幕間:三年校舎の懲りない面々 4
畳に座る7人の男女。
いろいろ腹の探り合いはあったものの、ようやく全員が和室に上がり、これでなんとか本題に入れるようになった。
「で、みんなで協力して謎解きする、って具体的にどういう方策があるんです?」
「それがね、何もないの」
神流先輩がニコニコしながら答える。 その笑顔はまさに純真、その笑顔の所為か一瞬気が遠くなる。
「冗談ですよね?」
「うん、冗談よ」
ザッ、と後ろで誰かが立ち上がる音が聞こえた気がするが、俺は絶対に振り向かないぞ。 これ以上ニコポの為に俺は体力と時間を使いたくない。
「神流先輩っ! 真面目にやらないとダメだと思いますっ!」
若菜、お前かよ。
くそ、予想外の展開に思わず振り向いてしまった。 ニコポはこの場ではダンマリを決め込むと決めたのか、野球のボールをいじくりまわして我関せず、といった態度をとっている。
まぁ、それはそれでいい。
「あらあら、ごめんなさいね、」
「とにかく、何をするにもまずは知ってることを教えてもらわないと...」
「んー...矢木君、話してもいい?」
「話さない方がいいな」
「2年間は生き残ることを優先して動いてたから、あまり知ってることはないのだけれど...最後の一人になったら何か別の特典が与えられるとかいう噂もあるわね」
「おい」
神流先輩は天然なのか、計算なのかよく分からないが、矢木先輩はきっと苦労しているに違いない。
噂...か、確かに部費2倍なんて命を賭けるにはショボすぎる内容、それに8人生き残ればいいっていうのも中途半端な感は否めないしな。
「知ってることってそれだけですか...?」
「他には...さっきの話の選挙管理委員会が活動中使う部屋は多目的校舎2階奥のカウンセリング室にあるの。 1年前は鍵が掛かってて入れなかったのだけど...」
「全然何も知らないじゃないですか」
「ごめんなさいね、謎解き自体は私の趣味みたいなものだし、矢木君も彩も乗り気じゃないの」
確かに神流先輩は弱そうだし、他の二人も神流先輩を置いてほいほい遠くにはいけないんだろう。 そう、だから俺達に協力させようってことなんだ。
「私が目星をつけてるのは図書室と...うーん、後放送部の子を探してるくらいかなぁ」
「図書室と放送部の代表探し...ですか?」
「図書室ってこの地域史とか、上手くいけば前の卒業生のアルバムとかあるかもしれないじゃない? 放送部の子は他の年間行事で生徒会と接触してるかもしれないし」
「あー、なるほど」
「よっし! 次にやるべきことが決まったね! アキちゃん! ニコポっち! 40秒で仕度しなっ!」
「ふふふっ、女の子は度胸ねぇ、それと午後6時のチャイムで戦闘禁止になるから、それまでに戻ってきてね」
よし、なんだか使われてる感は否めないが、どうせ参加してるんだ。 こんなクソみたいな事やらせる生徒会をぶっ飛ばしてやるぜ。
思ったより、幕間が長引いた感がありますが、もう少ししてから視点変更等入れていこうかと思います。




