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世界を救うはずの勇者が世界を支配する魔王に!?  作者: 栗山 ぽん酢
1章 この世界とのお別れ
8/8

覚悟と別れ

 目が覚めた。身体を起こし、眠い目をこすりながら、カーテンを空けると、外はまだ薄らと暗かった。

 目覚まし時計を見ると、針は5時半を刺そうかというところだった。


 緊張で目覚ましよりも早く起きてしまった。


「まだ5時か。まぁいいや。早く起きれたし、学校の準備でもしよ。」


 そう言って、眠い目をこすりながら身体を起こしたのは宮村幸知だった。


 女の子の朝は早い。

 なんてことをよく聞くが、私にとってはそんなことは無かった。


 私の髪はドがつくほどの直毛で寝癖なんかは手ぐしで数回空けば治るし、学校も化粧禁止の為、付けるとしてもせいぜい色つきリップくらいなので、特にこれといってすることがないからだ。


 とりあえず洗面所に行き、顔を洗った。

 鏡を見ると、まだ、分かるくらいに目元が腫れていた。なので、水で濡れたタオルを目元に置き、軽く目元を冷やした。


「お腹すいたな。」

 そう思い、また、ママへの感謝の気持ちも込めて、今日は自分で朝ごはんを作ることにした。


 冷蔵庫を開けてみると、中には昨日の残り物や、野菜、ソーセージなど、沢山ではないがある程度のものを作れるほどには入っていた。


 何か手の込んだものを作ろうとも思ったが、6時過ぎにはママが起きてきてしまうので、簡単なものを作ることにした。


 よく学校では「器用そう」とか「料理とか絶対上手い!」とか言われるが、実際はその逆だった。

 本当は、不器用なのだ。片付けなどの基本的家事はできるものの、掃除をすれば何かを壊してしまう、包丁を使えば必ず指を切るし、卵を持てば必ず1個は落とす。卵を割ろうするとほぼ100%の確率で殻が入るし、小麦粉を量ろうとすれば辺り一面真っ白になってしまう。


 出来上がる料理が不味いわけではない。ただ不器用という点で料理は苦手だった。


 まずは食材を切ろうと思い、まな板に、ほうれん草と、ソーセージを置いた。

「痛っ」

 案の定指を切った。やっちゃったと思いながらも危なげな手つきで切りすすめた。切り終わる頃には指は

 絆創膏だらけになっていた。


 次にお味噌汁を作ろうと準備をした。うちのお味噌汁は少し拘っていて、パパがお出汁をしっかりと摂ったお味噌汁が好きだったから、必ず冷蔵庫の中には作り置きのお出汁が入っている。それを使い、パパっとお味噌汁を作った。


 そして、私は卵を持った。もう不安でしかない。とりあえずフライパンに直接ではなく、ボウルに割入れた。不器用ながらの工夫だ。

 "グシャ"

「あっ。」

 取りにくい小さい殻が無数にはいってしまった。菜箸で取ろうとするも、不器用な私には簡単に取ることはできない。数分の格闘のすえ、結局指で殻を取った。

 殻との戦争を終えた私は、また卵を手に取った。

「あっ、」

 "グシャ"

 またも憎たらしいあいつが発動した。今度は卵を床に落としたのだ。


 ため息をついてからキッチンペーパーで卵を拭き取り、今度は慎重に卵を持ちボウルに割入れた。

「あっ、もう!」

 また殻との戦争が勃発した。

 二度目の戦争は最終兵器'指'を早めに投入したことにより時間はかからずに終戦した。


 小さめのフライパンを2個取り出すと、油を引き火にかけた。ひとつには卵を、もうひとつにはソーセージを入れた。

 火が通ったので3等分にしてお皿に盛り付けた。

 完成した目玉焼き、、、と言うよりも、「卵黄殺人事件」という方が良いくらいの出来栄えだった。


「ま、まぁ私としては上出来でしょ!」


 ご飯をよそい、料理をダイニングへ運んだ。


「いけない、パパのも持っていかなきゃ」


 料理を持ち、仏間へと向かった。

 仏壇の前に座り、料理を供えると目をつぶり、手を合わせた。


「パパ、おはよう。今日の朝ごはんは全部私が作ったんだ。美味しそう、、、では無いかもしれないけど、味ならママにだって負けないんだから!美味しいって思ってくれたら嬉しいな。」


