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ダンジョン遭難

翌日の日曜日早朝、電話の呼び出し音で起こされた。

ハンドミラーのレポートを夜遅くまで作成して疲れていた。


「・・・誰だ。休日ぐらいゆっくりさせてくれ。」


眠い目をこすりながら電話に出る。


「ふぁい、もしもし、こちら和泉・・・」

「和泉さんですか。こちらダンジョン協会の者です。」


電話はダンジョン協会からだった。

休日である日曜日に協会から電話があるのはただ事ではないことを示していた。

俺は気を入れ直して電話に応対する。


「はい。いったい何ごとなのでしょうか?」

「兵庫探検者、西宮探検者の両二名はあなたの指導下に置かれているとありますが、間違いないですか?」

「少し前まで、指導をしていましたが、先日あたりから独自に行動させています。」

「そうですか、では二名の行動は把握されてはいないという事ですね。」

「はい。一応、1階層から5階層で行動する様には言っていましたが・・・何かあったのでしょうか?」


「・・・探検者の両二名は一昨日ダンジョンに入ってから帰還されていません。」


昨日、兵庫達が来てないんじゃなくて、ダンジョンから戻って無かったのだ。

両者とも一人暮らしの為、家に帰ってない事を知る方法がなかったのと、自由行動にしたのも関係するだろう。

その結果、ダンジョンから戻ってない事を携帯で聞く羽目になった。


「判りました。すぐそちらに向かいます!」


そう言うと、急いで現場事務所近くのダンジョン協会に向かうのだった。




俺が到着した時には協会では未帰還の二人を探すための準備がなされていた。

だが、1階層から5階層といってもかなり広い。

全てをくまなく探した場合、三日はかかるだろう。

そして、仮に未発見の隠し扉(ないとは言えないのだ)の向こうにいた場合、探し出せるか不明である。


仮に死亡していた場合、その遺品が残っているのは一、二日の間だけである。

その点でも早い捜索が必要であった。


「報告によると、1階層から5階層ですか。範囲が広いな。」

探検者の救助にはよりベテランの探検者に依頼される。

当然、無料ではなく、その費用は保険会社と保護対象者が持つことになる。


ダンジョンでの遭難の場合、人的費用は一人当たり一日約二十万円かかる。

山岳での遭難が約三万円であるとの比べて極めて高いが、危険度が大きいためそのぐらいの額になるそうだ。


ダンジョン探索の場合、探検者免許習得時に保険入会の義務があり、各探検者は最低一つの保険に入っている。

遭難者探索の費用はまずそこから支払われて、超過した分を保護対象者が支払うことになっている。


折半するにしてもその費用は馬鹿にならない。

今回の場合、探索に十人規模の探索で三日かかったとして、六百万円。

保険の一番安い物で百万円までだから、五百万円。

二人だから更に二百五十万円ずつとなる。


無事救出されて怪我が無ければよいが、大きな怪我をしていた場合の治療費を含めるとかなりの額になる。

実際探検者はその費用を払う為に探検者をやめることが多い。


「せめて遭難した階層が判ればいいのだが・・・。」

隊長であろう人物がうなりなららそう言った


このままだと一階層から虱潰しに探す必要がある。

何か手掛かりが・・・そうだ!


俺は彼らが使っている武装を思い出した。

確かあれは俺がゴブリンの所でのドロップ品だ。

渡す前は俺が持っていたから物品探査ロケートオブジェクトのスキルが使えるかもしれない。

その事を隊長であろう人物に言うと。


「渡した装備の探査か・・・それは難しいかもしれんな。」

隊長曰く、渡してすぐなら可能性はあるが、既に何日も経っている場合、その物が変わっていることが多い。

従って、探査は難しいのだそうだ。


「取り敢えず、やってみます。」

俺はそう言うと、物品探査ロケートオブジェクトのスキルを使う。

隊長の言った通り、探査で感知できる短剣が膨大な数になり探査できない。


「く、ダメか。何か他にない物か・・・。」

物品探査ロケートオブジェクトは手になじんだ物や同じものを探査するスキルだから難しいのだ。まあ、気を落とすな。一層目から調べるしかないだろう。」

隊長がそう言うと、救助を行う隊員を呼び集めている。


(あの短剣をもっと使っていれば手になじんだかもしれなない。もしくは特別の物だったら・・・。

せめて同じ時に見つけた短剣があれば同じものとして探査できたかも・・・。)


(・・・同じ物・・・待てよ・・・)


「よし、全員点呼開始!番号!」

「一!」

「二!」

「三!」

「四!」

「五!」

「六!」

「七!」

「八!」

「九!全員揃いました!!」


「ではこれより、遭難者、二名、兵庫探検者、西宮探検者の捜索を行う!」

「探索は第一層から順次下の層へ向かう!」


「「「「「「「「「Yes!Sir!!」」」」」」」」


「では、しゅぱ・・・」


「待ってください!!」

俺は出発しようとした捜索隊、隊長以下十名を止める。


「何かまだ?」

「ひょっとしたら、彼らの居場所が判るかもしれません。少し出発を待ってください。」

「・・・どれだけ待てばいい?」

「三十分ほどです。」

「判った。三十分だけ待とう。」


急いで、現場事務所に戻り、俺はある物を持ってダンジョン協会に戻ってきた。


「それは?」

「はい。これはわが社で試しに作ったプレートです。」

俺は虹色に塗り分けられ焼き付けられたプレートを見せた。


「これは分光粉塵プリズマティックダストを焼き付けた物です。」

「ほう。・・・微弱ながら魔力があるな。魔力は無くならないのか?」

「今のところは。一月ほど前から変わっていません。」

「ふむふむ。」

「これは一つの物を幾つかに分割した物の一片で、その内の二つを兵庫と西宮が持っています。」


そう言うと、俺はそのプレートを持ちながら、物品探査ロケートオブジェクトのスキルを使用した。


俺の脳裏には、分割されたプレートの位置。

ダンジョン協会の本部(たぶん鑑定室だろう)

現場事務所(残りのプレート)

そして、ダンジョンの中に二つが浮かび上がる。


「・・・この位置は・・・少し深いな。五階層?いや違う!!」


「判りました。彼らは六階層にいます。」


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