041 走る人形
先手必勝――スキルで一気に距離を詰め、ブタブタくんの乗ってる馬の脚を斬りつける。
だが岩のように固い体がダガーの脚を弾いた。
メリーゴーランドから脱走して動けるようになったくせに、体の材質はそのままらしい。
それにしたって頑丈すぎるけど。
すると上に乗るブタブタくんは、巨大な屠殺用包丁を取り出し私の頭上めがけて振り下ろす。
「なにそれ自虐じゃんっ!」
後ろに宙返りしながら回避。
刃は私の体スレスレの部分を通り過ぎていった。
そして空中で逆さになりながら、スパイラルダガーを馬の脚部の付け根に投擲する。
このドリルのように回転する刃なら、あの固い体を貫けるはずだ。
思惑は的中。
着地とほぼ同じタイミングで馬はバランスを崩し、ブタブタくんは落馬する。
だが地面を転がりながら体勢を持ち直し、すぐさま低い姿勢で私に斬りかかってきた。
とてもマスコットとは思えない、アクションスターのような動きだ。
再度振り下ろされる屠殺包丁。
横に避けると、その重たい刃は地面を砕き穴を開く。
厄介な魔法やスキルは使ってこないけど、こちらを即死させるのに十分すぎるパワーがある。
ブタブタくんは、今度は真横に包丁を振り払った。
私はしゃがんでそれを避け、低い姿勢からナイフの間合いに踏み込む。
フルムーン――高速の連撃で、着ぐるみの化物はズタズタに引き裂かれた。
全身から血を噴き出しながら、バラバラになって倒れるブタブタくん。
断面を見るとわかるが、着ぐるみの内側にはみっちりと腐った肉が詰まっており、それが“独立した生物”であることがわかる。
「お、おお? 何か頭に響いてきたぞ」
「私が敵を倒したからネムシアのレベルが上がったの。名前はキャスト、か」
さっき流れてた放送でもそんなこと言ってたな。
遊園地のスタッフのことをキャストって呼ぶこともあるから、まさかそれが化物の名前だとは思わなかったけど。
さて、ブタブタくんは倒せたし、ラビラビちゃんとクマクマくんも倒すことはできそうだ。
穴人間よりは厄介そうだから倒して逃げる?
とりあえずネムシアと一緒に走りながら、今後の方針を考える。
そして相手との距離を確認しようと、後ろを振り向いたとき――そこには、無傷のブタブタくんの姿があった。
「さっき倒したはずじゃ……」
すると彼の背後から、これまた脚を砕いたはずの馬が駆け寄る。
ブタブタくんは並走しながら、その馬に飛び乗り、再びこちらに接近してきた。
「復活したのか!?」
「とりあえず馬だけでも止めないと追いつかれる!」
迫る敵に向かい合い、ナイフを構える。
するとどこからともなく、女性の声が響いた。
「そいつらと戦っても無駄よ、足を止めないで!」
そしてドドドドッ、と続けざまに破裂音が鳴る。
銃弾のようなものが馬の足元に降り注ぎ、地面を砕くことで相手のバランスを崩した。
その銃撃を行った張本人は、私たちの前方に降り立つと手招きをする。
私とネムシアは顔を見合わせ困惑しながらも、彼女についていくことにした。
短髪でボーイッシュな服装のその女性は、両手にトンファーを握っている。
先端から煙が上がっているのを見るに、あそこから銃弾を放ったのだろうか。
だとしたら、私と同じような能力を持っている――そのおかげで、この階層で生き残ることができたのだろう。
彼女に追いついたところで、私は声をかけた。
「ありがと」
「市民を助けるのは義務だもの、気にしないで。ところであなた、見ない顔だけど、今日までどこかに隠れていたの?」
「一階から逃げてきた。この子――ネムシアと一緒にね」
「アドラシア王国の女王、ネムシアである」
「は、はあ……」
まあそういう反応になるよね。
「一階ってどういうこと? まるでここが二階みたいな言い方じゃない」
