ー第2節 ミオの整理した完璧なデータをもとにレイは極秘裏に包囲網を敷く。しかし長年会社を牛耳ってきた勘の鋭い役員は自らの破滅の足音に気づき、情報の出処がミオであることを突き止める。
第2節 ミオの整理した完璧なデータをもとにレイは極秘裏に包囲網を敷く。しかし長年会社を牛耳ってきた勘の鋭い役員は自らの破滅の足音に気づき、情報の出処がミオであることを突き止める。
「……ミオ君。君は、とんでもないパンドラの箱を開けてしまったようだ」
私の報告を受け、画面上のデータを確認したレイ部長は、かつてないほど顔を強張らせていた。冷徹なエースとして常に冷静沈着な彼でさえ、額に脂汗を滲ませている。
「この資金の流れが本物なら、会社は終わるかもしれない。いや……むしろ、ここでこの膿を完全に切除しなければ、未来の社員たちに負の遺産を残すことになる」
レイ部長は覚悟を決めたように強く拳を握りしめた。
彼は私の作り上げた完璧なデータと、地下室に保管されている数十年前からの領収書や決済書の原本リストを手に、極秘裏に動き始めた。社内の監査部すら信用せず、彼が個人的に信頼を置くごく一部の部下と、外部の警察組織や特捜部と連携し、水面下で大物役員を捕らえるための包囲網を敷き始めたのだ。
しかし、相手は長年にわたって裏社会とも通じ、魑魅魍魎が跋扈する権力闘争を勝ち抜いてきた怪物である。
大物役員は、異常なほど勘が鋭かった。
自分の息のかかった関連会社の口座がいくつか凍結されたこと、そしてかつての腹心たちが次々とレイ部長によって失脚させられている状況から、見えない『破滅の足音』がすぐ自分の背後まで近づいていることにいち早く気づいたのだ。
「なぜだ。あの氷の監査官ごときに、私が何十年もかけて築き上げた完璧な資金隠蔽のスキームが破られるはずがない。必ず、どこかに決定的な情報源があるはずだ」
役員は自らの権力と裏のネットワークを駆使し、レイ部長の動向を徹底的に洗った。
そして数日のうちに、彼は信じられない事実に行き着くことになる。
レイ部長が連日、社内で「姥捨山」と呼ばれる最下層の地下資料室に通い詰めていること。そして、そこで一人キーボードを叩いている地味な窓際OL――ミオという女が、魔法のように過去の真実をすべて可視化しているということを。
情報の出処が、完全に自分たちの死角にあった地下室の片隅であることを突き止めた大物役員は、激しい怒りと焦燥に駆られた。




