初陣のS.F.F
日本に似てるようで別の世界。 この学校には不思議な行事がある。
冬休みの初めの3日間、各部活の代表が部活動で得たそれぞれの特技、というか能力を生かしてサバイバルを行う。 というものだ。 報酬は部費二倍! まぁ、微妙ではある。
「どっかで読んだことあるような能力バトル物かよ。 発想以前にぜってぇろくでもないだろ」
「トオルっち、誰に言ってるの?」
「この世界の神様っすね。 それにしても若菜、 お前よくこの行事に出る気になったな。 お前手芸部だろ」
「うん、去年私の先輩がサッカー部の代表に軽く殺されちゃって、そういう設定の都合で出ることになったらしいのよね〜」
「設定って......」
と、いうような流れで幼馴染である手芸部の若菜と帰宅部の俺は部費獲得の為に手を組むことになったのだ! ちなみに帰宅部は部費なんて貰えないので生き残っても部費0である。
「っていうか、帰宅部ってそもそも部活なの?」
「お前が一緒に参加してって言ったんじゃねぇか! だからこうして俺は出る必要も能力もねぇのに飛び込みで参加したんだよ!」
「そうだったっけ〜? これ、特技ないとマジで死んじゃうかもよん? まぁ、何かあれば私が守ってア・ゲ・ル」
「うぜぇ......そういや、お前の技、っつーか特技って何よ?」
「んふふ、秘密かなぁ」
「じゃあいいっす。」
「えー、スルーしないでくださいよ。 トゥルトゥルさん」
「...スタート地点は2年校舎1階か、本気で勝ちに行くなら最初の2日間はまず姿を隠しながら参加者が削れるのを待つしかねぇな」
「...」
「とりあえずは、上階からスタートしてるかもしれない他の生徒と出会わないようにしないと」
「シカトしてんじゃぁねぇぞトゥルトゥル、一緒の墓はいってやんねぇぞ、おぅ?」
「うお、ごめんなさい...」
お前の言葉にどこをどう反応しろってんだよ。
「んもー、とりあえず教室の中はいろっ? トオルっちエッチだから私襲われちゃうかもなー、他の生徒に気づかれちゃうから声も出せないし」
「お前、そういう事俺以外の奴に言ってないよな......?」
「え? なになに? もしかして嫉妬? S.H.I.Tで嫉妬ぅ? なんちって。 えへへ」
本当に、この性格がなければ俺としては可愛い幼馴染と幸せな青春を謳歌できるというのに、目の前の幼馴染は何を間違ったか、およそまともじゃない。性格はこいつの唯一にして最大の欠点だろうな。 おっと、胸がロードローラーのせいで更地になっていなければその欠点一つだけって話だが。 貧乳好き? 少なくとも、俺の趣味じゃあない。
そんなこんなで若菜が教室のドアに手をかけ...いや、まて、視界の隅から、何かが来る。 点のような、何かだ。
「若菜、ありゃ、なん――――」
「とりあえず避けなさいっ!」
若菜が振り向きざまに飛びついてきやがった。 勢いのままに転んだせいで背中を打ったぞ、いてぇ、息が止まる。
直後にがぁんだか、ドゴォだか、日常聞かない破壊音だ。 え、破壊音? 何が何だかわからねぇ。 ただのサバイバルじゃねぇのかよ。
誤字脱字の指摘、感想等心待ちにしております