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第24話 出撃

その後も会議ではよく使われるハンドサインや、緊急時の対応等の話がありがらも無事に終了。

会議を終えた4人はダリアリの発案で親睦を深める為、同じ焚き火を囲んでいた。


「簡単なものですが、どうぞ」

「助かる、ありがとう」


そう言いながらクレナがシルトアに手渡した木製のコップ。

持つ手が暖かくなり、中を覗くと薄く色付いたスープが湯気を登らせている。


(うん、素朴な味だけど薄すぎない。 身体が暖まるな)


張り詰めた空気感のテントに居たせいか知らぬ内に身体が強ばっていたのだろう。

1口飲んだスープが喉を通ると程よく身体が解れていく。


「悪かったな、兄ちゃん」

「?」

「会議の時のことだよ。 知らなかったとは言え、色々疑ったりと失礼な態度を取っちまった」


こちらが一呼吸置いたのを確認してダリアリが声を掛けた。

どうやらシルトアを討伐隊に加えることについて疑ったことを申し訳なく思ってるようだ。


「いやいや! ダリアリさんの判断は間違ってないよ。 核の討伐だってのに得体の知れない奴に背中を預けたくないと思うのは当然だ」

「そうか、助かる。 あとダリアリって言いづれぇだろ? ダリだけでいいぜ」

「分かった、ダリさん」


どうやら彼らには受け入れて貰えたらしい、うっすら感じていた境界の線が緩まったように感じた。


ただ1人を除いて。


「言っとくがなお前。 ヴラドさんとリーダーが認めた以上は何も言わねぇが、せいぜい足を引っ張らないよう準備しとくんだな」

「あ、あぁ・・・・・・」


「お兄ちゃん!! なんで意地悪するの!」


釘を刺すライディに対して詰め寄るクレナを眺めながらシルトアは僅かに肩を落とす。


「一応、悪気があって言ってる訳じゃないんだ。 あいつは」

「そうなのか? てっきり気に食わないからだと」

「まぁそれも多少あるかもだが・・・・・・ あいつは責任感が強いのさ、人一倍な」


少し抑えた声で話しかけるダリアリにシルトアも合わせる。

現状ライディに対してはあまり良い印象を抱くことは出来ないが、ダリアリの口ぶりから察するに何か事情があるようだ。


(まだ決めつけるには、早いもんな)


