページに載るようになった。

それらを考えると以前から使われていたのだろう。


「食の安全の観点から情報を公開するには至っていなかった。」


と言うのは、紀州隊長に聞いた話だ。

幾つかぼかしていたが、凡そは理解できた。


そしてわが社は少し大きくした乾燥機ならぬ燻製機と自動パッケージの機械を売り出した。

燻製機はこの間の自衛隊の人の意見を参考に使いやすくしたものだ。


そして、自動パッケージの機械は切った生肉をパッケージにして瞬間冷凍する物だ。

流石に人が背負えるほどの大きさには出来なかったが、大八車リアカーの大きさには出来た。


これは俺がモンスターの肉を持ち出すためにいろいろ試した結果だ。

驚いたことに、瞬間冷凍でも加工と見なされるのか、持ち出すことが可能だったのだ。



どちらも売り上げは良好である。

ただ、モンスター肉はピンキリで今の所、低い階層ではフレームリザードの肉が一番うまい。

ほどよく脂ののった鶏肉に近い味がする。

フレームリザードと言っても蜥蜴とは違う味らしい。


フレームリザードはポップ待ちの集団でにぎわっている。

装備と人数さえ整っていれば低レベルのパーティでも倒すことが可能で肉の量が多い。

その為、十人ぐらいのチームでも全員が肉を手に入れることが出来た。

倒されずに被害を出していたのがうその様である。


そして、少し強くなった探検者は一角ウサギ(アルミラージ)やマッドボアを狩っている。

どちらも地球で言うウサギやブタ(イノシシ?)の高級品と同格なのだそうだ。

ちなみにオークは臭くて食べれた物ではなく(雑食の為か?)トロールに至っては不味い上に毒がある。

どうも雑食性の人型は食用に適さない様だ。


また、他の工作所もダンジョンのアイテムを作るようになった。

小規模な工作所の利点を生かしてのオーダーメイドが多いそうだが、それなりの売り上げになっているらしい。


大手メーカーはダンジョン用調理器を製作中と言う情報もある。

(というか、わが社にタイアップとして企画が持ち込まれた。社長は乗り気だ。)


今後は色々なダンジョン商品が開発され世に出ていくだろうと言う予感はある。



さて、今日は三か月ぶりに兵庫が出勤する。

残念なことに西宮さんは一身上の都合でやめてしまった。

振出しに戻ったと考えれば、まあ良しとしよう。


現場事務所横の駐車場に車が止まった。

どうやら、兵庫が出勤してきたようだ。



何で社長もいるんだ?



「失礼します。」

と、ひと声をかけて兵庫と社長が入って来た。


「ほら・・・はるかも入って」

兵庫が扉の外にいる人物に声をかけると西宮さんが入って来た。


(西宮さんも一緒にやって来たのか・・・でも何んでだ?)



「「おはようございます。和泉さん」」

二人が揃って挨拶してくる。


「おはよう。元気そうだ?ね?」


と返すと二人して神妙な面持ちでいる。

しばらくすると、兵庫が話し出した。


「実はこの度、はるかと結婚することになりまして・・・。」


うん。何となく予想はしたよ。

「でも、結婚か・・・。ずいぶん急だね。」



「ええーっと、何と言いましょか・・・実は・・・その・・・」


どうも、しどろもどろだ。

何か問題でもあるのだろうか?


「ほら、だから・・・」

兵庫は横から西宮さんに突かれている。


(きっと、尻に敷かれるに違いない・・・)


「うん。判っているよ。」


更に間を置いた兵庫は

「はるかに子供が出来たことでこんな急になってしまって、申し訳ないです。」


「そうか!それはめでたいことじゃないか。

で、いま何ヵ月?」


「・・・・・・三ヵ月・・・・・です。」


ほう、結構なことだ・・・ん?三ヵ月?

ほほう・・・・・。


ジィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ。


と兵庫を見ていると

「いや、だからですね。極限状態だったので・・・」


ゴス


うん。その言い訳ではそうなるな。諦めろ。

とは言ってもそんなことで夫婦の危機を迎えられては困る。


「まぁまぁ、とにかく目出度い良いことじゃないか。

で、兵庫君は今日から早速ダンジョンへ?」


「あ、それなんですがね・・・」


「俺、今日で会社を辞めてはるかのオヤジさんの会社に入社です。」


青天の霹靂である。


「ちょちょちょちょちょ」


俺が何か引き留める言葉を考えていると社長は


「ワシも引き留めただがねぇ、西宮君のお父さんはわが社の得意先でねぇ・・・。」


「・・・・・・・・・・・」


「後継者として鍛えるからと言われると、どうもね・・・。」


振出しに戻ったと思っていたら、もっと後退していましたか。



「というわけで、六月に結婚式をあげますので出席お願いします。」

というと、兵庫と西宮さんは帰っていった。

あ、兵庫は婿養子になるそうだから西宮君になるのか。


と、そんなことはさておき。


「社長!どうするのですか?

ただでさえ人がいないので困っていたのに俺一人ではこの先は難しいですよ。」


今、ダンジョンは6階どころか10階への進出を考える人が多くなっている。

彼らの装備や使用アイテムを考えるなら、そこの階層へ行かなくてはアイテムの試験はできない。

少なくとも、一人で6階以降へ行くのは極めて危険な行為であり、ましてやアイテムの試験ならばもっと難易度は上がるだろう。


すると社長は

「大丈夫だ。実はもう一人の人員は確保している。」


「本当ですか?」

だが社長の言うことだ、期待すると碌な事は無い・・・が、期待してしまう。


「その人は何時こられるので?」

恐る恐る社長に尋ねると


「もう来とるよ」

そう言うと社長は一枚のカードを取り出した。



「追加の人員はワシじゃ!」



社長はその手に冒険者カードを掲げそう言った。


「と言う訳で和泉君。早速“だんじょん”へ行くぞ。」

社長は勢いよく出ていく。

「社長!待ってください。武器や装備は?」

「和泉君、ちみが持っとるじゃろう。」

「ええええええええええええ!!!」



おっさんは今日もダンジョンへ行く。


結局、社長はダンジョンに何度か潜ったが

”ロケートオブジェクト”スキル書を手に入れると

ダンジョンに潜ることは無くなった。


次の人員はいつ来るのだろう?

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