フレームリザード戦
俺は自衛隊の人達と一緒にダンジョンへ降りてきた。
この人たちは既に何十階層も下の方に降りているらしい。
入り口横のポータルから直接六階へ移動する。
隊列は2,2,2,1で最後尾の1は俺だ。
「すみません和泉さん。物品探査をお願いできないでしょうか?」
「あ、はい」
紀州隊長の言葉に慌てて物品探査のスキルを使う。
(おっと、対象物を持ってない。)
バックパックをあさりプレートを取り出す。
(よし、物品探査を・・・)
驚いたことに、使うまでもなく対象となる物の位置が判った。
(効果時間内なら何度でも使えるのか・・・。)
物品探査のスキル自体、あまり有用性を見いだせない為、さほど研究されていなかったのだ。
(いかんいかん、それより彼らの場所は・・・)
意識を集中させる。
「・・・・・・・・」
「どうでしょうか?」
紀州隊長が確認してくる。
「はい。やはり、兵庫君と西宮君はこの階層、例の安全地帯にいますね。」
それを聞くと、紀州隊長は
「よし、聞いただろう。これから我々は救援に向かう。途中、“フレームリザード”との交戦も考えられる。
各員注意してその任に当たるように。」
「「「「「はい!!」」」」」
合図とともに、移動を開始する。
流石に何階層も下の階を行動するだけあって動きに無駄が無い。
その中の一人が斥候として通路の様子を偵察に行く。
「報告します。フレームリザードは通路の奥で動いていません。」
通路の奥には安全地帯、と言われる小部屋がある。
やはり、追い込まれていたのか。
「よし。これよりフレームリザードと交戦に入る。
前衛は三名。大岡、小川、松平!」
「「「はい!」」」
「三人は盾を構えて吐炎に備えろ。」
「「「了解しました!」」」
「後衛三名、水野、間部、そして俺だ。」
「「はい!」」
「後衛は連射式クロスボウにて弾幕を張る。」
「「了解しました!!」」
彼らはそう言うと、バックパックから狂戦士さんのクロスボウ(通称)を取り出した。
(自衛隊に売れていたのか・・・。)
クロスボウを見て驚いた顔をしていると紀州隊長が
「少し前に機動隊の人が使っているのを見て試しに使ってみたら、かなり使えたので使っているのですよ。
もっと下層に行くと重宝しますよ。」
と、驚きの発言をした。
(これはいいことを聞いた)
下層の方でよく使うと言う事はこれから需要が伸びる可能性が高いという事である。
(その為にも、彼らを無事助け出さないと・・・。)
死人を出す会社の道具を誰が使うと言うのだろうか。
「前衛、シールド展開。後衛、発射体勢!」
紀州隊長の号令と共に前衛が両手に持ったシールドを展開する。
そのシールドの隙間を縫ってクロスボウを構える。
(隙間が銃眼になっているのか。)
「目標“フレームリザード”、クロスボウ構え・・・撃て!!」
ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ
無数のクロスボウの矢がフレームリザードに突き刺さる。
グオォォオオオオオオオ!!
「吐炎来るぞ!盾構え!」
「「「了解!」」」
ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!
前衛三名が両手に構えた盾、合計六枚の盾が隙間なく構えられる。
ゴオオオオオオオオオオオオ!!!
構えた盾が半円球状に構成されている為、吐炎が逸らされダメージを受けない。
最後尾にいる俺では少し暑いぐらいだ。
「突撃用意!槍構え!」
おっと、いけない。
突撃には俺も参加するんだった。
慌てて、バックパックから槍を取り出したての隙間から槍を突き出し構える。
「槍保持確認!」
「「「保持確認よし!」」」
「突撃!!」
ドドドドドドドドド
隊列を組み、構えた盾の隙間から槍を突き出し突撃する。
“ファランクス”と言われる戦術の小規模版といったところか。
突撃で加速された七本の槍が突き刺さり流石のフレームリザードも息絶え絶えである。
そんな中、フレームリザードの頭がこちらを向き大きく口を開いた。
「吐炎だ!盾展開!」
前衛が盾を展開させるが一本の槍に当たり展開が遅れる。
(しまった!槍を引くのが遅れた!)
ゴオオオオオオオオオオオオ!!!
漏れ出た炎が内側にもダメージを与える。
幾つかの部分が焼け溶けてしまった。
フレームリザードは追い打ちをかける様に更に口を開き空気を吸いはじめる。
吐炎だ!
不味い!今さっきの吐炎の影響で盾が展開できていない。
何かないか!
バックパックの中を探す。
この事態を招いたのは俺だ!
ならば何か、せめて時間の稼げる何かしなければいけない。
そう、探す手に金属の固い筒が当たった。
「これ・・・は!」




