本隊に合流
歪んだ視界が元に戻る頃には大勢が決していた。指揮官が打ち倒されたことにより、敵兵の間に恐慌が広がって逃げ出したのだ。
目一杯の勝鬨を上げて背後の憂いがなくなったことを、ユリスたちの本隊に伝える。
立ち込める血煙、疲れへたり込む兵士たち、青魚の群れのような、地に沈む鎧兜の数々が激戦の後を物語っている。
周りの兵は既に疲労困憊で歩くのも一苦労といった様子。しかし、戦いはまだ終わっていない。背後に回り込んできた奇襲部隊を抑えただけにすぎず、本隊の戦は恐らく継続しているはずなのだ。
動けるものだけでも、一刻も早く加勢しなければならない。
そう思い立ち上がろうとしたが、バランスを崩してこけてしまう。片足の感覚がない。やはり、折れてしまっていて、まともに立ち上がることすらできない。
「クリス!」
駆け寄ってきたアリスに俺は告げる。
「俺はいいから、動けるやつらを纏めて、今すぐ加勢しに行ってくれ」
本来ならば、俺がやるべきこと。だが、今の状況では頼むしかない。それに、頼んでも上手くやってくれるだろう、という、信頼感、安心感がある。
「ついてこられる人は私についてきて!
アリスは頷いて声をあげた。呼びかけに応じて、座り込んだ兵士たちが続々と起き上がる。そして数十人の兵士達はアリスに率いられて、戦場へと向かっていった。
それからしばらくして、負傷した味方の応急処置をした後、動ける一人に肩を借りて、アリス達のあとを追った。





