猫神社の不思議なベンチ
《私が猫神社の境内に入ると
ルナが社務所の前で
一匹の茶トラと話をしていた》
『ルナさん、だから私に聞かれても
判らないんですって』
『でも、あの缶詰には
ここにくれば解るって書いてたわ』
『そんな事を言われましても…』
茶トラがモゴモゴと言葉に詰まった
『やっと、追いついた。
あら、可愛い茶トラさん。
こんにちは。』
私が茶トラに挨拶をすると
茶トラは私に向って
『初まして、お姉さん。私はここで受付をしている〔茶々丸〕と言います』
と、茶々丸が姿勢を正し前脚を揃え
リナに頭を下げ挨拶をした。
私はルナに小声で
『ねぇ、ちょっとルナ?
私って今は何に見えてるの?』
『えっ?【何に】ってリナは
ずっとネコの姿してるわよ』
そういうと、ルナな茶々丸と
また話を続けた
私はルナに言われて、
自分の姿が【何に】見えてるのか
頭の中で考えてみた。
《私の今の姿は【ネコ】
今朝ホームセンターに行った時は店員さんも
普通だったから
【(多分で)人】
でも鏡で自分の姿を見ると
【擬人猫】》
『ん~~?』
私が頭を捻って考えてると
茶々丸がルナに
『このお姉さんどうしたの?
急に頭を傾げて固まってるけど』
ルナは私のほうをチラッと見て
『あぁ、大丈夫よ。多分。
てか、そんなことより、あの金の缶詰はどこにあるのか教えてよ。
ちょっと、じじょうで食べれ無くなったから、
新しいのが欲しいの。』
『ルナさん、さっきから申し上げていますとおり
私は受付が担当なので
何もわからないんですよ…
あっ!ちょっと待っててください』
茶々丸が何か思い出し
そう言うと
社務所の中へと入っていき
暫くして1枚の紙を咥えて出てきた
『あのぉ~、もしかすると
こちらのお知らせと
関係あるかも知れませんので
よろしければどうぞ』
と茶々丸が差し出した紙には
【猫神社からのお知らせ
毎月2,22、28日は
猫神社へお越しください
(………………)
(……………………)
あなたの願い叶うかも】
と書かれていた。
ルナはその紙を暫く見てから
『ん~~、今日は20日だから
2日後にまた来たら良いのね?!
わかったわ。ありがとう。
では、ごきげんよう』
そういうと
ルナは本殿の方へと
トコトコと歩いていった
私も茶々丸に
『さようなら』と軽く会釈し
紙を受け取ってから
ルナの後につづいた
『じゃあ。
あたしはこれから
朝のパトロールのお仕事が
あるから先に帰ってて』
そう言うとルナは神社を出て
来た道の反対の右に曲がって
行った。
私は、ルナを見送ってから
1人(一匹?)で本殿と社務所の間にある小さなベンチのほうへに向かい【今、自分の身に起こってるのか】
を考えようとベンチに上に座った
《それにしても
朝の新鮮な空気といい
心地よい太陽の陽射し
あったかくて
なんだかだんだん眠くなってきちゃった。ふぁ〜ぁあ》
擬人猫だったリナの姿は
大きな欠伸をすると
いつの間にかリナは
擬似猫から
三毛猫のような姿になり
ベンチで丸くなって
寝てしまった。