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028 希望

本土から引き寄せられるように島へ渡るほんの一時、突如として海面と空を埋め尽くす海上の霧。そうだあの時に何処からともなく聞こえた声を今思い出すゲフトの声であったと。この島のこと、魔女フェレリアスのこと、アオイのこと、もちろん声の主ゲフトのことも。今思い出す、 どうして全てを忘れていたのかを……この島に関わる者(自分)が困らぬように、でも知ることの恐ろしさを理解したゲフトはその時が来るまで思い出さないようにと。


『師匠はあの人は自分より弱い者、全てを愛していた変わり者だったの』フェレリアス様が言った言葉。


ゲフトの言った通りさっきまでの出来事が嘘のように島は静まりかえり、血肉に高ぶった穢れの気配そのものが消え失せ二人はその場に息を切らしてへたり込んでいた。まるで子供が走り疲れ静かになるごとく、今までに見たこともない額に首に全身に汗をかく二人の姿。


『親の心子知らず』本当の親子ではない師弟関係の二人も素直になれない不器用な関係性、それでもお互いソレを分かって相手が望む姿を演じた。


継承者を決められない師匠と継承者になりたくなかった弟子。理解すべき時だ来たとき、霧の中で聞いた声を思い出すそれが『今』


「二人は魔女が継承によって命を継ぐ事を知っていた、だからこそ継承を拒み永久に師匠と過ごす事を選んだ。ただ二人の選んだ方法が違って、それでも師匠の願いを叶えたかったって」

「でもそれすら師匠は分かった上で何年も何百年もの間二人をそっと見守り続けた」


 師匠ゲフトは考えた、その結果がオイの起源でもある黒き化け物であった。


魔女の好敵手である存在は師匠の力を継承せずに立派な一人前の魔女であるという証明に、魔女でも人でもないアオイの力への渇望と自信が何者かを知るために、例えば化け物であっても守り結果として島の外の全ての弱い全ての者を守り愛する師匠の教えを。3人の心をつなぎ止める楔として利用したのだ。これからも新たに黒き化け物が生まれるたびこの島へと落とされ、3人の思惑をかなえる、永久に続く3人の願いをのせた存在の為に。


黒き化け物も同じこの島に降りた時、秘められたゲフトの最強たる魔法により全てを悟るこの島の意味を。世界最強の魔女の魔法がかかったこの島、化け物達に安息の地を与える代わりにアオイと戦う……化け物達の統制の名の下に間引きのための戦い(遊び)を運命づけた。破壊衝動という闘争を欲望する黒き化け物にとっても願いは叶う、全ては魔女ゲフトのもくろみ通りこの島にある全ての者達に祝福と慈愛を行き渡らせるために。


それでもいつか来きて欲しい師弟関係の終わりを願う。島の外に目を向け巣立ち子孫を作れぬ魔女という存在が、出会い弟子を作る事で繋いでいくきっかけ与えてくれた数々の人間達の事を思い。その日が来るまで一人でもいい見守あ……支え愛おしむ存在を与えたかった、それこそが本来の巫女の役目だった。


 長い間待ち続け見守り続けた、それが今ここに次へ進む希望が見えたと。力を振り絞り秘めていた真実を解き放ち、歩み出す魔女と少女の成長を楽しみにいつかまた目覚める時がくるまで眠りにつくために。

  

 最愛の弟子達と心を与えた人間、そして生み出される悪意の黒き化け物でさえも全てを愛そうとする理想の為に……。この『限界島』というシステムを作り上げた。

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