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狂気なる睦月

遅くなりました。色々な用事を終えて、小説を再開致しました。

♦︎徳川秀忠陣営

徳川秀忠は着々と上田城に向かっている。

「くっくっく、もうすぐで上田城。さぁ、忌々しい真田を葬ろうではないか。」

戦車の中でくつろぎながら移動している秀忠は、ひたすら戦場を進軍している。後ろに着いてきている兵士も、秀忠の後を着いてきている。

「秀忠様!ご報告致します!」

すると一人の兵士が秀忠に報告した。

「報告によりますと、阿部安秀様が真田昌幸を討ち取ったのだと、報告が入りました。」

「なんじゃと!?」

戦車の中にいる秀忠の表情はみるみるうちに明るくなっている。そう秀忠にとって、真田昌幸は自身の強敵であるが故に恐れている。その真田昌幸が死んだとなれば、徳川秀忠の優勢が確定されるのだ。

「くっくっく、安秀殿よ。よくぞ、やってくれた。これでこの戦は、勝ち戦間違いなし!では、上田城へと参るのじゃ!!」

そう言って秀忠は、上田城へと前進する。

♦︎真田睦幸 対 阿部安秀

「ぐあぁぁ!!」

雄叫びと同時に、弾丸を弾き飛ばしている。戦場は血の匂いに刀と弾丸が掠った時の温度が感じ取られる。

「どうしたのですか!?先程の威勢が、段々と無くなっているのではありませんか!?」

安秀は睦幸に一休みすることなく、弾丸を浴びせている。その弾丸を睦幸は、一本の刀で全て弾き飛ばしている。

「ぐっ!」

しかし、一つの弾丸が睦幸の横腹を抉った。その隙も見逃さなかった安秀は、一つの瓶を取り出した。するとその瓶を睦幸の方へと投げた。睦幸は、横腹に弾丸が当たったことで少し目が眩んでいるため瓶が投げられた事に気づいていない。

「終いだ!睦幸ぃ!!」

「!」

気づいた時には遅かった。一つの弾丸が、瓶に命中した。すると瓶の中にある液体が睦幸に飛び散った。瓶の液体が睦幸の皮膚へと染み込んでいく。

「くははは!その瓶を浴びたお前は、もう勝ち目がない!何せ、この瓶の中には、たった一粒で鯨をも死する毒だからなぁ!」

安秀の高い声が戦場に響いている。だが安秀にとって予想外なことが起こる。

「は?」

なんと、毒を浴びた睦幸は安秀の方へと歩いている。この光景を見た安秀は開いた方が閉じなかった。

「なんで、動けるんだよ?普通、この毒を浴びた奴らは、動くことさえ出来ずに死んだんだぞ。それなのに何故、貴女は動けるんだよ。」

困惑した表情で睦幸に問いかける。

「さぁな、俺ですら、何故動いているのか不思議だよ。もしかしたら、爺様が俺を死なないようにしてくれているかも知れんな。」

すると安秀は、無数の銃を出現させて睦幸に標準を合わせる。

「だがよぉ。毒を浴びているお前は、少し体が鈍くなっている筈だ。このまま、無限と同等の弾丸を浴びせればお前は必ずしくじって死ぬはずだ。」

過剰な自信を持っている安秀は、嘲笑いながら睦幸を見下す。

「死ね。ファイヤ。」

そして、無数の弾丸が睦幸に襲い掛かる。襲い掛かる弾丸をひたすら一本の刀で弾き飛ばしている。しかし、毒を浴びた事により体が鈍くなっている事に睦幸は気づいている。

このまま押し切られたら、間違いなく俺は死ぬ。だけど、ここで勝たないと俺が好きな故郷が奴らによって滅ぼされる。その為にも、ここであいつを討ち取って上田城に向かわないと。

「ぎやぁーははは!!これで貴女はお終い。某が上田城を潰して、徳川家康を天下へと導いて見せようぞ!だから某の出世への糧に成りやがれ、真田睦幸!!」

安秀は銃の火力を、急激に上げた。流石の睦幸も、防ぎきれず所々命中している。

やばい…このままだと、確実に押し負ける。それに刀で感じる、この弾丸の威力、半端ねぇぞ。

睦幸の体は、限界にまで達している。しかし安秀の凶弾は止む事さえ知らない。

「死ねェェ!!睦幸ィィ!!!」

安秀の銃は最大火力にまで、上げる。

「くそがァァ!!」

睦幸の雄叫びと同時に、東の方向から何かが飛んでくる。それに気づいた安秀は、バックステップで回避した。

「矢?一体どこから?」

安秀は、矢が飛んできた方向を見る。すると平原から一人の人物がやってきた。

「よくぞ、耐えてくれました。真田殿。あとは、この"神崎長宗"が引き受けます。」

それは突如として現れた一人の男にして、かの和風月神将に匹敵すると言われ、徳川軍が最も警戒している人物であった。

「おいおいおいおい、ここで化け物登場かよ。某って、こんなにもついていないのかよ。だが、某の火力の前じゃ、貴方など無意味同然です。では、初対面ですが、さようなら。」

