神主は人?それとも…
『もしもし?そんな所で
寝ていたら風邪ひきますよ?』
私は誰かに声をかけられ
大きな欠伸をしながら
目を開けると
この神社の神主さんが
私の傍らに立っていた
私は慌てて口元を隠し
ベンチに座り直してから
『すみません。ありがとうございます。
ここ陽射しがあたって暖かくて
いつの間にか寝てしまってたみたいです。
ちょっと休憩するつもりだったんですけど…』
と恥ずかしさを
誤魔化すかのように少し早口で言った
神主は
『えっ?あ〜確かにこの場所は少し暖かいですね。
この神社は猫が集まってきますよ
猫集会っていうんですか?!
このベンチでよく猫が寝てる事も
お見受けいたします。
今朝はずいぶんと大きなネコが寝てましたが』
と微笑みながら言われ
『えっ?大きなネコ?』
私は自分の頭につい手をやると
神主は笑いながら
『暖かいとはいえ、まだ1月なんですから。
お風邪を召されませんように。
では私はこれで』
そう言うと神主は社務所の中へ
入っていった。
私は神主の背中を見送ってると
ふと茶縞柄の長い尻尾が見えた気がした
『えっ?!今のって…
ってか、今何時だろう?』
私は、スマホで時間を見ようと
ポケットからスマホを取り出した時、自分の手が視界にはいった
《えっ?!どうゆうこと?
手が元に戻ってる!
って事は、身体も?
そういえばさっき神主さんは
私を見ても何も言ってなかった。
(大きなネコとは言ったけど)
て事は…》
私は急いで家に帰った。
家に着くとルナは自分のベッドで
丸くなって寝ていた。
『ただいまぁ〜』
私はルナを起こさないように
小さい声で言うと
部屋の片隅にある鏡で
自分の身体を見ると
【いつもと変わらない】見慣れた姿が
そこに映っていた。
私は
頭の中が真っ白になり
ボー然としていると
『あっ!リナ、おかえりなさい』
ルナが目を覚まし私に向かって言うと
欠伸をしながら前脚を前方に伸ばし
今度は右後脚と左後脚を交互に伸ばし
ストレッチをしてから私のほうへトコトコと
歩いてきた。
ロングのダウンコートと帽子を
クローゼットの中にしまいながら
鏡で自分の姿を見ると
やっぱり【擬人化した猫】がこちらを
見ていた。
《はぁ〜、
今日は仕事が休みだったから
良かったけど、
このネコ化現象が治らなかったら…》
私は想像して身震いし
頭をかかえながら
キッチンへ行き
朝食の後片付けをした。
私は今朝から起きた事について
思い返していた。
そして、私はタロットが
置いてある棚をみつめ
《そういえば今朝【Tower】を
引いたんだっけ
もしかして〔衝撃的な出来事〕
ってコレの事だったのかも?!
趣味でやってる程度の
(まぁ、プロになれたら良いけど)
ド素人で超初心者の私の占いが
当たったって事?えっ?!ホントに?
えっ?て事はルナにも何か衝撃的…って
私がルナの猫缶を食べちゃった事だよね》と
私が苦笑していると
『ねぇ、リナ?あなたさっきから
変顔してるけどどうしたの?』
『へ、変顔って失礼ね!ちょっと考え事してただけじゃない。変顔何かしてないし』と
鏡の前に行くと
イカ耳をした擬人猫がこちらを見ていた
私はネガティブな想像を
してしまいそうになり
大きく深呼吸をして癒しの音楽を聴きながら瞑想した。