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005 島に来た理由

海晴神社の巫女とはいえ、見渡す限りの絶海の孤島『限外島』で仕事をしなければならないのか? 


『穢れた地を祓い清める』 

 それが自分が限外島にいる理由。島での生活する根底を成す事、とっても大事なこと。

 その行為に認識の違いがあってはならない、ある日ふと思いついた。故に、理由を分かってはいるのだけれど、改めて島に来たその理由を魔女フェレリアス様に尋ねてみてみることにした。フェレリアス様は、それはそれは楽しそうに自慢げにこう話した。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『晴海は分かると思うけど、わたし、正直あの化け物苦手なのよねぇ……』


 彼女の性格を理解しているつもりではったが。フェレ、魔女である彼女の口から直接聞くと驚くというか、不安になるから聞くのではなかった……。

 まぁ仕方ない、それは今は置いておくとして――


『とにかぁーくあの化け物て彼等自身はもちろん、まわりの人間、空間に建物、魔力に感情、ぜーんぶ、ぐちゃぐちゃにして、あの体から溢れてる黒い靄で穢すのね』

『そうして穢れたモノは、さらに周囲に伝播するように広がって、それはもぉーう、大変な事になるのだけど。魔女の魔法の力って、実はそういうのに対処するのは苦手なのよ……ね残念なことに』

『魔女自身、ある意味、似たような存在なのよねぇ……」


 返答の最後、フェレは小さく篭もるような声で意味深な事を言った気がするが、聞かなかったことにした。確かに何となく、魔女が人間とは根本的なところで相容れない存在であるのは、感覚的に分かる気がするから。


 それはそれこれはこれ。とにかく重要な事はあの『黒い化け物』が暴れ場所は『黒い霧』に覆われ『穢れた場所』となり、人知を超えた魔力すら無力化するという。それは、魔力で形成されたこの島では致命的で、島と結界そのものを溶かすように侵し風穴を開けるという。

 その表現が正しいのかはともかく、この島に置いて放って置けない由々しき問題なのだ。


『ほんとーーぉーに、危険なのよ、海晴』

 最後にフェレはふざけながら、頭上に人差し指を二本角の様に立てて見せながら言った。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 ここから話は現代に遡る。

 神社の巫女である俺や代々守り継いできた先代巫女は、時間をかけ魔女から授かり、魔女が苦手な穢れた場所を浄化する力へと特化分化させた。その力を持って化け物より国を守るため作られたこの島を守る、という何ともややこしいが大事な役割を果たすために、この島へと海を渡ってきたのだ。


 まぁ、あのフェレを見ていると、何となく清く正しい心と肉体で、穢れた大地を浄化するのは無理そうなのは、見れば分かると思う。よく一人で千年を越える長い間、あの黒き化け物と戦い続けたと……。が、そうは言っても伝承で語り継がれるほど、魔女は強い存在なのである伝承通りならば。よほどの事が起こらない限り、大した巫女の出番も無いだろうと思いこの島にきているのだが。


 ともかく、そう言うことで目の前に広がる、黒く煤けた穢れた大地を浄化するために、仕事に取り掛かるのだ。



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