無数の銃は、神崎長宗へと発射した。無数の弾丸が長宗の全体を照らしている。

「はぁ…そんなんで俺を倒すなど、ほぼ無鉄砲じゃないのか?」

その言葉と同時に安秀は、驚愕した。

「な…!」

無数の弾丸が、全て弾かれた。その出来事で、安秀は驚きを隠せなかった。

(某の攻撃があいつに伝わっていないと言うのか!?)

考える内に長宗は抜刀の構えに入っている。

(急いで、あいつを殺さないと何かヤバいのが来る!)

「だから言っただろ。無鉄砲って、お前が言った言葉そのまま返します。お前など無意味同然です。初対面ですが、さようなら。」

すると長宗は、地面を思いっきり蹴り飛ばして、神速の如く安秀に迫る。慌てている安秀は、片手に瓶を取り出し地面へと投げつけた。割れたと同時に、そこら中に煙が蔓延していく。長宗は刀を抜く事無く、そのまま静止した。

「覚えたぞ…神崎長宗!次会ったら、必ず貴方を殺して差し上げましょう!」

煙の中から声が聞こえたが、次第に安秀の気配が無くなった。

「はぁ…どうやら逃げられてしまいましたね。せっかく和風月神将を討ち取る事ができていたのに…」

長宗は呆れた顔で、睦幸の方へと顔を向けた。

「大丈夫ですか?真田殿。」

長宗は睦幸の方へと近づく。

「ああ、大丈夫だ。先程、助けてくださって感謝致します。自分とした事が、無様な姿を晒してしまって。」

悔しい顔を露呈しながら、長宗に感謝を伝えた。

「あれが無様な姿ですか。俺からすると、お前はあの和風月神将相手に互角にやり合える化け物だよ。」

長宗は、睦幸を慰めの言葉をかけるが逆に不機嫌になりジト目で睨みつける。

「俺からすると、お前はあいつの攻撃を刀を持ってないまま弾き飛ばした化け物だと思うんだけど。」

「ギャハッハッハ!だけどな真田殿、お前にはとんでもない才能があると思っているぞ。」

長宗の喋り方に何か既視感が湧いてきた。

何故かわからないが、何処か聞き覚えがある声だ。

懐かしい気持ちが脳裏に浮かび上がった。

「先…輩?」

とボソッと、小さい声が出てくる。それを聞いた長宗は、とある事に気がついた。

「ん?お前・・・まさか…大輔なのか?」

長宗は驚きの表情で睦幸の前世の名前を言った。それで、睦幸は目をかっぴらいている。

「えぇぇぇーー!!!」

睦幸は思わず、大声で驚いた。

「まさか、大輔も転生していたのか!しかも女の姿で!?」

「てか、先輩こそ、何でここにいるですか!?」

お互い指を指して、問いかけている。

「俺はな、あのブラックって言うおじさんが転生させたんだよ。なんでも、"異世界に行ってお前の友人を手助けしてくれないか"って言われて転生されたんだよ。その友人って、まさか大輔の事だったんだな。」

「俺だって、せっかく新しいゲームを楽しみにしていたのに、あの黒服野郎に強制的に転生されたんだよ!」

お互い自分達を転生させたブラックの愚痴を吐いた。

「はぁ、でも転生されてよかったと思うよ。」

と長宗は明るい表情に変わっていく。

「は?なんで?」

睦幸はボカーンとした顔で質問する。

「実はな、俺には正室・・・つまり、嫁さんがいるんだよ。」

「・・・ハアァァーーー!!⤴︎」

目ん玉が飛び出るくらいに仰天する。

「先輩に嫁おんの!?」

「ギャハッハ!俺には二つ下の可愛い嫁がいるんだよねー。」

嫉妬深そうな顔で長宗を睨みつける。

「どうだ?羨ましいだろ?ま、お前には当然無理だろうけど、精々、良い男と婚約するんだぞ。」

偉そうな顔で睦幸の肩をポンポンすると、睦幸の堪忍袋の尾が切れそうになったが何とか堪えた。

「それはそれは、良かったですなぁ。因みに俺は、女性の方と婚約する予定だよ。何せ俺は前世では男だから、前世の意思を今世では叶えたいと思っている。だから、楽しみに待っててください。絶対に先輩の嫁よりか、可愛い嫁見つけるので。」

