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ー第3節 保身のためなら手段を選ばない役員は、ミオの口封じと物理的証拠の隠滅を画策する。ある週末の深夜、レイに頼まれた最終証拠を仕上げるためミオは一人地下室で残業をしていた。

第3節 保身のためなら手段を選ばない役員は、ミオの口封じと物理的証拠の隠滅を画策する。ある週末の深夜、レイに頼まれた最終証拠を仕上げるためミオは一人地下室で残業をしていた。


 大物役員にとって、会社が社会的な信用を失おうが、社員たちが路頭に迷おうが知ったことではなかった。彼にとって最も重要なのは、自分自身の権力と地位、そして自由を守るための『絶対的な保身』である。

 そのためなら、どんな非情な手段も選ばない。

 彼は冷酷な決断を下した。あの地下資料室に眠るすべての紙資料――自分を追い詰める決定的な物理的証拠を灰にすること。そして、あの忌まわしいデータベースを作り上げている女の口を、永遠に塞ぐことだ。

 その機会は、すぐに訪れた。

 ある週末の深夜。金曜日の業務が終わり、社内からほとんどの人が消え去った午前二時。

 私は一人、窓のない地下資料室に残り、パソコンの画面と睨めっこをしていた。

「月曜の朝一番で、警察に提出する最終的な証拠一覧表と、原本の照合リストが必要なんだ。危険な目に遭わせたくはないが、ミオ君の力がないと到底間に合わない。頼めるだろうか」

 そう言って頭を下げるレイ部長の頼みを、私が断るはずもなかった。

 先人たちが遺した記録を正しく世に出し、会社の負の連鎖を断ち切るための最後の仕事。私はいつものように温かいお茶を飲み、心の中の微かな疲れをあの『おつまみ』に浄化してもらいながら、至高の境地で無心にキーボードを叩いていた。

 静まり返った地下室には、私の規則正しいタイピングの音と、古い空調の鈍い稼働音だけが響いている。

 すべての欲求や恐怖から解き放たれた私の心は、深く澄み切った湖のように穏やかだった。自分が今、どれほど巨大な権力の逆鱗に触れ、命の危機に晒されているかなど、この時の私には微塵も想像できていなかったのだ。

 カタカタカタッ、ターン。

 最後のエクセル関数を組み終え、私は一つ大きく伸びをした。

「よし、これでデータの紐付けは完璧。あとはこのリスト通りに、指定されたファイルボックスから原本を抜き出して、台車に乗せておけば……」

 私がパイプ椅子から立ち上がろうとした、まさにその時だった。

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