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9 誕生日

  アクセス、ブックマークして頂きありがとうございます!! ユニークアクセス数が400を超えました。感激です! 少しでも次を読みたいと思って頂けるように頑張ります!

 転生からもう直ぐ一年が経とうとしている。


「ユーリ! 明日はお前の誕生日だな。何か食べたいものはあるか?」


 俺の正確な出生がわかっていないため、アーテルさんに拾われた日が誕生日となった。転生した日はその日なので、あながち間違いではない。


 うーん、何だろ? あ、チイゴの実は甘くて好きなんだよねー。


 チイゴの実は、イチゴのような味がする赤い果実だ。って、それもうイチゴですよね?


 俺は魔力を具現化して、チイゴの実の形を作り出す。最近は、魔力の具現化で意思疎通がある程度できるようになってきた。


「その形はチイゴの実だな! ユーリはチイゴの実が好きだからな。よし、わかった。明日はたくさん用意するから楽しみにしてるんだぞ」


「あーい!」 (やったー!)


 でもアーテルさん、たまに張り切り過ぎちゃうから程々にね。集落周辺のチイゴの実を獲り尽くすなんてことがないといいけど……。


 そう、俺は脱ミルクをしたんだ。長い戦いだった。初めは己との……そして、一番大変だったのはアーテルさんだ。


 ――「ユーリぃー、朝ご飯だぞー。ん? どうしたんだ? いらないって? な、何故なんだユーリ!? もしかして……わ、私のことが嫌いになってしまったのか? そ、そうなのか、ユーリ……」


「あ、あーうー」 (ち、違うよー)


「……違うのか? 本当か? うぅー、よかった。よかった……もし、嫌われでもしたら私は……なら何故なんだユーリ」


 俺は具現化を使って、一生懸命説明する。その場を見たものは目を疑ったことだろう。赤ん坊から具現化によって様々な形が生み出されていくのだから。


 そんな器用なことができる赤ん坊は俺、一人だけだろう。


「ふむふむ。……そうだな。そろそろだとは思っていたが、まさかユーリから言われてしまうとはな。でもなユーリ、ま、まだいいんだぞ。私はで、でるからな。飲みたくなったら言うんだぞ……」


 アーテルさん……。だ、ダメだ! 誘惑に負けては。俺は卒業すると決めたのだから。さよなら……愛しき白い泉――


 うん。何だろうこれ。穴があるなら入りたい……。はい、切り替え切り替え。


 脱ミルクをしてから、アーテルさんは何かと俺の世話を焼きたがる。


 木の実を潰したものを普段は食べているのだが、魔力の具現化を使えば自力で食べれるところをアーテルさん自ら食べさせてくれる。


 ありがたいんだけどね。あんまり、甘やかし過ぎるのも……。まぁいいかー。






 ***






「「「ユーリ(くん)! 誕生日おめでとう(なのじゃ)(ございます)!」」」


 今、俺たちの家にはアーテルさんはもちろん、長、ラルージュさん、そして娘のセレーナちゃんがきている。


 みんな、俺の一才の誕生日を祝いに来てくれた。


「あーい!」 (ありがとう!)


 うん……すごく嬉しい。誕生日を祝ってもらえる日が来るなんて、夢にも思ってなかった。アーテルさん、長のお爺ちゃん、ラルージュさん、セレーナちゃん、ありがとう。


 転生前は、誰も居なかったからね。ケーキ、プレゼントなんて御伽噺(おとぎばなし)とかそんなものだと思ってた。


 テーブルには沢山の料理が並ぶ。俺の目の前には、大好物のチイゴの実が山盛りになっている。


「うむ。ここは長である儂からユーリへ、祝いの言葉を贈りたいと思う」


 お、長……ありがたいんですが、短めにお願いします!


「なんじゃユーリ? ほっほっほっ。わかってるわい。そう長々と野暮なことはせんよ。儂からは一言じゃ――始まりの龍人、龍神アミナス様の御加護があらんことを」


 この言葉は、龍人族の中で最上の祝福を意味している。


 まぁ、実際に加護があるんだけどね。そんなことを言ったら、それこそ野暮ってものだ。


「うむ。では、森の恵みを頂くとしよう」


「あーい!!」 (はーい!!)


「ユーリ、そんなに腹が減っていたのか」


「ほっほっほ」 「うふふふふ」


 あはははー。はじゅかしっ! 思わず噛んでしまった……。






 もう1話、更新します。

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