恨みが篭った声で、長宗に訴える。

「ん?」

睦幸は後方の方から大勢の人の気配を感じ取った。

「お?来た様だな。せっかくだからお前に紹介しよう。今から向かってくるのは、俺の軍だよ。」

すると平原から大勢の人が此方に向かってくる。

「ちょ、多すぎないか!?あれ。」

余りの多さにドン引きしている。

「ふん。何せ、俺は三成様から大きな信頼を勝ち取ったからな。それで三成様から大勢の軍を、この俺に渡してくれたんだ。」

『神崎様ぁぁー!!』

軍勢から長宗を呼ぶ声が聞こえてくる。軍勢はやがて、俺たちの近くまできた。平原を覆い尽くす様に。

「神崎様、駄目ではありせんか。勝手に、先陣を切っては、貴方様は三成様の一番家臣ではありませんか。貴方様が死んでしまったら、我ら全員打ち首ですぞ。」

兵士は青ざめた表情で、自身の主人に訴える。

「悪い悪い、だけど俺が急いで行かなかったら、真田殿は死んであったぞ。」

「確かに貴方様は、韋駄天の如く足が速いのと鬼神の様な強さを持っている。だが、我ら無しに突撃しないでください!」

兵士は散々、自身の君主に説教をする。

「はいはい、今度から気をつけるから。」

呆れた顔でそっぽを向く長宗に、溜息を吐いた兵士は睦幸の方へと顔を向けた。

「真田殿、初めてお目にかかり申します。我らは神崎長宗様直々の家臣、"中居兵三(なかいひょうぞう)"と申します。」

兵三は丁寧な挨拶をする。

「此方こそ、よろしくお願い致します。俺は真田家次期当主真田睦幸と致します。」

丁寧な挨拶は丁寧に返す事が道理である。睦幸は心の中で違和感を感じる。

君主である先輩はこんなにも捻くれているのに、家来は意外とまともなんだな。さっきの喋り方的に結構苦労しているんだなー。

睦幸は、兵士達の気持ちに同情する。

「それにしても睦幸様は、お若いんですね。それに女なのに戦場に出て。我が君主は18にも関わらず、貴女様は見る限り、10だと見受けるんですが。」

「そうだよ。俺、10歳だよ。」

「それは誠ですか!?」

兵三は驚いた。何故なら普通、戦場に参加する者は15歳を迎えた者の筈なのに、それが15歳にも満たない少女が戦場に参加している事に驚いている。

「てか、長宗って18なんだ。」

「そうだぞ。俺は立派な成人男性でもあり、家臣でもあるからな。」

自慢そうに自身を棚に上げる。それに睦幸は呆れている。

「さて、長話はここまでだ。」

すると長宗は、真剣な顔に変わる。

「俺たちがここに来たのは、三成様から真田が保有している上田城を、守る事を命じられているんだ。」

神崎長宗は、石田三成の命令で徳川秀忠軍から上田城を守護する命令を下されている。

「だから、ここにいるのか。」

「だから、俺たちと協力して徳川秀忠を討つ。それと真田昌幸殿の所に行って、上田城で攻城戦をする。」

「・・・」

睦幸は暗い顔で、下を向いている。

「どうした?さっきの威勢が無いぞ?」

心配そうな顔で睦幸に話しかける。

「実は・・・爺様は討ち死にされた。」

「・・・そうか…」

長宗も暗い表情をすると同時に、周りがざわつき始めた。

「さぞかし…辛かっただろうな。だけど、これは戦場だ。いつ死ぬかわからない。お前の祖父も誉を重視してた人だ。昌幸殿の意志は睦幸・・・お前が継ぐんだ。」

「神崎・・・うん、そうだな。ここで俯いていたら、きっと爺様はあの世から化けて叱りにくるかもな。だから、俺はここでは挫けないよ。」

睦幸は長宗の言葉で、立ち直れた。彼女の顔は一段と良くなっている。

「必ずしも、徳川家康を討つ。そして、この乱世を鎮めさせる。」

「ギャハハ!いい顔になってんじゃねぇか。では上田城に参ろうぞ。」




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