奇跡の桜2
確認はしておりますが、不自然な点などあるかもしれません...ご容赦ください...
「今日からお世話になる、由良春也です。よろしくお願いします!」
そう挨拶すると、前から大きな声が聞こえてきた。
「由良?!今、由良と言いましたか?!」
大きな声の発信源は、意外にも、おとなしそうな、銀髪の女の子。
「はい。由良春也ですが?」
それはたいそうな美少女だったが、見惚れることもできな程の疑問が脳内をめぐる。どうして、初対面の美少女に、名前が知られているんだろう?
と、そんなことを思っていると、
「その反応では、何も聞かされていないようですね...」
「え?」
「とにかく放課後、校舎の裏に来てください。」
何だろう?校舎裏って。告白でもされるのか?いや、初対面の男にそれはないか。
「まあまあ、いったん落ち着いて?気になるのもわかるけど、突然そんなこと言われて、由良くんも困ってます。」
「はい。わかりました。すいません...」
先ほど大声をあげていた銀髪の美少女は、先生からの注意を受け、冷静になったようで、素直に席に着いた。
普段は落ち着いた子のようで、周囲からは意外そうな様子がうかがえる。
とにかく、放課後話を聞かないわけにはいかなさそうだ。
――昼休み。
「よっ、春也!」
クラスの男子にそう声をかけられた。
「よろしく」
「ああ。俺は空知涼。よろしくな!」
簡単に返した返事に、感じよくそう返してくれた。根っこから良いやつなんだろう。
「ところで、春也はどうしてここへ来ることになったんだ?親の転勤とか?」
「ああいや、実は一人なんだ。親から理由も告げられずにここへ転校しなさいって」
「な、なんだそれ?滅茶苦茶じゃないか。」
「ほんと、そうだよね。」
あの時のことを思い出すと、ほんとうに滅茶苦茶だったと思う。俺の反対意見も聞き入れてくれず、半強制的というべきか。
「でも、普段はあんな滅茶苦茶なこと言うような人じゃないのに...」
「まあ、明らかに常識からかけ離れてるけど、よほどのことがあったんじゃないのか?」
たしかに、気になることを言われたな...
「息子に対して滅茶苦茶なことを言っている自覚はあるの。でもお願い。行けばちゃんとわかるから、桜異に転校してほしいの。」
もしかして、さっきの女の子と何か関係が...
「いや、それはないな」
誰にも聞こえない声でそうつぶやいた。
放課後、銀髪美少女に言われたとおりに、校舎裏へやってきた。そこには、俺のほかに姿はない。どうやら先に到着したようだ。
「ちゃんと、来てくださいましたね。」
後ろから声が聞こえ振り返る。
―思わず、見惚れてしまった。
朝は、突然初対面の俺相手に大声を出してきたことへの混乱から、それどころではなかったが、やっぱりとんでもない美少女だ。大きな目に、清潔に保たれた長い髪は、すらっと重力に従うように伸びている。その姿は、どこか見覚えがあるような...以前、どこかで出会ったのだろうか。
「私は由利彩音と申します。まずあなたに...いえ、由良くんに伝えなければならないことがあります。この街に来た時、この街の言い伝えを耳にすることはありませんでしたか?」
「ああ、異能使いとかなんとかって話なら。」
この地はかつて、異能使いが国を作っていたこと。人間がその異能を恐れてこの地を奪い、異能使いを追い出したことや、奇跡の桜について、一通り知っていることを話した。
「それなら、理解は少しははやそうですね。」
ほんの少し、安心したような声でそう言ったあと、真剣そうな表情に変えて言葉を続けた。
「由良くんは、この地を追い出された異能の使い手の子孫です。」
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