王都遠征 反省会
道端で目を覚ました俺は、王都で嘔吐していたであろう従士達を叩き起こしていそいそと帰途に着き王都を出た。
昨日の記憶が思いだせない。確かカルアミルクを飲んだ所までは覚えてるんだが……
その後、数日間かけて馬車に乗って振動による尻にダメージを負いながら自領まで帰った。
見慣れた、綺麗に敷き詰められた石畳の街道を見つけると数週間も離れていないのに故郷に帰ってきたという思いでなんだか泣きそうになった。
それほど、王都での生活は楽しかったのである。
従士達も泣きそうになっている。
それほど、ドレスコード子爵領に帰りたくないのである。
王都では、ほとんど、てか全く仕事して無かったうえに飲み歩いたり、大人のお店に入ったりしてずっと遊んでたからなぁ...
そうこうしているうちに領主館まで到着した。
領主館の玄関で俺だけ降ろしてもらい、従士達とはそこで解散した。
「おかえりなさいませ、クリス様」
玄関を開けるとそこにはメイド服を着た銀髪の女性がそこに居た。
「ただいまユリス。ずっとそこで待っててくれたのかい?」
「はい。毎日ここで帰りをお待ちしておりました」
ユリスは花が綻ぶ様にやさしく微笑んで言った。
うっ、可愛い。
「我が妹よ、息をするように嘘をつくな。偶々そこに居ただけじゃないか」
ユリスの後ろから現れたハルが呆れながら言った。
うそかよ!普段の冷たい表情とのギャップでやられそうになったわ!
「そこは、本当にしといた方がいい話じゃないですか。案の定クリス様も感銘を受けている様子でしたし」
「我が妹は本当に悪びれないな」
「まあ、そんなことより、クリス様、王都遠征での報告の方を早速お聞かせ願えないでしょうか?」
あからさまに話を切り替えたな…
ジト目で睨んでみたけれどユリスは飄々としている。
「さて、何から話そうか…とりあえず会議室にでも行こうか」
それから、数時間後、会議室にハル、ジオン、ユリスのハート家の兄弟とハズキを集めた。
「さて、何から話そう」
「とりあえず、クリス様。こいつは何なんですか!?」
と言ってハルは、俺が口を開くや否や飛びかかりそうになるぐらいの勢いでハズキを指差して言った。
「あれ?サザビーさんから聞いてない?」
「聞いたよ!聞いたけど俺が頼んだのは文官なんだよ!なんで新たに仕事を増やすんだよ!」
ハルは怒気を強めて言った。
俺が王都に行っている間、事務仕事はほとんどハルに任せてたせいで寝れていないんだろう。っべぇー、まじべえわ。文官スカウトすんの忘れてた〜
「おい!あんた!あたし達はこの坊主に正式に雇われてきてんだよ!文句あんなら表でなよ!」
ハズキもハルに好きに言われるのが我慢できない様でハルに掴みかかろうとしている。
「ちょいちょいちょいっ!ストップストップ!」
「クリス様がなんの相談もなしに連れてくるから!」
「あんたが雇ったんだからしっかり説明しといておくれよ!」
「す、すみません……」
怖えぇっ〜
その後、少し静まりかえった後、ユリスがこほんこほんと2回咳払いしたのを合図に俺は口を開いた。
「済まないけどハズキ自己紹介してくれるか?」
俺がそう言うと、ハズキはやれやれとかぶりを振って立ち上がり口を開いた。
「あたしはベズ工房の親方やってるハズキだ」
ハズキがぶっきらぼうに簡潔に答え、すぐに席に着いたので俺は、すぐさまフォローを入れた。
「ハズキは、こう見えて腕利きの職人でベズ工房には子爵家の鍛治仕事を担ってもらおうと思っている」
「まぁ、工事するのにも道具が足りてなかったから僕は歓迎しますよ」
ハズキの紹介を終えるとジオンが目を細めて言った。
周りの様子を見るとハル以外は好意的に受け入れてくれているようでちょっと安心した。
少し間が空いた後ハルが口を開いた。
「それで、クリス様。文官は?」
「ごめん。忘れてた」
「はああああああああああ!?」
ハルの絶叫が響いた。





