奇跡の桜3
確認はしておりますが、不自然な点などあるかもしれません...ご容赦ください...
――待ってくれ...俺が異能の使い手の子孫?それは何かの間違いではないのか。生まれてこの方、魔法も異能も、使えたためしなんて一度もない。
「待ってくれ。生まれてこの方、魔法も異能も使えたためしがないぞ」
俺は反論する。
それに対して由利さんは、少し離れた位置に見える奇跡の桜を指さしながらこう言った。
「それはそのはずです。あなたたちが異能を使えるのは、あの木の力を受けることができる範囲。この街の中だけですから。ですから今なら、あなたも方法さえわかれば、異能が使えるはずです。では試しに、一つ異能をお教えしましょう。」
そうして由利さんはこちらに近づいてきて、俺の手を取り、とっと彼女自身の胸に引き寄せた。すると、眩暈や頭痛の後に感じていたような、頭の中に記憶が流れ込んでくるような感覚を感じた。
「これであなたも、異能を使えるようになったはずです。試しに、“複製創造”の異能を使ってみましょう。そこに落ちている木の枝を複製してみてください。複製する場所に手をかざして意識を集中させ、複製する場所をイメージすれば、あとは複製創造と唱えるだけでできるはずです。」
とにかく、言われた通りやってみるしかないか。
「複製創造!」
そう口にすると、かざしていた手の先に、指定されていたものと全く同じ形の木の枝が、空気中から光が集まるようにして出来上がった。
「す、すげえ...」
本当にできた ...
「よかった。まだ能力は残っていますね。」
由利さんは安堵したように言う。
「こうして教えることができるということは、由利さんは、異能を使えるのか?」
「いえ。異能を使うことはできません。いつか、あなたのような、異能の使い手の子孫が必要になった時に、その人にこうして異能を伝えるために教えられました。私自身は、魔法使いの家系です。」
「魔法使い?魔法と異能はなにか違うのか?」
「ええ。明確に違います。異能は自身の精神力を。魔法は魔力を使って能力を使います。内容も、些細ですが違いがあります。例えば、魔法は同時にいくつもの魔法を使うことができますが、身体強化、複製創造などの能力は、魔法にはありません。」
「異能は同時に複数の能力を使うことはできないのか?」
「はい。出来ません。ただし、使う能力が一つなら問題なく使えます。例えば、複製創造を用いて、同時に複数のものを複製創造することは可能です。」
レパートリーは異能のほうが多いけど、自由度は魔法のほうが上ということか。
「それで...由良くんにはお願いしたいことがあるんです。」
「な、何?」
「由良くん、私...ッッ!!」
返答がかえって来るかというところで、彼女は急に顔をしかめた。
「今はその余裕はないみたいです!!とにかくついてきて!」
俺は答える間もなく腕をつかまれ、そのまま腕を引かれてついて行くことになった。
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