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4 暗闇と恐怖

 アクセス、ブックマークして頂きありがとうございます!!


 今回は展開が変わってくる頃だと思います。

 2章の第一山場ですね。頑張ります!


 楽しんで頂けたら幸いです!

 俺は先の見えない、暗い森を進んでいる。強化魔法により、その速さは人並みを超えて風をきるように、木々の隙間を抜けていく。


 暗い中でも走れているのは、魔力の放出を利用した魔力感知を使っているからだ。


 この魔力感知は全身からオーラのように魔力を流し出すことで、その魔力に触れたものを感じ取ることができる。感じ取れるといっても、姿形や魔力の流れなど限られた情報だ。


 俺は走りながらも、心に引っかかる違和感を拭いきれないでいた。


 おかしい……こんなに走っているのに、魔獣がいない。いや、気配は感じる。何故、隠れて……


 その時だ。突然地鳴りが森全体に、俺の全身に響く。


「なんだ!?」


 未知の存在が今そこにいることが、魔力感知から嫌にもわかる。その禍々しい魔力に、冷や汗が顔を伝う。


 目の前の闇に突如現れる二つの光。


 俺の思考は急速に稼働を始める。


 わかる。こいつはヤバイやつだ。逃げるんだ。でもどうやって? 上は無理、後ろも追いつかれる。右も左も同じ。


 なら、下だ!


「土よ! 鉱石よ!」


 俺の足下に現れた二重の魔法陣。それは回転し、まるでドリルのように地面を掘り進めていく。俺は迷わず飛び込む。


『サンダーフォルム!』


 雷魔法<中級>『サンダーフォルム』は母さんに教えてもらった大切な魔法だ。雷を纏い、迅雷の如く動けるようになる。今では母さんに引けを取らないほどになった。


 全身に走る(いかずち)がバチバチと音を立て、俺に速さ(チカラ)をくれる。


 俺は3つの魔法を同時に行使している。はっきり言ってパンクしそうだ。


 そもそも2つの魔法を同時に使うことは、2つのことを同時にすることに等しい。例えば右で三角を描いて、 左で四角を描くようなものだ。


 確かに出来なくもないが、それが右で三角を描いて、左で四角を描いて、足で円を描くとなったらどうだろう? 難易度がぐっと跳ね上がる。


 今の状況はそんな感じだ。だが、つべこべ言ってる場合じゃない。


 逃げなきゃ()られる。


 森で狩りをしてきたからこそ分かる。無闇に飛び出すことがいいことじゃない。力の差を理解し、その上で自分が勝てる策を組み立てる。


 今は戦わず、離れてから策を考える。それがベストだ。


 俺は地中を掘り進めながら、高速で移動する。予想では敵の真下を通過した頃のはずだ。まだまだ安心はできない。


 敵はあの「狂暴竜」と同等、もしくはそれ以上だった。


 俺が狂暴竜を倒せたのは限界を超えて、一度に使える魔力量が一時的に増えたからだと考えた。だけど、この限界を超える「覚醒状態(バーストモード)」は頻繁に使えない。


 あくまで推測だが、この力は魂の門を無理やりこじ開けて、強制的に使える魔力量を増やしていると考えられる。


 もし、多用すれば門を閉じることができなくなり、魔力が全放出して最悪の場合は“死ぬ”。


 はぁ……怖いのは俺が無意識に使っちゃうこと何だよね。セレーナのことになると周りも自分も見えなくなる。


 っと、そんな場合じゃなかった。


 俺はやっと地上に到達する。何とか敵の後方に出ることが出来たらしい。


「今のうちに距離を取ろう……強化」


 魔力を血液のように全身に流し、強化魔法により全身を強化する。俺は敵がいた方向を軽く見やるが、そこにあるのは暗闇だけだった。


 しかし、確かに感じる魔力は移動することなく健在だ。


 俺が前を向き、一歩を踏み出そうとした瞬間に背中を冷たい風が撫でる。凍りそうな体を強引に動かす。


 止まってはいけない。


 ただ、それだけを考えて走る。


 だが、踏み出す足は鉛のように重く感じる。背中にのし掛かっているものなど、なにもないはずなのに俺は重圧に押し潰されそうになる。


 嫌だ! 俺は止まらない!


 俺は根性だけで走る足を止めない。


 きっと止まれば終わり。それがわかっているからだ。


 俺の心を掴み離さないこの気持ちは――恐怖。






 俺は暗闇に潜む存在に恐怖していた。






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