「そうだよ、光乃宮学園の二階。そこがこの遊園地と混ざり合ってるの」
「落ち着いて話を聞く必要がありそうね――っと、前からも来たわ!」
「なんだあの珍妙な乗り物は!?」
「ゴーカートまで凶器にするなんて、さすがファンタジーランド」
前方から迫るのは、ゴーカートに乗った着ぐるみ集団。
これが普通の遊園地だったら、かわいいアトラクションだって笑えるんだけど、ゴーカートも着ぐるみも例外なく血で汚れている。
一体、何人の人間を轢き殺してきたのやら。
「あの手のキャストは、本体を狙うより地面を狙って足止めした方が早いわ」
「アドバイスどうも、じゃあそうしよっかな」
「ナパームショットッ!」
「フルバースト!」
ナイフという武器の都合上、地形の破壊は得意じゃないけど、不可能ってわけではない。
無数の投げナイフを地面に射出し、ガタガタにすることでゴーカートの足を止める。
一方で女性が両手に持つトンファーの先端から放った火の玉は、地面に衝突すると同時に爆発を起こし、大きな穴をあけた。
トンファーって一体……。
けど全員を止めることはできなかったようで、爆炎を切り裂いて、向こうからオウムのバドバドちゃんが姿を表した。
「あいつは無視して進むわよ、セーフゾーンが近くにあるわ!」
ゴーカートの突進を、私はネムシアを抱えて飛んで避けた。
完全に避けたにも関わらず、吹き荒れる風が私の脚や体を裂く。
もっとも、一度ならかすり傷にすぎない。
バドバドちゃんは巧みなハンドルさばきで、キキィィィッ! と煙をあげながら華麗なドリフトを決める。
そして再びこちらに向かって来ようとしていた。
前方にはファンタジーランド内にあるレストランの建物がある。
「このまま飛び込むわよッ!」
私はネムシアを抱えたまま、女性に続いて全力で走った。
「おい依里花っ、我を降ろすのだ。一人で走れる!」
「スピード合わせるよりこっちの方が早いの!」
「我が遅いとでも!?」
「ステータスの都合なんだから文句言わないッ!」
レストランに近づくと、中にいる生存者たちが扉を開いてくれた。
セーフゾーンって言ってたけど、要は聖域展開で結界を張ってるみたいだ。
一足先に女性が結界内に到着。
こっちもあと少しで届きそうなのに、背後からはゴーカートが迫る。
私はネムシアの体を女性に投げ渡す。
そして振り返り、バドバドちゃんに向かってパワースタブを放った。
「ぐ……おぉぉおおおおッ!」
ゴーカートの力はかなり強烈で、真正面からぶつかり合うと押し返され、腕の筋が切れて内出血を起こす。
挙句の果てには骨が変な方向に曲がって折れ――その際に弾き飛ばされた私は、無事に安全地帯内に飛び込むことができた。
バドバドちゃんの乗る車は結界に衝突し、バチバチッ! と激しく火花を散らす。
だが力押しで中に入れるはずがない。
やがてゴーカートのエンジン部が煙をあげ、オーバーヒートを起こしてバドバドちゃんごと爆発した。
……本来はそんな爆発なんて起こすわけないんだけどね。
あのパワー、そしてあのスピード――きっと異界化した際に、とんでもない改造を施されたに違いない。
爆発に巻き込まれて、中身をぶちまけながらバラバラになったバドバドちゃん。
しかしその肉体はすぐに元の形に戻り、しばらく私たちを睨むように見つめ続けたあと、背を向けて去っていった。
ヒーリングで腕を治しながら、改めて私は女性にお礼を告げる。
「本当にありが……」
けれど言い切る前に、私のこめかみに冷たい感触が押し当てられた。
「光乃宮学園の生徒がどういうつもりでここに来た」
三十代後半ぐらいの男が、拳銃を突きつけている。
能力で作った銃って感じの見た目じゃなくて、本物のハンドガンって感じの見た目をしている。
