8 ダブルティラノ
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恐竜って竜なんですかね?
本当にいたのか、ちょっと信じられないです。
でも、ロマンも感じる……。
あ、今回は恐竜みたいな魔獣です。
楽しんで頂けたら幸いです!
「強化! 雷!」
俺は魔獣たちとの距離を取りながら、強化魔法と雷魔法で全身に強化を施す。
移動速度が飛躍的に上がる。この速さに追いつける魔獣は早々いない……と思っていたが、この森ではそんなことはなかった。
これで同レベルだ。
それも、このレベルの魔獣が数え切れないほどいる。
もう、嫌になってくる。
現実逃避気味の思考を無理やり切り替え、魔獣たちに魔法を撃ち込んでいく。
「火よ……風よ……光よ……はぁ、はぁ、はぁ」
俺が放つ魔法は的確に魔獣たちの腕、足、頭を捉える。
どんな状況でも魔法を正確に当てる修行をしておいてよかった。
ここ数日は常に走っている気がする。
フルマラソン何回分だ?
そんなどうでもいいことを考えていないと、ちょっと精神を保てない。
あれ? 俺、結構やばい状況に立たされてない?
本来は成龍の儀を受けるはずだったが、何故こうなったのか……。
母さん、セレーナへ
僕は今、見知らぬ森でサバイバルをしています。
どうしてこうなってしまったのでしょうか?
お家に帰りたいです。
追伸、蛇肉は美味しいです。
***
「だはぁー……何とかやり過ごせたか」
うん、少し休憩をしよう。
俺は近くの木に背を預け、体勢を楽にする。
ここまで来てわかったことがある。
この森は奥へ進めば進むほど、魔獣が強くなっていくということ。更に戻ろうとすると道が変わっていて、戻りたくても戻れない。
普通の人は多分気がつかないだろうが、森で過ごしてきた俺は木々の違いがわかる。
この森、木が移動している。
俺が見ていない間に。
どうやって移動したのかは分からないけど、配置が変わっているのは確かだ。
「あり得ないだろうけど……俺をどこかへ誘導している?」
そんなことも考えてしまう。
『グゥラァー!!』
今度は何だよ! また魔獣……。
右の方から聞こえる魔獣の咆哮。どうやら此方に向かっているようだ。
はぁ……やるしかない。
俺は立ち上がり、戦闘態勢になる。
「強化……雷……」
強化魔法による全身強化。全身に力が漲るそんな感じだ。
次は雷魔法。全身に走る雷は少しピリピリとするが、全く問題ない。
俺は自身に定石となった強化を施し、次にどの魔法で対抗するかを考える。
やっぱりここは火魔法? いや、他の魔法も鍛えていかないとな……よし。
俺は魔法のイメージを鮮明にしていく。
「グゥラァー!!」
「でたな」
最上級下位『ダブルティラノ』だ。
2つの頭を持った、見た目ティラノサウルスのような魔獣だ。大きさは一般的な家には収まらないくらい大きい。
右の頭がガツガツと顎を開け閉めしている。左の頭は静かに俺を見ている。
俺は作り上げたイメージを再現するように、魔法を使う。
「鉱石よ!」
ダブルティラノの頭上(右より)に魔法陣が現れる。突き出した右手を振り下ろす。
それに合わせて先の尖った、隕石のような岩が魔法陣からその姿を徐々に見せる。
魔法陣から完全にその姿を現したその瞬間、吊るしていた糸が切れたように岩が落下する。
右の頭は気がついていないが、左の頭がすぐさま反応して吼える。右の頭もその声で気がつき、体を動かす。
岩はダブルティラノにあと少しのところで当たらず、地面に突き刺さる。
左が司令しているみたいだ。でも、左だけでは行動が出来ないと……なら。