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71 オニオン山道

……セーフ(投稿を忘れそうになったなんて絶対に言えない汗)

 翌日。太陽が出始めたのと同時に活動を開始する。


 俺たちはオニオン山道に入山した。


 昨夜は何事もなく――結界魔法はもちろん使っていた――兵士の皆さんも驚くほど休めて逆に不気味がっていたのが何だか罪悪感を感じてしまう。


 オニオン山道はタマネギを半分に切ったような大きく緩やかな山なのが特徴だ。ま、オニオンだしね……。


 険しい道はないが、入口から出口まで一日を要してしまうほど道が長い。また、いくつかの魔獣のナワバリがあり、中級のオーガーベアーのナワバリも存在するという。


 しかし、


(結界魔法を使ってるからな……)


 便利な便利な結界魔法さんで、魔獣避けが可能なのである。


 みなさんも結界魔法を覚えることをオススメするよ!


 閑話休題。


「ユーリ様、そろそろ頂ですね」


「疲れたか? 休みたくなったらしっかり言うんだぞ、リリー」


「ありがとうございます。でも、すごい歩いているはずなのに、僕まだまだ歩けます」


 そう言ってリリーは軽やかに歩く。


 こっそり治癒魔法で疲労を回復しているからね。


 弟子に甘い? ノンノン、可愛い弟子には甘えさせろっていうでしょ。


「セレーナは……元気だな」


「ユーリくん! 見て見て! あそこに小さい鳥がいるよ」


 セレーナは俺の腕を引いて、木の上で羽を休めている鳥を指差す。


 鳥はそんなに珍しくないと思うけど……。


 徒歩で長距離を移動することが今までなかったため、セレーナは何もかも新鮮に感じているのかもしれない。


 それに、さすが治癒龍の龍人。疲労回復が早すぎて、疲れがまったく見えないな。


 アカネは見るまでもないか。この程度では軽い運動にもはいらない。


「道が開けてきたな」


「高くて、広いね!」


「山頂ですね!」


「お腹空いた……」


 正午はすぎているが、日中に山頂まで辿り着いた。


 兵士たちも山頂に辿り着き、一息つく。


 これから短時間で昼食を済まし、明るいうちに出発する予定だ。


 オニオン山道はキャロット側の道よりも、リーキへ向かう道の方が距離があるため、のんびりしていると日没後の暗い道を歩くことになってしまう。


 そうならないためにも、多少疲れていても強引に進む必要がある。


 幸い登りは終わったので、あとは下るだけだ。


「それにしても……」


「ユーリくん、どうかしたの?」


「いや、大したことじゃないけど……さっきからハリー隊長の視線がね」


「視線? あ、ほんとだ。こっちを見てるね」


 セレーナが気がつきハリー隊長に手を振る。


 ハリー隊長は会釈だけすると、そのまま兵士のもとまで行ってしまった。


「どうしたんだろうね」


「俺、何かしたかな……」


 まさか、結界魔法を使っているのを言ってないことがバレた?


 それとも、リリーにだけ治癒魔法を使っていることに不満を感じているとか?


 うーん……わからん。まぁいいか。


 俺は一旦、ハリー隊長の視線の理由について考えるのをやめて昼食の準備に取りかかった。



 ***




(おかしい……)


 ハリー隊長は自分の目を疑った。


 その目線の先にはユーリたちがいる。


 進行は順調で、目標の時間に山頂にたどりついた。


 兵士たちも少し肩で息をするようなペースで進んでいたはずだった。


 だというのに、ユーリたちは誰一人疲れた様子はなく、むしろ元気が有り余っているよううにすら見える。


 4人の中で一番幼く見える金髪の少女・・でさえ、汗一つかかずに涼しげな表情を見せていると、ハリー隊長は滅多に見せない驚きの表情になっていた。


 魔法を使ったのでは、という推察はもちろんした。


 ユーリがエプレ王女に治癒魔法を使ったことがあることをハリー隊長は知っている。


 しかし、魔法を使った様子は一度たりともなかった。


 あの4人は本当に実力者なのかもしれないと、ハリー隊長は戦慄した。


 セレーナがハリー隊長に手を振る。


(あの笑顔はなんだ? あんな満面の笑みを見たことがない。余裕があることをあの表情で伝えているのか?)


 ハリー隊長は悩んだ末、無難に会釈を返した。


(不満があるようには見えない。ひとまず今は昼食を取り、少しでも兵を休ませる)


 団長や隊員から冷静沈着で頭がキレると、厚い信頼を置かれているハリー隊長だが、ユーリたちの規格外ぶりにはさすがの隊長も翻弄されるのであった。

読んで頂きありがとうございます!!


次回の更新は9月20日です。

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