男の手が震えていたり、動きがぎこちないところを見るに、おそらく紛れもなく本物なんだろう。
光乃宮学園を憎む人間がいる理由は理解している。
だから私は、敵対する意思は無いと示すために両手を上げる。
「おいお主、これはどういうことだ。我らを騙したのか!?」
女性に食って掛かるネムシア、しかし女性自身も困った顔をしている。
「そんなものまで持ち出して――やめてください赤羽さん。彼女はキャストやホールマンと戦っていました、彼らの仲間では無いはずです!」
「そうやって油断してるから僕の娘はさらわれたんだ。井上さん、あんたも警官だって言うんならもっと警戒すべきじゃないのか!」
「さらわれたってどういうこと?」
「黙れッ!」
少し喋っただけで、赤羽って男はさらに銃口を強く押し付けてきた。
「赤羽さん」
「黙れと言っている」
「その気になれば、私は引き金を引くより速く動けるの。今はお互いに対話をするためにこういうポーズを取ってるだけ」
「この銃がただの脅しだと思ってるのか?」
頭に血が登ってる――話は通じそうにない。
私は素早く彼の背後に回ると、その首筋にナイフを突きつけた。
「何――!?」
「私の方こそ、ただの脅しじゃないよ」
冷や汗が赤羽さんの首筋に浮き上がる。
相手の戦意が萎えたものだと考え、私はすぐにナイフを降ろす。
「話をしようよ。私たち、まだ自己紹介すらしてないんだから。ほら、他の人たちも困ってるよ」
他の生存者たちは、レストランの端っこに集まって身を寄せ合っている。
まあ、いきなり現れた人間がナイフを振り回したらそりゃ怖いよね。
どうもうちの学校の生徒に何かされてるみたいだし。
「あたしもそれに賛成。赤羽さん、銃を置いて」
「あ、ああ……」
赤羽さんは青ざめた顔で、テーブルの上に銃を置いた。
どっからあんなもの手に入れて来たんだろう。
この女性――井上さんは警官みたいだし、彼女が持ってたのかな。
「いきなりこんなことになってごめんなさい」
「そうだぞ、依里花が怪我でもしておったらどうしてくれるつもりだったのだ!」
「まあまあ、ネムシア」
「お主ももっと怒るべきだ!」
「代わりにネムシアが怒ってくれてるから。それに、あんだけ化物に襲われて切羽詰まった状況なのに、いきなり私を狙ってくるなんて――光乃宮の生徒によほど強い恨みがあったんじゃない?」
「そうね……あたしたち、光乃宮学園の制服を着た男子生徒たちに襲撃を受けてね、生き残ってた人たちが半分ぐらい連れ去られたの」
男子生徒ってことは、須黒と白町たちだろうけど、人さらいねえ。
何回そういうこと繰り返すつもりなんだか、懲りない奴ら。
「僕の娘もその中にいた。今頃あの子が、どんな目にあっているか……ッ!」
「正直言って、彼らがどういうつもりなのかさっぱりわからないのよ。遊園地にいただけなのに、急にこんな場所ことに巻き込まれて、本当は力を合わせて生き残るべきなのに」
「あいつらは、そういうのが出来ない人格破綻者の集まりだから」
「さらった連中を知っているのか!?」
「知ってる。けどその前に落ち着いて自己紹介から」
「す、すまない……僕は赤羽崇だ。この光乃宮ファンタジーランドで事務員をしている」
職員さんなんだ。
じゃあここの施設にも詳しいのかな。
「あたしは井上芦乃。光乃宮市で警察官をしてるわ。と言っても、妹と一緒にプライベートで遊園地の遊びに来てただけなんだけどね」
この町で警官ってことは――犯罪の隠蔽にも関わったことがあるのかな。
見た限りでは、すごくいい人そうだけど。
「私は倉金依里花。光乃宮学園の二年生で、ついさっき一階から逃げて二階に辿り着いたの」
「我はネムシア・アドラークである! アドラシア王国の女王だ。王国からここに飛ばされてしまい、今は帰り道を探している」
