終結 重厚なメディバル・ウォーフェア
昔小さい頃にに忘れてしまったどこか懐かしい揺れを感じる。 母親に背負われてた、あの時の感覚だ。 だが、瞼を開けろ。 現実に戻らないと。
「こいついつまで俺の背中でノビてんだよ」
「...うう」
「お、気づいた」
気づいたらニコポに背負われていた。 ニコポと母親を重ねて昔を思い出すとか、不可抗力とはいえ恥ずかしすぎる。
ええい、話を変えろ、そういえば騎士は、あのメガネは、どうなったんだっけか。
「敵は...どうなったんだ?」
「殺した。 でねぇとお前が死ぬところだったからな。 今は坂上先輩が下で新手が来ないか見張ってる」
くそ、まだ頭が少しボーッとしてる。
だが、どうやら戦闘はもう終わったらしい、ニコポは三年校舎の階段を俺を背負って上がってくれているところらしかった。
「そろそろ自分で歩けよ」
「そうだ、若菜は? 怪我とかしてないのか?」
「お前よりはマシ――と言いたいとこだが、あれはあれでヤバいな」
「若菜に何かあったのか?!」
「何行で説明してほしい?」
「じゃあ1行で、できるだけ纏めてくれ」
「お前失神茶道部集合森崎号泣水瀬付添先に行く」
「な、なんだって?」
「お前失神茶道部集合森崎号泣水瀬付添先に行く」
「ちょ、ちょっと待て。 分かるように教えてくれ」
「しかたのねぇ奴だな、いいか?」
「お前が失神したもんだから森崎が号泣してどうしようもないから水瀬を付き添いに先に茶道部に行かせたよって話」
「う、うーん、号泣...?」
まいった、今までの若菜からはまるで想像がつかないぞ。 っていうか号泣するなら最初から俺を呼び出したりしなければいいんじゃ...後で、俺の顔見たらどんな反応っすかな。
ただまぁ、今はそれ以上に聞きたいことがある。
「ここで降りろよ。 後1階くらい自分で上れ」
「ああ、すまん.....ありがとう」
「うわ、キメェなおい」
「ぐ...ニコポ、お前がいなかったらきっと皆全滅してた。 なんであの時メガネが外にいるって分かったんだ?」
「あーん? 詳しくは説明しねぇぞ。 あいつは死んで、もう能力なんて説明しても無駄だろうしな」
確かにそうだ。 メガネが死んだなら、もうどうでもいいことではある。
「見えてないはずの攻撃すら防御できんのに、脇をすり抜ける時のお前は見えてないのが気になってよ」
「殺気を感じてたとかか...?」
「馬鹿かよ。 メガネの視界が、そのままあの騎士の視界になってただけだ。 騎士自体はオートで動くから、メガネ自体が"見えて"さえいれば後ろから攻撃しようが関係ねぇってこと」
そうか、だから俺が騎士の脇をすり抜けた時、窓の位置より姿勢が低かったから補足されなかった。
...にしても、よくまぁあんな戦闘中にわかるもんだ。 ニコポの奴をちょっと見直したぞ。
「なぁ、俺はよぉ、自分の力も含めて部活の"技能"の延長だと思ってたんだわ」
「あ、ああ」
「メガネの奴のは明らかに"技能"じゃなくて"能力"だろ。 ああいう力を持った奴と、また戦うことになるかもしれねぇんだぜ? 下手したら一発も殴れずにやられるかもしれねぇ。 心してかかれよ」
俺が見た"青いオーラ"も、もしかして能力なのだろうか。 だとしたら"部活"に入ってない俺が何故? 部活は関係ないのか? だとしたら、この能力の出所はなんなんだろう。 この行事の"目的"や"意味"も気になる。
「ボケっとしてんじゃあねーぞ三上ぃー! 早く行くぞ!」
「っあ、おう」
ちょっと、この行事に興味が出てきたぞ。
結果
勝ち 三上トオル 帰宅部
森崎若菜 手芸部
水瀬アキ 陶芸部
ニヴェレンコ・ポルチェルスキ(ニコポ) 野球部
坂上 彩 薙刀部
負け 藤堂 春平(メガネ) 漫画研究部 ※死亡




