幻の金の缶詰と猫神社
〔あの子、本当に【リナ】なのかしら?
確かに、リナの匂いがするけど…
あっ!もしかして【金の缶詰】が無くなった事と関係があるのかも?!〕
あたしはこの目の前に居る【リナ】に
向かって、あたしが知ってる【人間のリナ】について質問してみた
『ねぇ、あなた?
あなたが【リナ】だっていうなら
あたしの質問に答えてちょうだい。』
『わかった。いいよ』
私はルナの質問に答える事で
自分に何が起こってるか
判るかもしれないと思った
『……………正解。
じゃあ、最後の質問ね。
あたしのなまえが【ルナ】に
なった理由はなに?』
『【ルナ】の名前になった理由は
出会った時に空に綺麗なまぁるいお月様が出てたの。そして、目の前に居る小さなあなたの瞳が、
お月様と同じまんまるだったからよ。
瞳の色も同じ綺麗な目だから
【ルナ】ってつけたのよ。』
〔あたしの名前の意味は
誰にも話してないけど【この人】は知ってた。
てことは…〕
『じゃあ、本当にあたしの知ってるリナなの?
ほんとに?』
『だから、さっきから言ってるじゃない。
私は【リナ】だって
てか、そんな事より何で私が猫になったのかが知りたいのよ!』
リナはルナに答えたあとの後半部分は、
不安と困惑が入り混じったような感情で独り言のように呟いた。
〔この人がリナなのは間違いないみたいね。
て、ことはリナにもう一度質問をした。
『ねぇ、もしかして【キラキラ光ってる缶詰】食べた?』
あたしはリナに【まさか】と思いリナに聞いてみた。
するとリナは
『キラキラ光ってる缶詰?あ〜、そういえば棚の上に置いてあって…
で、あれ?気がつけば朝食にサンドイッチと
オムレツが出来上がってて…食べたけど?』
『ハァ〜(あたしは大きなため息をつき)
リナがあたしの『金の缶詰』を取った犯人ね!』
『えっ?ルナの缶詰って。猫缶でしょ?
食べるわけないわよ!
でも、金の缶詰なんて買ったかなぁ?』
考え込んでるリナに向って
ルナは昨夜の出来事を話した。
話しを聞きながらリナは
自分の身に起きた事を考えると
【そんな事】があっても不思議じゃないのかなぁと思いながら
ルナの話し終わるのを黙って聞いていた。
『……で、やっとあたしが優勝したの!しかも今回の賞品は【金の缶詰】だったから嬉しくて嬉しくて、その場で食べても良かったけど夜中に食べると…ねぇ?』
そう言うとルナは細身の身体を自慢気に見せるように
リナの周りをモデル歩きのように尻尾をピンと立てて歩いてみせた
(猫も人間と同じって事ねw)
『それで、棚に置いてそのまま寝ちゃったのね?』
と私が聞くと
『そう、疲れたのもあるけど考え事もしてたから…それに、棚に缶詰が並んでたから
〔あたしの缶詰〕と思ったからそこに置いて寝たの。
なのにリナが…』
説明しててルナはまた怒りがこみ上げて私に向って
『リナ、あたしの【金の缶詰】返してちょうだい』
と私の目を見て言った
『返してって、判ったわよ。
買って来るからちょっと待ってて』
私はルナにそう言うと玄関に向い、
ふと鏡が目に入りクローゼットから
ロングのダウンコートとニット帽を取り出し
ホームセンターへと向かった。
《帰ってから私のこのネコ化した身体もどうしたら元の姿に戻れるかルナに聞いてみよ!
今は、ルナの頭の中は缶詰の事でいっぱいみたいだし…》
私はホームセンターに向かいながら、ルナの初めて怒った事を思い出していた。
ホームセンターに着くと私はペットフードコーナーに行き、猫缶が並んでる棚の前に立った。
《金色の猫缶はっと…》
私は【Premium】と書かれた金色の猫缶を手に取り
レジに向かった。
『ただいま〜、買ってきたよ。金の猫缶』
私が玄関のドアを開けると
ルナが両前脚を揃え姿勢を正し
お出迎えしてくれた。
『おかえり、リナ。』
ルナは尻尾をピンと上向き
上機嫌で
私の後をついてきた。
私はダウンコートとニット帽を脱いで、クローゼットにしまってから
ルナに
『はい、金色の缶詰。これでしょ?』
と猫缶を見せると
『違う。コレじゃない…』
と、ルナは低い声で言い
悲しそうにうなだれ
さっきまで上がってた尻尾も下にさがってしまった。
『でも、お店にはコレしか無かったし
店員さんに金色の猫缶を調べて貰ったけど
この缶詰しか無かったよ。
それにほらPremiumってちょっと高い猫缶なんだよ!?』
『知らないわよ。そんなの!
あたしは【あの金の缶詰】を返してって言ったの!
変わりの缶詰じゃなくて同じ缶詰を!』
ルナはそう言うと、尻尾をパタパタと床に叩きながら私に背を向けてしまった。
私はPCで【金 猫缶 幻】と検索し
ルナに自分で猫缶を選んでもらおうとしたが、ルナの言ってる猫缶は無かった。
あたしはリナのぱそこんで一緒に
あの【金の缶詰】を
探したがなかった。
《お店には売ってないのね…
あっ!そういえばさっき
キラッて光ったのがあった》
ルナはその場所に行き
【金の缶詰の空缶】を見つけた
《どこかに書いてないかしら…?》
あたしは、この缶詰を作った場所か
お問い合わせが書いてないか調べた。
『あったぁ!!
リナ、あったよ!これで判るかも』
ルナは大喜びでリナに金の缶詰の空缶を渡し
〔お問い合わせ〕が書かれてる所を見せた。
そこに書かれていたのは…
【製造元 猫猫ニャンパニー
お問い合わせ先 ネコ神社
(御用の方は社務所まで) 】
『え〜っと…
製造元が猫猫ニャンパニー?
聞いた事ないなぁ。
で、
お問い合わせ先がネコ神社って
これ住所も電話番号も何も書いて
ないし…』
私はPCで
【猫猫ニャンパニー ネコ神社】で検索してみたが
ヒットしなかった。
『ルナァ、あのね、言いにくいんだけど…』
私がルナに話しかけようとすると
隣で聞いていたルナは
『なぁ〜んだ、あの神社に行けば良ったのね?!』
と、急いで玄関に向うルナに向って私は
『ルナ、場所知ってるの?
ネコ神社ってどこにあるの?
もしかして、あの猫神社のこと?』
私はルナに質問すると
『そうよ。行きましょ。』
私はルナに急かされながら
クローゼットからロングのダウンコートと帽子を
取ってルナを先頭にネコ神社に向かった。