シルトアはもう少し様子を見ることに決め、手元のスープを飲み干した。

その折に作戦会議が終わった直後のことを思い出す。


「そういえば、テントから出る時にカーリルさんが言ってたけど討伐任務にはもう1人参加するんだよな?」

「ん? あぁそういや言ってたな」


シルトアの言葉にダリアリも思い出したのか同調する。





数十分前。


シルトアはダリアリからの提案を受けて4人でテントを後にしようとしていた。

その時、ヴラドが思い出したように伝え忘れていたことを口にする。


「あぁそうだ! 討伐任務にはあともう1人腕が確かな奴が来る、今こっちに向かっているようだから挨拶してやってくれ」


その際、気になった点はヴラドがシルトアに向けて何やら笑みを浮かべていたことだ。

これまでの経験からあの笑い方は何かを企んでいたり隠している時にする顔だったから──






そして現在、その話を思い出した2人は来るのは一体誰なのかという話題に移り、シルトアは軽く腕を伸ばしながら口を開く。


「カーリルさんがあそこまで言うからにはかなりの実力者ってことなんだろうけど・・・・・・」

「ほんと、誰なのでしょうね」


「「!?」」


直後耳元に響いた声、シルトアとダリアリは即座に距離を取ると声の方に振り返った。

その異変に気付いたライディとクレナも遅れてこちらに目線を向ける。



皆の視線の先には着丈の長い緑地の礼服に身を包み、銀色の髪を胸元まで伸ばした特徴的な耳を持つ細目の男だった。


「横に尖った耳・・・・・・ 亜人、エルフか?」


そう口にするダリアリを筆頭に炎刃の鞘の3人は動揺した様子。

そんな中、シルトアは真っ先にその男に駆け寄ると声高に叫んだ。


「ラルク先生!!!!」


すると細目の男はシルトアに柔らかな笑顔を返す。

その様子に他の3人はまるでついていけなかった。


「シルトア、暫く見ない間に良い顔になりましたね。 ヴラドから聞きましたよ? 遂にメイガスになれたと」

「まぁ、色々とあって──」



「兄ちゃん兄ちゃん、その人を知ってるのか?」


仲良さげに話すシルトアにダリアリは割って入ることを申し訳なさそうに尋ねる、その背後ではクレナも同調するように頷いていた。


「あぁ悪い! 紹介するよ、この人はラルクさん。 金等級の冒険者で俺の先生だ」

「皆様初めまして、 私はラルク。 この子の言う通り金等級で活動しています、よろしくお願いしますね」


誇らしげに紹介するシルトアに対して謙虚な姿勢でお辞儀を挟みながら自己紹介をするラルク。

するとダリアリはその名前に心当たりがあるのか顎に手を当て記憶を探る。



「ラルク・・・・・・ 教壇のラルクか!? ギルド本部直属の!」

「おや、ご存知でしたか。 仰る通り冒険者ギルド本部にて冒険者育成の部署に所属しております」

「こいつはまた大物だな・・・・・・ 本人の実力も高いとは聞いてたが声掛けられるまで気付かなかったぞ」


驚きの声を上げるダリアリとその様子にただ息を飲むクレナとライディの2人。

3人はまだ緊張が強い様子だがシルトアにはそんな様子は微塵もなく、近況について軽く言葉を交わす。


「もう1人がラルク先生だったなんて、北方で冒険者の教導やってたんじゃ?」

「一段落着いたので戻ってきたんですよ、元よりこの国の配属ですし。 尤も到着したのは昨日の深夜でしたが」




まだシルトアが冒険者になって間も無い頃のこと、とある事件が起きた。

それは当時のシルトアの自信を砕くと同時に深いトラウマを植え付けることとなる。


ラルクはそんな失意の中にいるシルトアに手を差し伸べ、救い出した恩人であり恩師なのだ。




そうしてシルトアが思いを馳せていると、驚きで動きが止まっていたダリアリ達がようやく調子を取り戻し声を上げる。


「すまねぇ、呆気に取られて挨拶が遅れたが俺はダリアリだ。 炎刃の鞘のリーダーをやらせてもらってる」

「同じく炎刃の鞘、前衛のライディ」

「クレナです、後衛を努めさせて頂きます」


「これはご丁寧にどうも、御三方の武勇については以前から聞き及んでおります」


少し遅れてだが揃って挨拶をする3人とそれに対して礼儀正しく返答するラルク。

核討伐へ向かう5人が今ここに揃ったのだ。


「さて、早速ですが核の討伐についてお話しておきたいことが──」


互いに自己紹介を終えると、ラルクは核討伐に関する話題を切り出す。

その時だった。


「冒険者各位に通達!! 第2波の接近を確認、10分後には森林部から突出する模様。 総員戦闘配置をお願いします!!!」


響き渡る声、恐らくギルド職員からの呼びかけだろう。

その声に団欒としていた冒険者達は再び戦いへの空気に身を包み即座に動き出した。


「・・・・・・ この話は後ですね。 シルトア、久しぶりに実力を見させてもらいますよ」

「! はい、先生!!」



「よし! ライディ、クレナ! 準備はいいな!」

「「はい! リーダー!!」」


炎刃の鞘の3人はダリアリの声掛けを合図に各々が武器を手にする。

ダリアリは身の丈に迫るほどの巨大な剣を背負い、その後ろで弓と2種類の矢筒を抱え上げるクレナ。

ライディは鞘に入ったロングソードを肩にかけると、もうひとつ"空の鞘"を腰に下げた。


そしてシルトアもダリアリ達に続くように両腕に盾を装備し持ち上げる。


「話は終わりましたか? シト」


すると同時に頭にラナの声が響いた。

その声色は何処と無く不服そうに聞こえる。


「あぁ、まぁ・・・・・・ なんか不機嫌な気がするんだが?」

「否定、そんなことありません」


(絶対、不機嫌じゃん・・・・・・)


