9月のコラージュ
赤らんだ太陽が
雲の縁を染め上げて行く
いつの間にか早くなった
昼間の終わり
彼岸花は輪郭だけを残し
空のみが鮮やかに色付く
長い雨を通り抜けて来た
今日はもう秋だった
終わった季節に
皆は何を思うだろう
晴れ渡っていた昼には
久し振りの眩しい日射し
顔には熱があるのに
背中には寒さがあった
千切れた雲に紛れたのは
たった一つの月影
輝くのにはまだ遠く
青空に消え入りそうで
兎、蟹、誰かの横顔
見つけたのは誰だろう
地上から見る月は
何処から見ても同じ顔
同じ光を送りながら
違う姿に描かれた
千年前
そこへの帰還は嘆かれて
数十年前
最初の一歩は讃えられた
今や数十億通り
今夜は幾つに映るだろう
すっかり闇の浸み込んだ
虫の音が響く頃
軋んだ雨戸を開ける
そこには――