表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/197

5 影蛇の女王

 アクセス、ブックマークして頂きありがとうございます!!


 今回はプロローグの続きの話になります。

 ユーリ自身に自覚は無いですが、はっきり言ってユーリは最上級レベルの強さです。

 この作品は最強系ですので、ご了承下さい……


 楽しんで頂けたら幸いです!

 俺は闇に目を向ける。


 急速に巡る酸素は脳をクリアにする。


 まずは敵を知ることから。わかっていることは、やつは闇に紛れる能力があるということ。そして、移動速度は特段に速くはない。


 速さなら上回ることができる。


 魔力感知で敵を探る。


 やつは近づいてきている。感じからして、俺がスタミナ切れをしたとでも思っているのだろう。


 なら、その隙をつく!


 現在、森の中に光はない。只々、黒が埋め尽くす。


「強化」


 俺は静寂に支配されたこの場で一人呟く。


 強化魔法が俺の全身を強化する。手に、足に、体を構成する筋肉に力が満ちる。


 だが、これだけではダメだ。


「雷よ」


 俺は雷魔法で雷を纏う。雷光が闇に亀裂を入れる。


 雷を纏うことで俺の反応速度、移動速度は極限まで高められる。デメリットは攻撃に使える魔法が一つに限定されてしまうこと。


 今行使している魔法は強化と雷。既に二つ発動中だ。俺が同時に行使できる魔法の数は最大で3つ。


 問題ない。


 俺は神経の先まで集中させるように、深く息を吐く。


 魔力感知を使わずとも敵がそこにいることがわかる。


 闇の中に一瞬、二つの光が現れる。やつが動いた。


 俺はギリギリまで待ち構える。今動けば意味がない。相手の隙を最大限に活かせるタイミングで動くんだ。


 闇から現れたのは巨頭の蛇だった。


 大きく口を開け、俺を丸呑みするつもりで近づいてくる。こいつが、敵の正体。


 大蛇の目と俺の目が合う。


 大蛇の目は狩人の、その目だった。


 しかし、対する俺の目は怯えきった獲物の目なんかではなく、諦めの文字が一つもない瞳。狩られる者ではなく、むしろ狩る者としての眼光が大蛇を射抜く。


 さすがの大蛇も、その目に戸惑いが感じられる。


 だが、大蛇は止まらない。現状、優勢なのは大蛇なのだから。自分が狩られる何て微塵も考えていないのだろう。


 大蛇の牙が迫る。太く、白く、そして鋭く尖った牙は突き立てた相手の命を確実に絶つだろう。


 大蛇が俺を捉え、口を閉じようとしたその時。


 俺は動く。


 雷の鎧はバチバチと音を立て、その雷光を強くする。


 俺は右へ消えた・・・ように避ける。


 大蛇は開いた口を完全に閉じるが、その中に俺はいない。大蛇は不審に思ったのか辺りを見る。


 刹那、俺は巨頭の左側に現れる。


「火よ!」


 俺は右拳に炎を纏い、電光石火の如くその巨頭を雷炎の拳で殴りつける。


『ファイアーライジング!』


 火魔法と雷魔法による二重魔法だ。右拳を炎と雷が渦巻き、インパクトの瞬間に雷炎が放たれる。威力は十二分。


「シャァーっ!?」


 大蛇の頭がその威力に押される。が、大蛇は勢いのまま闇の中へとその姿を消す。


 また、消えたか。


 今のでやっとわかった。あいつはクイーンシャドースネーク。別名「女王影蛇」。


 影蛇(シャドースネーク)の女王種。影蛇は潜伏と感知に優れた中級魔獣だ。影蛇が一度影へと潜伏してしまえば、中々見つけ出すことはできないという。


 また、高い感知能力によって獲物を見つけ出すことができる。影蛇の潜伏と感知の組み合わせは手強い。


 そして、女王影蛇はその数段上を超える力をもつ。


 中級魔獣の上位種にして、上級ではなく最上級の位。その力は侮れない。


 何故、最上級と呼ばれるのか。それ程までに高い潜伏と感知能力があるということ。


 魔力が消えた? 逃げたのか? そんなことは無いはず。


「っ!?」


 背後に迫る殺気を感じ、俺は低くしゃがむ。


 頭上を黒い何かが通り過ぎる。俺の魔力感知では捉えきれない。


 何だ!? 女王影蛇の攻撃なのか?


 女王影蛇は魔力も遮断できるのかもしれない。これはかなり厄介だ。さっきまでは視覚を頼れない状況でも、魔力感知でどうにかなった。


 だが、今はその魔力さえも感じ取れない。


 いや、落ち着け。大丈夫だ。


 やつが攻撃するときに感じる微かな殺気を捉える。


「ふぅー……」


 母さんと修行をしていてよかった。女王影蛇の殺気は単純だ。


 きた。


「土よ!」


 右後ろから迫る殺気に対して俺は土魔法で壁を作る。


 ドガッ!


 女王影蛇の攻撃が壁にぶつかった瞬間に俺は後方へと軽く飛ぶ。


 やつが闇に紛れる前にもう一度ダメージを与える!


「求めるは火! 深紅の火よ、烈火となりて燃やし尽くせ!」


 これは以前、セレーナに魔法を教えていたときに使った魔法。あの時は制御が上手くできなかったが、今は完全に使いこなせている。はず……。


 壁のあった辺りに魔法陣が現れる。まだ炎は見えないというのに、ひしひしと感じる熱。


『クリムゾンフレア!!』


 魔法陣の中央に収束するエネルギー。次の瞬間、紅い炎が魔法陣から放たれる。特大の火柱が空高く伸びる。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