始源
初めまして、えーしっくすと申します。今回が初デビューなのでこの小説を楽しんでお読みください!
「めぇーん!」
突如として普段の日常に猛々しい声が聞こえてくる。
「くぅー、負けたー。」
視界に入っているのは、木でできた天井。俺は今先輩に剣道を勧誘されていて、稽古の真っ最中だ。・・・ん?俺か?俺の名前は『睦 大輔』睦はひらがなで書くと『むつみ』なんだ。結構変わった苗字だろ?さて、自己紹介はこの辺りで、早速物語の続きを始めていくとしよう。
「おいおい、そんなもんかよ大輔。」
先輩は腹を抱えながら笑っている。
「そんなに笑う事じゃねぇだろ。てゆうか、先輩が全国でもトップクラスだろ!そんなバケモンに勝てるわけないじゃん。」
先輩は全国で優勝経験がある正真正銘の化け物だ。
「ギャハッハッハ!だけどな大輔、お前には才能がある。さっきの振りは対応するのに遅れたぞ。」
「それはたまたまですよ。」
「剣道初めて一日で俺の攻めを読んできたのは、相当な天才肌だぞ。」
「それもたまたまです。てか、先輩は何で剣道を一度もしていない僕を勧誘するんですか!?他にもいる筈ですよ剣道の経験者が!」
睦はプンスカプンスカほっぺを膨らませた。
「ま、取り敢えず今日はここまでだ。明日もまた来いよ。」
「て、先輩!また話を変える!この妖怪勧誘マン!」
「はいはーい、俺は妖怪勧誘マンでーす。ギャハハ」
そうして先輩は荷物をまとめ道場を出た。
俺は小学校からボクシングに勧誘され体験入部したら一日で先輩をボコった経験があって、それで当時の先輩が退部した事もありそれ以降部活には入っていなかった。
「部活かぁ… 嫌だなぁ、家に帰ったら百合ゲーの続きをするか。」
そう俺は大の百合好きだ。とあるサイトで百合のジャンルを検索して百合画像を沢山保存している。その数約1800個だ。
睦はリュックをからって、道場を出た。
「急げ急げ!時間は有限、早く家に帰ってlet's go 百合gameをしなくては!」
俺は息がはぁはぁする程急いで家に帰っている。曲がり角を曲がる時だった・・・ドンっと誰かにぶつかった。
「いて!」と俺は後ろへ倒された。
「す、すみません。」
俺は急いでぶつかった人に謝ると・・・
「いやいや、此方こそ周りを見ていなくてごめんね。大丈夫?」
黒い服を着ている男が心配そうに手を掛けてきた。
「あ、いや、大丈夫です。失礼します!」
そして俺は再度走って家まで行った。
「ふっ・・・」
と黒い服の男はニヤと笑った。
・・・
-自宅-
「ふぅー、間に合った〜。」
俺はいつも通りゲーム機の電源を押した。今回やるゲームはなんと言ってもサイコレズが登場するゲームだ。サイコレズは良いぞ。なんて言ったって、女の子が女の子を監禁してあんな事やこんな事をする。まさに百合ゲーの土俵場!ちなみに俺の好きな百合のジャンルは全部だ。守備範囲は広い方が良いだろ?
