四字熟語
「ねぇ刹那くん。あなたの好きな四字熟語ってなに?」
学校の放課後。
生徒会室
いつも……って言ってもまだ就任してから余り日にちが経っていないが絆が突然そう言ってきた
「……どうした?」
急にそんなことを聞いてきて?
刹那は顔を上げずに書類をこなしながらそう返した。
なにしろ書類の量がなかなかに多いので早めにやって置かないと仕事が溜まる一方だからだ。
「ほら、いろいろあるでしょう。漢字四文字でことわざみたいにいろんな意味があるアレ」
「……」
つまり自分が好きな四字熟語を言えば良いのか
「……なら¨晴耕雨読¨だな」
「それはダメよ刹那」
急に現れた椿がNGを出した
「……」
何故だ?
「何故だ?って顔をしてるわね。簡単よ。刹那には似合わないから」
「ならなんなら良いんだ?」
「そうねぇイメージに合わないのならいっぱいあるんだけど……例えば¨権謀術数¨とか¨傍若無人¨なんて合わないのなら簡単なんだけど」
「……イメージに合う四字熟語の話だったのか?」
「え?私そう言わなかった?」
「好きな四字熟語って言ったから……」
「その二つって大体同じ意味だよ」
絆……
お前って以外に抜けてるとこあるな
「フム……なら¨天真爛漫¨」
「だからイメージに──」
「絆のイメージだ」
「え?」
「椿は¨理路整然¨だな」
「へぇ」
「違う!!椿なら当然¨月下美人¨!!」
……総一郎
お前何処からわいた?
「なにか今失礼な事を考え無かったかい?」
「気のせいだ」
しかし月下美人ねぇ
確かに綺麗ではあるが……
「四字熟語じゃないなそれ」
「うん、花の名前だね。」
「まったく何を言ってるのよ総一兄さんは……」
俺、絆、椿の三人でツッコミを入れられる
「なんだ、それならそうと言ってくれよ。じゃあ僕はなにかな?」
……総一郎、話に入ってくるのは良いが
「……手を動かせよ」
「分かってるよ」
「それにしても総一兄さんですか……う〜ん¨馬耳東風¨?」
「保志くんか……え〜と¨傍若無人¨?」
「……¨唯我独尊¨でも良いな」
「なんか皆酷くない?」
そう言いながらちょっと落ち込み始めた
まぁでも
「……勝手に物事決めたりするからな」
「ちなみに僕は¨独断専行¨だと思うけど」
「……彰」
居たのか?
「最初から居たわよ刹那」
「…全然気づかなかった」
「じゃあ刹那くんのイメージは……」
絆が話を最初に戻し
皆が考え始めた
ちなみにちゃんと皆考えながらも手は動かしている
「¨八方美人¨なんてどうだい?」
総一郎がそう言うと
「「「それだ/よ/です!!」」」
他の三人は声を出して感心した
俺って八方美人なのか
「だって不特定多数の人にモテるじゃない?」
…椿
「ホントですよ!!椿ちゃんだけでも大変なライバルなのに(ボソッ」
……絆
「確かに兄さんはモテるからね。今僕が知ってるのは三人だけだけど」
………彰
俺は
「……モテないぞ」
「それは君が気づいて無いだけ」
そんな事あるか
こんな痛い子(自分で言うのもなんだけど)好きになる奴なんかいるわけ無いじゃん
それに
「…¨八方美人¨の意味はモテるって意味じゃないぞ」
「「「「え?そうだっけ?」」」」
お前らホントに学生か?
こうして1日かけても刹那のイメージに合う四字熟語は見つからなかった