事後処理
手に触れた金属製の筒。
それはゴブリン攻略に使った酸素ボンベの予備だ。
そうか、これを使えば!!
俺はフレームリザードの大きく開いた口に練炭と酸素ボンベを放り込む。
「全員伏せてください!!」
俺の声で咄嗟に匍匐の体勢になる。
ボン!
フレームリザードの口に溜められた吐炎に熱せられ、酸素ボンベが爆発する。
通常、未使用の酸素ボンベの圧力は14.7Mpaである。
1気圧の圧力は約0.1Mpa。
加えて吐炎の熱による膨張。
酸素ボンベのバルブはおろか本体が爆発したのだ。
爆発によって生じた金属片は一番近くにいたフレームリザードに直撃する。
ブシュ!
ブシュ!
ブシュ!
破片はフレームリザードの頭蓋を突き破り辺りにその血をまき散らす。
ドォオオオオオオオオオオオン!
フレームリザードは大きな地響きをたて地面に倒れた。
「小川!確認!」
「了解しました!」
紀州隊長以下自衛隊員たちは倒れたフレームリザードを見て確認を急ぐ。
「死亡確認しました!」
小川隊員の報告と共に一同は安堵する。
どうやら、フレームリザードは完全に死亡している様だ。
死亡を確認すると和泉隊長は安全地帯へ繋がる隠し扉を叩きながら
「兵庫さん、西宮さんいますか?こちらは自衛隊です。
救難の要請を受けてきました!」
しばらくすると、隠し扉があき、そこから兵庫が顔をのぞかせた。
「あなたは兵庫さんですか?
私は自衛隊、特化小隊所属 第一班、紀州 新之助と言います。
あなた方を救助に来ました。」
それを聞いた兵庫はほっとした顔で部屋の中のもう一人の人物に声をかけた
「はるかちゃん、自衛隊の人が来てくれたよ。助かったんだよ俺達。」
「本当?巧さん」
おずおずと二人が出てきた。
「要救助者確認。これより帰還する。」
「隊長、フレームリザードはどうしますか?」
水野隊員がフレームリザードに関係して何か尋ねている。
何だろう?
「・・・判った。救助者2名に付き二名を当てる。
水野と間部はフレームリザードの処理を、残りは帰還する。」
「「了解しました。」」
すると、間部隊員がバックパックから消火器のような大きな物体を取り出した。
(・・・あれはうちのダンジョン製品第1号の乾燥機?)
「水野、解体頼む!」
「「了解!」」
見ていると、水野隊員がフレームリザードの解体を始めた。
(???)
ダンジョンの生き物は死体の場合、1時間で光となって消える。
彼らはいったい何をしているのだろうか?
俺には意味の無い行動のように思えた。
「紀州隊長。これはいったい?」
疑問に思ったので訊ねてみる。
「そうか、この情報はまだ公開されていなかったな。」
紀州隊長はこちらを向くと説明してくれた。
「通常、モンスターの死体は約1時間で光となりダンジョンに吸収されます。」
「ですが、あの様に加工することで、その肉や部材を持ち出すことが可能となるのです。」
ダンジョンで倒したモンスターを焼いて食べたという話は聞いたことがある。
だが、低い階層のモンスターの肉は極めて不味すぎて食べるに値しない。
その為、加工した肉を持ち出した者はいなかったのだ。
乾燥機を扱っていた間部隊員が
「でもこの携帯燻製機は便利ですよ。
ちゃんと肉汁受けもあるし、燻す為のチップを入れる所もある。
後はもう少し大きかったらなぁ・・・。」
(それは乾燥機なんだけどね・・・。)
想定外の使い方をされるのはよくあることである。
風邪をひいてちょっと遅れました。




