表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/197

47 暴竜

 アクセス、ブックマークして頂きありがとうございます!!


 魔法戦闘は書いてて楽しいと感じます。あと、イチャイチャもです!

 作者の好み全開のこの作品ですが、どうかお付き合い下さい!!


 では、47話をどうぞ!

 





「サンダァーフォルムっ!!」


 俺の全身に(いかずち)が走る。雷を(まと)うことで、俺は高速移動を可能にする。だが、まだ足りない。これ以上の速さは、俺の身体(からだ)に負担がかかるが、今はそんなことを言っていられない!


「強化っ」


 全身に激痛が走る。身体が限界だと訴えてくるが無視だ。俺は左足に重心をかけ、右足を思っいきり踏み込む。――電光石火。稲妻が閃くように、火花が散るように(いかずち)は俺の想いと共に強さを増す。


 恐怖のあまり、固まっている子供に向かって右手を伸ばし飛び出す。


 ――ま、に、あ、えぇーー!!


 俺は子供に手が届いた瞬間、子供を抱き込み背中で衝撃を抑えながら地面を擦る。子供が先程までいた所には、マンホールより少し大きいくらいのクレーターができていた。


 クレーターを作った犯人と目が合う。宙で佇むそいつは、獲物が増えたとでも思っているのか、嬉しそうに見えなくもない。


 やっぱり、竜の仕業か。あれは……確か、暴竜だったか?


 ――『グラトニードラゴン』。通称『暴竜』はその気性の荒さと、手当たり次第に獲物(にく)に喰らいつく暴食さから、全ての種族から疎まれている存在だ。


 さらに、暴竜は群れを成して行動する。一匹のみならば上級ほどの力だが、数体から十数体で群れを形成するため、それがまた厄介この上ない。


 だが、今いるのは一匹のみだ。


 何で……まさか!?


 俺の思索は、先の暴竜の邪魔によって一時中断される。俺は子供の前に、庇うように立つ。


「安心して。俺が――守るから」


 それは決意にも近い、心の中にあって動かすことのできないもの。俺の原動力と言っても差異はない。


「うん。お兄さん、ありがとう」


 落ち着いて見ると、あどけない女の子だと気がつく。その顔はやけに赤く、少し心配になる。今は、ひとまず暴竜を何とかするべきだと考え、頭を軽く撫でて後ろに下がっているように伝える。


「お前を生かしておけば、多くの人が泣くことになる。それは許されない。悪いが――お前は俺が倒す!」


「ギャオォォっ!!」


 暴竜が俺の言葉に反応するように咆哮する。しかし、そんなものでは俺は怯まない。それを超えるほどの試練を俺は乗り越えてきた。俺は暴竜を睨む。ただの、睨みではない。全力の殺気を込めた睨みだ。


 暴竜は反射的に警戒し、後ろに下がる。


「お前は三手で仕留める……」 『アイスチェーン』


 俺がそう呟くと、暴竜を囲むように魔法陣が展開されていく。暴竜が抜け出そうとした瞬間、展開された魔法陣から氷の鎖が暴竜に巻きつく。氷の鎖によって縛られた暴竜は、宙で暴れまわるが氷の鎖はビクともしない。


「ギャッ! ギャッ!」


『サンダーランス』


 身動きの取れない暴竜に、俺は特大の雷槍を繰り出す。絶対不可避の攻撃は暴竜の腹部を貫く。


「ギャァァァーーッ!!」


 俺は氷の鎖を解く。暴竜は飛ぶこともできず、そのまま地面に落下する。地面に倒れている暴竜は、さすが上級魔獣と言うべきか辛うじて息がある。だからと言って、容赦はしない。


「最後だ」


 俺は集中する。使うのは土魔法<上級>だ。


「求めるは土。荒ぶる大地よ、その牙を突き立てろ」

『ウィルダネスファング』


 暴竜の下に展開された魔法陣から、創り出される土の柱が暴竜を貫いていく。それは詠唱の通り、大地の牙を思わせる。暴竜が鳴くことは、もうない。


 俺は後ろを向き、女の子の様子を確認する。木の陰からひょこっと顔が見える。目と目が合ったので、安心させる意味も込めて俺はニコッとする。すると、何故か女の子はまた木の陰に隠れてしまう。


 あれ? 俺、怖くないと思うんだけどなぁ……。それはいいとして、とりあえず安全なところまで連れてってあげよう。


『ゴォーン、ゴォーン』


 この鐘の音は、中央広場に集合という意味をもつ。集落に住む全ての人を集めるらしい。やはり、暴竜の群れが集落に襲ってきたのかもしれない。俺は中央広場に向かうことにする。


「お兄さん……」


「うん、行こう。大丈夫、心配しないで。なんたって俺の母さん……武龍団の人たちがいるからね」


「うんっ! お兄さんもいるもんね!」


 ははは、俺は武龍団員じゃないんだけどなぁ……まぁいいか。






 次の更新は12月11日(日)予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