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お祭り

ついに、収穫祭兼成人の日兼干拓の完成記念の祭りの日がやってきた。


街には石畳で出来た街道を挟むように屋台が食べ物や酒を片手に歓喜の声をあげ笑いあっている領民が溢れかえっていた。


中には狂喜乱舞している輩もいるが、周りもそれを見てゲラゲラ笑っているので無礼講としておこう。


屋台の中でも特産品の蒸留酒とジャガイモから作られるフライドポテトやじゃがバターは自分の小遣いをほとんど使い切って無料で提供した。


ジャガイモ料理は子供から大人まで喜ばせ、蒸留酒は祭りが始まって間も無いが既に大人の頰を赤く染め子供のようにしている。


「クリス様。今の所は成功の様ですね」


ユリスがあたりを見回しながら喧騒の中でもしっかり声が届くように俺の耳に手を当て言った。


「そうだね。ユリスのおかげだよ」


俺はユリスの耳に手を当て返し答えた。


実際、ユリスは普段の業務に加えて率先して祭りの準備に働き、領民への祭りの告知、屋台を呼び、

金銭のやり取りすらもテキパキこなしてしまった。


祭りの運営をするユリスは常に真剣な眼差しをしており、ただでさえ優秀なユリスが本気を出せばこの様になるのかとますます畏敬の念を抱いた。


「そうですね。間違いなく私の働きのお陰でしょう」


「この傲慢な性格が無ければなあ」


「何か言いましたか?」


ユリスは俺に近寄らずに耳を引っ張って聞いてきた。

痛い痛い!絶対聞こえてるだろう!


まぁでもこの傲慢な性格があるからユリスなのだろう。


やっぱり、この考えに至るのは調教されつつあるかもと思ったが気にしない事にした。


耳に口を寄せ合って他愛ない会話をしているとマクベスが人混みに揉まれながら手をあげ近づいてくるのが見えた。



「おーい!マクベスここだぁー!」


俺はマクベスに手を振った。

すると、マクベスはそれを目印に何とか人を躱しつつ俺の目の前に現れた。


「クリス様!ヤクトさんが到着されました」


どうやら、領主館にヤクトが到着した様だ。

マクベスがヤクトと呼んでいるのでヤクトはヤクトなんだろう。


俺とユリスは人混みを避け裏道を通ってすぐに領主館へと戻った。




☆☆☆


領主館の客間用の一室にノックをし、扉を開いて部屋に入ると焼けた小麦色の肌の男が椅子に深く座り足を組んでいた。


うん。間違いなくヤクトだな。


ヤクトは、俺に気づくと俺が口を開こうとする前に立ち上がってきた。


「やあ!クリス!」


「待たせて済みませんでした。ヤクトワルト殿」


「そんな硬くならなくてもいいよ!俺とお前の仲じゃないか!」


硬くならなくてもと言われてもなぁ……

ヤクトが未だにどんな人間かわからないしな。もういっその事を打ち明けるか。


「申し訳無いんだがヤクトワルト殿。私は貴方に関する記憶はカルアミルクを飲む前までしかないのだ」


俺が苦々しげにそう言うと、ヤクトは目を開き何処か納得したように頷いた。


「成る程。まぁ飲みつぶれていたからなぁ。よし、改めて自己紹介しよう!俺の名前はヤクトワルト!エリト国の王子だ」


「王子!?」


俺は驚いて少しのけ反ってしまった。

後ろで控えていたユリスも目を丸くしていた。


「ああ!王子だとこの前も名乗ったんだけどなあ」


「いやいや、王子が何で王都で1人で酔っ払ってたんだよ!」


「それもこの前言ったんだけどなあ。」


それから、ヤクトは俺たちが王都の酒場でした話を

話し始めた。そして、ポッドインポッドの開発を完成させて王家に復帰し、ポッドインポッドを広めていることを聞いた。


「で、僕が教えたポッドインポッドで実績を残して王家に復帰したっていうことか……」


「まぁ、そういう事だな!だから、俺はクリスに感謝しても仕切れねえんだ!」


「いや、僕はただちょっと話しただけだから。モノにしたのはヤクトだから」


「それでも、恩は返させてくれよ!」


すると、ユリスが俺の耳元で囁いた。


「何も受け取らないのは失礼にあたりますので何か欲しいものを適当に要求してください」


うーん、欲しいものか……

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コミックス2巻6・26日に発売ですよろしくお願いします>
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