「ん?ゲーム機が中々起動しないぞ。どうしたんだよ!俺のせっかく楽しみにしていた百合ゲーができねぇぞ!ああーー!!終わったー!俺の一日は百合と無関係のまま、明日先輩にしばかれる運命だぁ!」
終わったと思い、睦は泣きながらベットへと寝転がる。
あー、明日の夕方頃には起動しているだろうか…?もし俺が、女の子に生まれていたらこの欲求を満たしていたのに…あー、不運だー。神様どうか…俺を女の子にしてくれー…
そうして睦は、深い眠りへとついた・・・・・・
『その願い叶えましょうか?』
すると突然声が聞こえてきた。
誰だ?こんな真夜中に呼び掛けるのは親父か?いや、親父は確か今日は帰ってこない筈…なら誰だ?この声…
ゆっくりと目を開ける・・・・・・そこは真っ黒な世界と一人の黒い服の男だった。
「貴方は…確か…」
「やあ、睦大輔くん。」
いきなり自分の名前を言われて、完全に目が覚めた。
「え!何故俺の名前を!?」
「君の事は少し調べさせて貰ったよ。」
「え?変態ストーカーさんですか?」
「確かに言われてみてはそうだな。」
「納得するんだ…」
睦の偏見ニックネームは真に受け止めている。
「てか、ここどこ?」
睦がいるのは辺り一面真っ黒で見えているのは睦と黒い服の男のみだ。
「さて続きを始めよう。君のことを調べたら、ある事に興味が出た。君はどうやら『百合』という物が好きだという事だ。」
「ああ、確かにそうだ。」
と頷いた。
「そして君は『女の子』になりたい。間違いないか?」
「間違いないです。」
再度頷く。
「て言うか、元の世界に戻して来れますか?」
「それは無理だ。」
「え?」
急な拒否で睦は唖然とする。
「どう言う訳ですか?」
「そのままの意味です。現実の貴方はもう死んでいますので。」
「え?・・・・・・はあぁーー!!!」
睦は余りの真実に仰天する。
「死んだ!!まじ!?」
「はい」
「つまり・・・うわぁぁー!!」
睦は膝に力が抜け、そのままぶっ倒れる。
「はぁ…家族との別れ、親友との別れ、どれもつr」「百合ゲーがぁぁーー!!!」
「え?」
黒い服の男が間抜けヅラになる。
「テメェ、どうしてくれんだ!せっかく楽しみにしていた百合ゲーが二度とできないまま人生終了とか俺の百合ライフが崩壊だぁ!!」
顔面ガン開きの血の涙が流れながら、怒り狂っている。
「驚きました。普通は家族・親友で嘆く人は多かったですが、まさかそこで怒る人は初めて見ました。」
その狂った睦を見て逆に感心するほどだった。
「そりゃ!怒るわ!おい、黒服ッ!どう責任取って来れとんじゃ、われ!」
睦は黒服の男の胸ぐらを両手で掴み上げた。
「まぁまぁ、落ち着きましょう。責任ですか…良いでしょう。なら、貴方は『転生』に興味はありますか?」
「『転生』…」
ゆっくりと黒服の胸ぐらを離した。
「はい。貴方には『転生』してもらい、貴方の言う『百合』を楽しむのは如何でしょうか?」
「それってつまり、俺が女になるって事なのか?」
「はい」
睦は息を呑んで、顔がにやける。
「その転生俺にしてくれないか。」
「宜しい。」
二人とも目を合わせて誓う。
「では早速始めさせて貰います。それ。」
すると睦の下には光が眩しくなった。
「え?早くね?特典とかは?チートとかは!?」
急な転生開始で睦は驚いた。
「安心してください。貴方には生まれつきの『天賦の才』を持っていますのでそのままにしときます。そして何より、貴方は戦国時代のとある武将の生まれる筈ではなかった娘として生まれるでしょう。では、貴方の人生に幸福がありますよう願っています。」
「俺に天賦の才?って、戦国時代!?ちょっと待てぇ・・・・・・」
そうして睦は光の中へと吸い込まれた。
・・・・・・・
「おんぎゃー!おんぎゃー!」
屋敷の中で一人の女の子が生まれた。
「信繁様!信繁様!生まれました!!」
一人の使いが出てくる信繁という男は、満面の笑みとなり、
「それは真か!」
「はい!元気な女の子です。」
信繁は急いで部屋へと駆け足で行った。
「竹林院!」
「信繁様…生まれました…ハァ…元気な子です。」
「おお、この子がわしの娘か!なんと、可愛らしいほっぺじゃのう。」
あれ?これもしかして本当に、戦国へと生まれたのか?待て!信繁!?つまり俺は真田家に生まれたってことか!?
睦は歴史の一時期極めていたため。信繁が真田だと言う事がわかった。
「名を何としますか…?信繁様…」
「ああ、この子はいずれ、わしらの光となるじゃろう。この娘の名は『光天姫』じゃ。」
「『光天姫』良い名です。信繁様…」
俺はこれから、真田の姫として一生を貫くのか・・・受けて立とうじゃねぇか。俺は絶対にこの時代の女の子を抱いてやる。今に見てろよ、あの黒服野郎!!
如何でしたか?楽しめて来れたら嬉しいです。