 そう言って目を開け、立ち上がった。

 そして、襖の手前で、もう一度仏壇へ振り返り、笑いながら


「パパ、私がんばるね」


 と言ってから和室を出ていった。ダイニングに戻るとちょうどママが起きてきた。


「サッちゃんおはよう。なんかいい匂いがするなって思ったら、これ全部サッちゃんが作ったの?」

「おはようママ。うん。作ってみたの。」

「うわぁ美味しそう!ありがとねサッちゃん。」

「出来栄えはママには勝てないけど、味なら負けないんだから!さ、食べて食べて!」

「ありがとうサッちゃん、ママもういつ死んでもいい!」

「もう、変なこと言わないの!はい、いただきます!」

「いただきまーす。ん!美味しい!見た目とは正反対のお味ね!抜群に美味しいわ!」

「ママ、それ褒めてるのかわかんないよ。」

「あはは、大丈夫、ちゃんと美味しいわよ!」

「ちゃんとって何よ。もう。」


 ダイニングはとても幸せな空気で包まれていた。昨日の話には、ママは一切触れなかった。

 他愛のない話をし、朝のニュースを見る、いつも通りの朝を送っていた。

 今日のニュースのゲストがママの推しメンだったらしく、推しメンが如何にカッコイイかをママが熱く語っていた。そろそろその話にも飽きてきた頃、あるニュースに目が止まった。


『昨夜未明、神奈川県浦山市の公園で、火炎放射器を持っていた男を警察官が射殺しました。昨夜深夜2時頃、「神奈川県浦山市の公園近くで何かを叫びながら歩いている」との通報があり、駆けつけた警察官が職務質問を行おうとした際、男は棒状の火炎放射器を警察官に向け放射。その場にいたもう1人の警察官が危険を感じ、その場で発砲、その後犯人は死亡が確認されました。また、火炎放射器の放射を受けた警察官は幸い、軽い火傷ですんだそうです。捜査関係者に話を聞いたところ、犯人は「勇者」という単語を何度も叫んでいたとのことです。また、、、』


「え、なにこれ、学校の近くじゃん。」

「怖いわね。サッちゃん今日ママが学校まで送っていってあげようか?」

「ううん、大丈夫。今日はケンちゃんと一緒に行く約束してるから。」

「そう?まぁ堅守君なら安心ね。さ、もう7時よ。準備しなきゃ!」

「あ、ほんとだ!やばいやばい間に合わない。ご馳走様!」

「食器そこに置いといて。後で洗っとくから」

「わかった!」


 いそいそと洗面台に行き歯磨きをし、制服に着替え、姿見で容姿を整え、速攻で学校へ行く準備をした。


 そして、階段を踏み外しそうになりながら駆け下り、玄関に向かった。


「よし。行くか。」

 ローファーを履いてドアノブに手をかけた。

『ガチャ』

「いってきまーす。」

 元気よく言うと

「はーい、いってらっしゃーい!」

 と元気なママの声が帰ってきた。


 家を出ようとしたところで、そういえばママに言っていないと思った。ママにここで言わなきゃもう一生言えない、そんな気もした。

 幸は振り返り大きな声で言った。


「ママ?」

 するとママがひょこっと顔を出し

「どうしたの?」

 と不思議そうな顔をした。


 少し間を開けて、

「ママ!ありがとう!!!」

 満面の笑みでママにそういった。


「うふふ、何よもう。照れくさいじゃない。早く行かなきゃ遅れちゃうわよ!」

「えへへ、いってきまーす。」

「はーい、いってらしゃーい」


 そう言いドアを閉めた。

えーと、皆さんお久しぶりです。とりあえず投稿が遅くなり申し訳ないです。

もうあの頃の自分を殴りたいです。本当は11話までネームはできてたんです。でも何故か、何故か紙にそれを書き、挙句の果てにその紙を無くすという大失態を犯しました。モチベは最低。書くのを躊躇ってました。

許してちょ!笑笑

次話も頑張りますので、☆の評価や、ブックマークの追加をよろしくお願い致します。また、これからの和人くんを応援してくださると嬉しいです。

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