表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/22

第六章 太陽は昇る 第一節  捕虜

小夜子が狙撃されて重体となるが、辛うじて命が助かる。

怒り燃える健はヤクザと共同作戦で犯人を追い詰める。

 橋本「ここはまずい。車で早く離れよう。この二人を後ろのトランクに入れよう奴等に気づかれないうちに早く引き上げようぜ」

 橋本と松本が得意のトランク入れだ。二人を縛り付けて無理やり押し込んだ。

 安田はついあの時の事を思い出した。自分がトランクに入れられてオマケに暫く忘れられてトランクに置き去りされた思いがある。危うく死ぬかと思った。

 この間までの雇い主を自分が入れる事になるとは縁がなものだと改めて思った。

 世の中一寸先が分からないものと、つくづく感じた安田だった。

 浜口らをトランクに乗せて健、橋本が後部座席に安田が運転して波止場を離れた。

 橋本はトランシバーの様な大きな携帯電話を松本にダイヤルして電話を繋いだ。

 まだ松本は彼等の事務所に居るのだろうか?

 「松ちゃんこっちは片づいたぜ。いま何をしている?」

 「おーそうか巧くやったか? 事務所の通りの道路まで来てくれ」


 その事務所には誰も居ないのだろうか、事務所と云っても電話が置いてある程度だったが松本はそれがカモフラージュしてある事に気づいて。あの橋本が縛られて居た場所の地下室があった。

 その地下室に隠された金庫を松本は大胆にも、どういう手を使ったのか金庫をこじ開けて、何か書類のような物を持ち出したようだ。

 暫らく走ると松本が車に気がついたのか路上で手を振っている。

 やがて松本を載せて車は、今三人がアジトにしている安いホテルに車を付けた。

 深夜だから人目に付く事はない。駐車場からだとフロントも通らなくていい。

 管理システムがずさんだった。なんなく浜口らを部屋に連れ込む事が出来た。


 二人は後ろ手を縛られ猿口輪に目隠しと、おまけに麻袋の中だ。新日本同盟の用心棒も、こうなれば何も出来ない敵の捕虜となった。

 松本はニヤリと笑って言った。

 「堀内くん。浜口に聞きたい事があるだろうが、そう簡単には行かないぜ」

 「それは分かっているけど、何か良い方法でもあるの?」

 「俺たちはヤクザだぜ! 方法はいくらでもあるさ、なあ安田」

 いきなり名指しされ安田はドキリとした。

 最初ここに連れ込まれた時に散々いたぶられた事を思い出していた。

 つまりこれから松本達によって拷問が始まる訳だ。

 確かに警察と違ってヤクザには法律は関係ない。徹底的に吐くまで痛めつける。

 法律は松本達に云わせれば、破る為にあると心得ているから恐ろしい。


 もし健が浜口の口を割らせるには、どんな手を使っても無駄だろう。

 やはり暴力に頼るしかないのだろうか、だからと云って死なし訳にも行かないが。

 ここはその道のプロに任せるのが妥当だろうと健は思った。想像もつかない事が始まる。

 「分かった。松本さんに頼むよ。でもその後に浜口はどうするのですか?」

 「堀内くんはどうしたいのだ。袋叩きにでもするか」

 「いやそれは、さっき散々、蹴り飛ばしたから・・・。

 他に俺が聞きたいのは沖田勝男の行方だけです」


 「よし引き受けた。今日はあんたの手柄だよ。ゆっくり休んでくれ。後は任せろよ」

 橋本と安田も松本の言葉に大きく頷いた。健が一人で戦ったのだから。

 「気持ちは嬉しいけど、新日本同盟の連中は必死に探しているのじゃないの」

 橋本「その事だけど、浜口の口を割らせたら俺たちはサッサッと日本に帰るぜ」

 松本「もう新日本同盟の麻薬密輸の証拠書類は持っているし、奴等は浜口を探すよりも逃げる方が先かも知れんなぁ」 


 健はある事を思い出した。あのハイジャック事件の時に出会った。シンガポール警察の人に事情を話せば聞いてくれるも知れない。少なくとも自分の事を覚えて居るはずである。

 「松本さん。いい考えがあるよ。俺がその書類と浜口等を警察に引渡しよ。ちょっとした知り合いが警察に居るんでね」

「そうか、警察に知り合いが居るのか。その方が安心だな。俺が警察に密売組織の証拠書類を持って行っても身元を聞かれたら困るからな。ヤクザじゃこっちがヤバイよ」

「ハッハ。その可能性はあるかも、じゃあ警察に俺が持って行ってもいいですか」

 健がその書類を預かって警察に持って行く事にした。勿論、浜口に白状させてから警察に引き渡して、松本達には罪が及ばない条件を持ち賭けてみる事にした。


 罪と云ったら拉致したり拷問を加えたりした事くらいだが? それなら健はどうなるのか? 勿論ハイジャック事件の功労者だ。何のお咎めもある筈がない?

 日本の警察ならそんな事は許される訳はないが外国の警察はその点は合法的な処がある。

 健は書類を持って帰る事にした。その前に浜口達の口を割らせると松本は言った。

 後の事は松本達に任せて小夜子の病院に行こうと思ったが少しためらった。

 このまま行ったら、きっと自分の様子に気づき何かあったと小夜子は思うかも知れない。


 小夜子はその辺が鋭いから合気道とは人の動作、心理を読む事に長けているからだ。

 結局そのまま寮に帰った。翌日の夕方、健に松本から電話が入った。

 浜口が白状したらしい。どんな手を使ったのだろうと考えると恐ろしい程の拷問でもしたのだろうか? 

 その事は聞かない事にした。決して気分の良いものではないから。

 その浜口が言った言葉から分かった事は、あの沖田が日本に戻っている事が分かった。

 それが判ればあとは警察に引き渡してもいい。

 浜口の罪状はきっと日本の警察に問い合わせて、それ相応の判決が下るだろう。



要山和尚夫妻の犯人を一人を取り押さえ、ヤクザの松本達が拷問を加え、最後の犯人の行き先を吐かせて警察引き渡す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