「さっきも言ってたけど……そのアドラシア王国っていうのは?」
「大陸の統一を成し遂げた、偉大なるわが祖国――」
ネムシアが説明すると余計に混乱しそうなので、遮って私が解説したほうがよさそうだ。
「この遊園地が光乃宮学園の二階と混ざり合ってることは把握してる?」
「……おい依里花、まだ我の自己紹介の途中であるぞ」
「僕の娘が言っていたよ。授業中、学校の様子が突然おかしくなって、いつの間にか迷路のように入り組んだ場所になっていたと。そして気づけば、この遊園地にいたらしい」
赤羽さんはファンタジーランドで働いていて、娘さんは光乃宮学園で授業を受けてたんだ。
再会したのは偶然だったんだね。
「誰も我の話を聞いてくれぬ……」
涙目のネムシアを撫でて慰めつつ、話を続ける。
「僕はそのニュースを聞いたあと、仕事を切り上げて光乃宮学園に向かおうとしていたんだ」
「へえ、時間差があったんだ」
「この園の様子がおかしくなったのは、ニュースが出てから三十分後ぐらいのはずだよ」
仕事中だったみたいだし、お客さんが騒いでるのを見て気づいた――ってところかな。
けれど赤羽さんが遊園地を発つ前に、ここも呑み込まれてしまった。
「そんな経緯だったのね、あたしはニュースにもさっぱり気づかなかったわ」
「しかしこの階は、ゆーえんちと教室だけが混ざっておるのだな」
「一階は違ったの?」
「色んな“異世界”が混ざり合ってた」
「異世界? そんなものがあるの!?」
「ネムシアがその生き証人」
「うむ、アドラシア王国はこの世界と別の世界にある」
「私も自分の目で、地球上にあり得ない景色をいくつも見てきた」
「なかなか信じられない話ね……」
もうここまで来ると、信じる信じないの話じゃない。
私が見たことを話しているだけなんだから、それでも信用できないっていうんなら、置いていくしかないのだ。
「私たちはゾンビを始めとした化物とも戦って、何とか一階の親玉を倒したの。けど二階に向かおうとしたとき――敵対する生徒と教師に待ち伏せされて、私とネムシア以外の仲間は連れ去られた」
「あの男たち、あなたたちの仲間まで誘拐してたなんて」
「意地が悪そうな教師の大木。大柄な男子生徒の須黒、軽薄そうな男子生徒の白町、そして大人しそうな女子生徒の中見。私が把握してる“敵”はそいつら。私は彼らを殺して仲間を取り戻すために動いてる」
「光乃宮学園の中で勢力が別れているのね……」
「学生同士で敵対したり、異世界なんて意味の分からない言葉まで出てきた。僕たちは一体何に巻き込まれているんだ!?」
私が知る限り、儀式の中心地は夢実ちゃんのいる学園の地下だ。
そこから光乃宮ファンタジーランドまでは数キロ離れている。
正直、ここが巻き込まれた理由はよくわからなかった。
ピンポイントで取り込まれたのか、はたまた街全体が取り込まれているのか――
ひとまず、私は自分の知る情報を井上さんや赤羽さんに話した。
光乃宮学園の裏の顔を知った赤羽さんは驚愕し、娘をそんな場所に通わせた後悔に表情を曇らせていく。
一方で井上さんは何か思うところがあるのか、表情がどんどん険しくなっていった。
「娘が通っていたのは、生贄を作り出し……邪神を降臨させるために存在する学校だというのか……」
「戒世教……光乃宮市の中枢まで入り込んでいるとは思ってたけど、まさかそれほどだったなんて」
「井上よ、お主は戒世教について知っておるようだな」
「警官だもの、もみ消された事件がいくつかあることは知ってたわ。だからあたしは個人的に追ってた。と言っても、一人でやれることなんてたかが知れてたけど」
明治先生を思い出させる発言だった。
やはりこの街の裏の顔を知った人間は、少なからずそういった危機感を抱くのだろう。
だがその多くは、力に踏みにじられ、心を折られてしまう。
