小さな訪問猫
次の日の午後1時
私はPCを立ち上げ
リモート会議の準備をしていた
『よし、会議に必要なデータは
なんとか間に合ったから大丈夫!
あとは…』
私は鏡の前に座り
猫耳が見えないように
髪型で誤魔化そうと
悪戦苦闘していた
(こんな事になるんだったら
もっといろんな髪型の練習しとけば良かった)
『ふぁぁあ、よく寝たわ
あれ?リナ何やってるの?』
ルナはお昼寝から起きると
両前脚を前に伸ばしストレッチをしながら
大きな欠伸をした
『見ればわかるでしょ?!
この猫耳をなんとか見えないようにしてるの
これから仕事でリモート会議があるから……
って、えっ?!もうこんな時間?
会議の準備はほぼ確認だけだったから
猫耳を隠すのに50分もかかってたなんて…
どうしよう…ぜんぜん隠れないし…』
するとルナが
いつもタロット占いをする時に使うクロスを
咥えてもってきた………
『ありがとう。ルナのおかげで
猫耳もバレずに会議も無事に終わったよ~』
私がPCを閉じて片付けていると
ベランダの方から
鳴き声が聞こえてきた
(えっ?また?)
ベランダのほうを見ると
このマンション横に植えてある木に
仔猫が【ぶら下がって】いた!
えっ?!木の枝に乗ってるのは
見かける事はあるけど
【ぶら下がってる】光景はあまり見たことない
私がびっくりしてると
『おねいちゃん、ぼくひとりで
おりれるよ。みててね』と
ベランダ目掛けて
今にも手を離し跳としてるので
ルナが仔猫に向って
『待ってて。あぶないから。
おねえちゃんが、そっちに行くから
そのまま動かないでね』
ルナは急いで木に飛び移り
仔猫の首元を咥えて
戻ってきた
『良かったぁ。いくら猫とはいえ
身体能力は良いっていっても
まだ仔猫だし、あんな危ない事をしたらダメでしょ』
私は仔猫に注意すると
『ごめんなちゃ〜い。』と
伏せの体勢をし頭を下げた
《めちゃくちゃ可愛いぃ》
するとルナが私と仔猫に向って
『まぁ、ケガもなかったんだから良かったじゃない。でも、もう危ない事したらダメよ!
もう少し大きくなったら
パパかママが教えてくれるからね。』
ルナの話を聞いて仔猫は
『パパ、いない。ママ、元気ない。
おねいちゃん、ぼくのママを元気にして
おねがいします』と言った