表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/197

12 雷撃と白狼

 「お前は!」


 この前の魔獣……だよな。


 茜眼の白狼は俺を見つめている。その表情は鋭いものの、今までの魔獣とは何か違う気がした。


 一瞬の静寂が過ぎ去り、俺と白狼の周りには100近くのグールアントで埋め尽くされる。


 グールアントが鳴らす、カチカチという音が重なり合って妙な威圧感を感じる。


 くそっ……どんだけいるんだよ。


 俺は隣にいる白狼を横目で見る。


 白狼はグールアントを見渡しながら、何かを探しているように見える。


「ガウッ!」


 まるで俺に何かを訴えるているように、白狼が一方を向いて吠える。


 俺は白狼の吠えた方向をよく見ると、そこには微かにだがグールアントたちとは違う魔力を感じる。


 もしかして、グールアントクイーンか?


「お前……」


 この茜眼の白狼はあの数のグールアントの中から、グールアントクイーンの魔力だけを見分けたって言うのか。


「ガァァウ!」


 白狼が戦うぞと、言っているように感じる。俺は白狼の能力と行動に少し戸惑うが、今は敵を倒すことを優先する。


「目標はグールアントクイーンだ」


「ガウッ!!」


 白狼の返事を合図に俺たちは走り出す。


 よく見ればグールアントクイーンへの道を阻むように、異様にグールアントの数が多い。


「雷撃よ唸れ!」


 魔法陣から放たれた雷撃は大蛇のように次々と、道を阻むグールアントたちに襲いかかる。


「ガァウッ!」


 白狼のひと吠えで複数の魔法陣が展開される。展開された魔法陣からは俺と同じように雷撃が放たれ、次々とグールアントを殲滅していく。


 え、強くない? この白狼、俺のオリジナル魔法を直ぐにマネしちゃったよ?


 俺は困惑しつつも、負けじと雷撃を放っていく。


 気がつくと、グールアントはその数を数えられるまでに減らしている。少し先にはグールアントより少し大きい個体が、俺たちを待ち構えていた。


「グールアントクイーンだ! 俺が動きを止めるから、お前は魔法を放てるようにしといてくれ!」


「ガウッ!!」


 俺の指示に白狼が頷く。俺はそれを確認すると、すぐさまグールアントクイーンへと対峙する。


 グールアントクイーンは一歩も動かず俺を待ち構えている。その不動の佇まいから、女王としての品格を感じさせられる。


『キュキィィィイ!!』


「悪いが俺は負けない!!」


 俺は魔法をイメージしていく。


「土よ、掴め!」


 俺の言葉に従い、地面はグールアントクイーンの脚を掴む。グールアントクイーンは脚を抜き出そうとするが、更に土がまとわりついて逃げることは出来ない。


「自然よ、縛りつけろ!」


 次に使ったのは自然魔法だ。地面に現れた魔法陣から太い木の根のようなものが、グールアントクイーンを縛りつける。


 グールアントクイーンの動きを封じた。


「今だ!」


 俺が叫ぶと、それに応えるように白狼は特大の魔法陣を3つグールアントクイーンの周りに展開させる。


 あれは上級レベルの魔法陣だ。それを3つも同時に、それもあの大きさで……とんでもないやつだ。


「ガァウゥゥゥ!!」


 白狼の遠吠えが響き渡ると、魔法陣から先ほどとは比べ物にならない雷撃が放たれる。三方向から放たれた雷撃がグールアントクイーンを襲う。


『キュキィィイ!!!』


 グールアントクイーンはその身を黒くして力尽きた。


 今回はあの白狼に助けられたな。


「ガウッ!」


 白狼が俺のもとまで来る。


「なんだ?」


 白狼が俺の手をペロッとひと舐めしてから、カプッと噛んだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