「でも……あの子だけは巻き込まないつもりだったのに」
「あの子っていうのは、妹さんのこと?」
「ええ、緋芦っていうの。逃げている間にはぐれてしまって……無事かどうかもわからないわ」
緋芦って――確か牛沢さんが探してるって言ってなかったっけ。
「その妹さんは高校生?」
「え? 違うわ、まだ10歳の小学生よ。16歳も離れてるから、あたしが親代わりみたいなもんなのよ」
じゃあ別人か。
珍しい名前だから、あんまり被りそうにないのに。
しかし、平日に警察官が妹を連れて遊園地……ねえ。
こっちもこっちで珍しいシチュエーションな気がする。
「井上さん、遊びに来てたってことは休日なんだよね」
「ええ、そうよ」
「じゃああの銃は? おまわりさんって普段からああいうの持ち歩いてるものなの?」
「ああ、あれは――あたしが遊園地内を探索してたときに、見つけたのよ。その、学校の教室の中で」
「……うちの学校、そんなものまで用意してたんだ」
「みたい、ね」
井上さんの頬がひきつる。
私も思わず頭を抱えた。
銃なんて何に使うつもりだったんだか。
もう宗教団体ってよりはテロリスト組織じゃん。
じゃあもしかして、白町くんの武器が銃だったのも、学校の中に存在してたからってこと?
ああ――そういえば何年か前に、市内で銃撃事件が起きてたっけ。
ファンタジーランド内で起きたから結構なニュースになってた気がする。
結局、犯人は見つからずじまいだったけど。
「まあ、ここまで話せば私が敵じゃないってことはわかってもらえたよね?」
「どうなのだ、赤羽よ」
「ああ……そうだな。光乃宮学園の生徒というだけで疑ってしまって申し訳ない」
「あたしたちはあなたを仲間として歓迎するわ。さらわれた人たちを救いたいという思いは同じ、お互いに頑張りましょう」
「うむ、よろしくだ!」
「よろしく」
差し出された手を、ネムシアが先に両手で掴む。
遅れて私も井上さんと握手を交わした。
「戦える人間が増えれば、それだけ探索範囲も広がる。一刻も早く相手の拠点を見つけないとね」
「ああ、それならおおまかな場所ぐらいはわかるよ」
「そうなの?」
「我も初耳だぞ」
「ネムシアには説明したでしょ。ギィって子がスパイとしてあっちに入り込んでるって。ギィと私はパーティを組んでるから、どこにいるのかわかっちゃうの」
スマホを操作し、地図画面を開く。
ギィの居場所を示す光の点は、何もない場所に表示されていた。
まだたどり着いていない場所なので、地図が描かれていないのだ。
でもどちらの方向かぐらいはわかる。
赤羽さんは画面を見ながら口を開く。
「その方角で拠点に使えそうな場所と言うと、敷地内にあるホテルだろう」
「あのお城みたいな場所かぁ」
「ホテルで城? 王族ではなく平民のために用意された城があるということなのか!?」
ズレた驚き方をしてるネムシアはさておき。
あそこは、夢実ちゃんと泊まったことがある場所だ。
あんな素敵な場所に大木たちがいるなんて、思い出を踏みにじられてるみたいで不愉快だ。
「私は今すぐにでも向かいたいと思ってる。井上さんはどう?」
「まさかすぐに攻め込むつもりなの?」
「さすがにそこまで猪じゃないよ。相手の拠点や戦力を把握しておきたいの」
「それなら賛成」
「ではさっそく向かおうぞ。偵察で彼奴らの城を丸裸にしてやろうではないかっ!」
私たちは三人でレストランを出て、ホテルを目指す。
さらわれた令愛たちは、今ごろどうしているんだろうか。
一刻も早く、大木たちを皆殺しにしなければ。
あいつらの悪意がこれ以上大切なものを汚す前に。
早く。早く。
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