どうやらしばらくの間除け者にされたことが気に入らなかったらしい。

作戦会議中は気を利かせてくれたのか何も口出ししてこなかったが、その後も放置してしまったことが良くなかったのだろう。


「悪かったって、今度ギルドで好きなだけ食べていいから・・・・・・」

「承諾、許します」


機嫌を治したことに安堵すると同時にシルトアは、今後ラナを放置し過ぎないことを胸に決めた。











北の大森林前 第2波迎撃陣


森林から離れすぎない程度の距離を保ちつつ冒険者達は迎撃体制を取っていた。


そこにシルトア達が到着すると、後方の小高い丘でヴラドが腕を組みながら常に森林部へ注意を注いでいる姿が目に入る。

すると接近に気づいたのか、ヴラドがこちらへ振り向き歩み寄ってきた。


「来たかお前達」


その声に5人は静かに立ち並ぶ。

それぞれの顔を確かめるようヴラドは端から目線を流していく。


「いい顔だ、分かってるとは思うがこれから先、生きて帰れる保証は無い・・・・・・」


低く腹の底に響くような声は、引き締めたつもりでも緩んでいた心の弛みを締め上げる。


「だが俺はやってくれると信じている! いいか、無事に帰ってこい! 俺を残してヴァルハラへの抜け駆けは許さんからな!!!」


「「「はい!!!」」」


そこに続く激励の言葉は身体の内側を熱く燃え上がらせ、シルトア達はその熱をそのまま声にして出した。


そうして討伐隊の5人はその場を後に位置に着く、開戦後に魔物がある程度森林から出たことを確認してから突入する為である。


その間際、シルトアは迎撃体勢を取る冒険者達の中から自分に向けられる視線に気付く。

目を向けた先にいたのはシルトアの友、ビルケスだった。


大声を出して他の冒険者の集中を乱してはいけない、シルトアはただ静かに彼に向けて手を振るのだった。









そして、その時は訪れる。


森林の奥から魔物の咆哮が響き渡ると暗闇からその姿を表した。

それに対抗し雄叫びを上げ魔物に立ち向かう冒険者達。


(始まった・・・・・・)


シルトアはもう輪郭しか捉えられない冒険者達の姿を目にしながら心の中で呟く。


「大丈夫ですか? シルトア」

「はい、ただしっかり見ておきたくて。 皆のお陰で俺達は核まで進めるから」


心配の声を掛けるラルクに答えるシルトア、その言葉にはダリアリも反応を見せた。


「兄ちゃんの言う通りだ、そしてアイツらの頑張りを無駄にしねぇようにするのが俺達の役目だ」


第2波を受け止める冒険者達には決して少なくない被害が出るだろう。

彼らが稼いだ時間を我々が背負うのだ。


すると魔物の流れを見ていたラルクが声を上げる。


「ある程度魔物は森から出てきたようです、我々も行きましょう」

「よし、目指すは核の討伐ただ一つ! 行くぞ!!!!」


ダリアリの言葉を合図に5人は暗闇に染まる森の中へと足を踏み入れるのであった。



















ここまでお読みいただきありがとうございます!


・面白かった!

・続きが気になる…!

・取り敢えず良かった!


と思えば是非とも☆評価をお願いいたします。

何よりの励みになりますし今後の活力となります!!


どうぞよろしくお願いいたします。

それでは次の話でお会いしましょう!

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